「リズム」と言葉にすると難しく感じるかもしれません。しかし、人はだれしも生まれる前から母親の心臓音を聞いているはずで、この心臓音も一定のリズムを奏でています。
そうした意味では、すべての人にとって身近なものであり、体のなかに染みついているものなのです。そこで、今回はそのリズムを遊びに応用し、子どものさまざまな能力を引き出すリズム遊びについてお伝えします。
リズム遊びとは?
保育の現場で行われるリズム遊びとは、歌に合わせて何かを叩いたり、手拍子をしたり、体を動かしたりする遊びを指すものです。具体的には次のような遊び方があります。
【歌に合わせて楽器を鳴らす】
歌に合わせて、太鼓やタンバリン、トライアングルなどを叩いて遊びます。
【歌に合わせて手拍子】
歌に合わせてみんなで一定のリズムで手拍子をして遊びます。
【歌に合わせて体を動かす】
歌に合わせて先生と同じ動きをしたり、子どもが自分たちで自由に考えた動きをするなどして遊びます。
【楽器に合わせて楽器を鳴らす・体を動かす】
先生が歌ではなくピアノを弾き、その音に合わせ、楽器を鳴らしたり体を動かしたりするのもよいでしょう。「ピアノの休符に合わせてトライアングルを叩く」「スタッカートで跳ねる」「音の強弱で手拍子の強弱を変える」など、いろんな遊びが考えられます。
保育の現場でリズム遊びを活用するメリット
ひと口にリズム遊びといってもさまざまな遊び方があります。そして、リズム遊びから得られるメリットも少なくありません。特に子どもにとって大きなメリットとして次のような点が挙げられます。
【集中力・理解力が高まる】
リズム遊びは、「先生の歌を聞く」「自分たちでも歌う」「先生の動きに合わせる」「歌に合わせて体を動かしたり楽器を鳴らしたりする」など、同時に複数のことをしなければなりません。そのため、歌を注意深く聞かなければならず、結果として集中力や理解力が高まります。
【運動能力の向上】
リズムに合わせて、「手を叩く」「体を揺らす」「歩く・飛ぶ・しゃがむ」というように、リズム遊びは全身運動です。体を動かしていくことで、自然と運動能力の向上にもつながります。
【コミュニケーション能力の向上】
リズム感が養われると、普段の行動も自然とリズミカルになっていきます。また、行動以外でも会話のテンポが良くなり、他者とスムーズな会話ができるようになるため、コミュニケーション能力の向上も期待できるでしょう。
【想像力・表現力が豊かになる】
歌に合わせて自由に動く遊びをしていると、子どもは歌に合ったさまざまな動きを自ら想像し、体で表現しようとします。その結果、自分で考える力に加え、想像力、表現力までが豊かになるでしょう。
【観察力・協調性が身につく】
先生の動きに合わせて一緒に動くリズム遊びでは、動きを合わせるため、先生や周りの子どもの動きを一生懸命に観察しようとします。それが観察力や協調性につながるようになります。
リズム遊びで高い効果を発揮させるポイント
さまざまなメリットを持つリズム遊びですが、子どもが楽しくリズム遊びをできるようにするにはいくつかのポイントがあります。具体的には次のとおりです。
【まずは先生がやってみせる】
いきなり、歌に合わせて手を叩きましょう、動いてみましょうといってもなかなか受け入れてもらえない場合があります。そのため、まずは先生が楽器や人形を使って見本を示し、楽しそうにリズム遊びをすることで子どもに興味を持ってもらえるようにしましょう。
【最初から多くを望み過ぎない】
さまざまなメリットがあるとはいえ、リズム遊びをすれば、すべてのメリットをすぐに享受できるわけではありません。特に幼児に対してリズム遊びを教える際は、まず音楽の楽しさが伝われば十分です。そこから、年齢に応じて楽器を鳴らす、体を動かすなど段階を踏んで進めていくことが重要でしょう。
【ケガをしないよう最低限のルールを決める】
体の動かし方やリズムを外さないなど、遊びに関するルールを厳密に決める必要はありません。
ただし、走る・飛ぶ・跳ねるなど体を動かす際には、周りの子どもとぶつかったり、それがきっかけでけんかになったりして、ケガを負ってしまう危険があります。そのため、できるだけ広いスペースを取り、「友達を押さない」「ぶつかったら謝る」といった最低限のルールを設定し、ケガをしないよう十分な注意が必要です。
リズム遊びを活用して子どものさまざまな面を引き出そう
リズム遊びには、多くのメリットがあるため、子どもの年齢に合わせ狙いを決めたうえで、どういったリズム遊びにするかを決めていくのが重要です。あまり難しいことは求めず、まずは音楽が楽しいものであると子どもに感じてもらえるようにしましょう。
また、子どもは楽しくなってくると周りが見えなくなってしまう場合もあります。壁や窓にぶつかったり、子ども同士で押し合ったりとケガの危険も少なくありません。事故につながらないように注意し、楽しいリズム遊びで子どものさまざまな面を引き出してあげましょう。
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