認可保育園では、国や自治体からの補助金を利用して運営をすることが可能です。
今回は「補助金制度の仕組みや給付される補助金の目安」について解説していきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
認可保育園なら補助金を受けることができる
運営している保育園が認可保育園だった場合、国や自治体から補助金を受けることができ、保育料と合わせて施設運営を行うことができます。
一般的に保育園に子どもを預ける場合、保護者は保育料を支払うことになります。この保育料は住民税の課税区分によって上限となる金額が定められています。
そして、その上限金額までの中で自治体が保育料を決定することになります。
このように、保育料には上限があるため、保育園の運営者は保育園運営に係る費用の全額を利用者に負担してもらうことができなくなっているのです。
そこで、運営の負担となる金額を肩代わりするため、認可保育園に対して補助金が支払われることとなります。
補助金制度の仕組み
次に補助金が支払われる仕組みについて解説していきましょう。
一般的に、補助金は公定価格から保育料を差し引いた金額が支給されるようになっています。
公定価格というのは、ざっくりいうと国が計算する保育園運営のための費用のことをいいます。
そして、公定価格を算出するためには、基本分単価と加算という2つの要素が大きく関係することになります。
基本分単価とは、園児一人を預かるための費用の概算単価のことをいいます。
この単価は子どもの年齢や、保育園のある地域、保育利用に関する区分、保育所全体の園児の定員数によって変動することになります。
加算とは、公定価格を決めるための費用のことで、それぞれの保育園が実施している保育サービスや保育士の待遇改善などによって変動します。
一例を示すと、延長保育を実施している場合なら、その分の保育士の人数を増やす必要があり、人件費やランニングコストが増えることになります。
また、保育士が昇給したり、キャリアアップしたりする場合も、同様に人件費が増えることになります。
このような要素と基本分単価を組み合わせることにより、認可保育園への補助金額が算定されることになります。
補助交付額の目安
次に、実際どれくらいの補助金が交付されるのかについて解説していきましょう。
モデルケースとして、東京都内にある認可保育園で、在籍している保育士などの職員の平均勤続年数が10年以上である施設について見てみることにします。
下記に記しているのが、児童一人当たりの保育単価となり、その金額には人件費や事務費、教材費などといった費用項目が含まれています。
この金額は市区町村によって異なりますので、あくまでモデルケースとして考えてください。
・0歳児:210,000円
・1歳児:135,000円
・2歳児:135,000円
・3歳児:78,000円
・4歳児:69,000円
・5歳児:69,000円
金額の特徴としては、年齢が低いと金額が高く、年齢が高いと金額が低くなる点です。
また、認可保育園の場合は、各自治体から園児1人に付き2~3万円程度の補助金を給付されることになります。
仮に、各年齢の園児が10人ずついる認可保育園の場合、上記の金額の10倍の補助金が毎月給付されることになりますので、
月に700万円弱の補助金を受けながら保育園を運営していくことになるのです。
保育園が認可を得るために大切なこと
このように補助金を受けながら運営すれば、よほどのことがない限りは経営を安定させることができるでしょう。
そこで大切になるのが、認可を受けられるかどうかという点になります。
保育所が認可を受けるためには、まず2つの条件を満たしていなければなりません。
・児童福祉施設の設備及び運営に関する基準
・自治体が定める基準
「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」は法律によって定められているもので、認可保育園として保育園運営を行っていくための最低ラインといえます。
この基準を満たしたうえで、「自治体が定める基準」を満たす必要があります。
これは、都道府県や政令指定都市、中核市などが条例によって定めた独自の認可基準のことです。
自治体によって内容は異なり、場合によっては最初の基準よりも厳しく設定されている場合もあるため、事前に確認しておくことが必要です。
さらに、建設に関する条例や補助金も給付されるため、法令など、さまざまな条件をクリアしなければ認可保育園として認められません。
多くの自治体の場合、この時点で施設の計画案(建築PLAN)を求められます。
計画の内容は、定員に見合う面積から始まり、避難安全確保の考え方、サービス動線の考え方のほか様々な内容記載が必要です。
この計画案でおおむねOKをもらったうえで、最後の計画承認と進んでいきます。
このPLANは、一般的な建築図と似ているのですが、コツがあり、記述のポイントは全く違うため、保育園の建築に精通した設計事務所さんに任せる必要が出てきます。
新築にしろテナントとしての入居にしろ、この建築PLANで定員など決まりますので、素早く計画案を作成してくれる、
設計事務所さんとの協力関係を作っておくのも良いと思われます。
(テナント型の場合は、すぐにPLANを入れて判断しないと、すぐに他に取られてしまいますから)
何も知識や準備がない状態では、かなりハードルが高いものとなりますので、認可に対して経験が豊富な設計事務所などに相談する(できるようにしておく)ことをおすすめします。
認可保育園は国や自治体から補助金を受けながら運営していくことが可能で、経営も安定させやすいのが特徴です。
保育園が認可を受けるためのハードルは決して低いものではありませんが、その分のメリットは大きいので、仕組みや内容についてしっかり理解しておくことが大切です。
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清水義文 (株)SOU建築設計室
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