虫探しというと、「自然が豊かな場所でなくてはできないのでは」といったイメージが強いかもしれません。しかし、実際には都会にも数多くの虫が生息しています。虫探しは季節によっても見つけられる種類が異なるため、年間を通して楽しめる遊びです。
そこで、今回は保育で虫探しを実施する狙い、メリットのほか、具体的な虫探しの方法についてお伝えします。
保育現場で実施される虫探しの狙いと効果
保育現場で虫探しを実施する狙いはいくつか考えられますが、その中でも主なものとしては次のとおりです。
【身近な場所でさまざまな知識が得られる】
公園や園庭など、身近な場所でさまざまな知識を得られます。「季節によって生息する虫の種類が異なること」「虫は普段どういったところで生息しているかがわかること」「形、色、大きさなど種類によってまったく異なること」など、これまで普通に生活していて気づけなかったことに気づけるようにするのは、大きな狙いの一つです。
【命の大切さを知る】
さまざまな虫を探していると、生きている虫だけではなく、抜け殻や死んでしまった虫を見つけるケースも少なくありません。その際、すぐに目を背けてしまうのではなく、生き物を乱暴に扱ってはいけないと教え、命の大切を知ってもらえる効果があります。
【観察力を身に付ける】
虫を見つけたら、よく観察して昆虫図鑑で名前や特徴を調べさせることで観察力を身につけることができます。慣れてくると、例えば足の本数、触覚、羽の枚数など、どの部分に注目するのが良いのかもわかってきて、虫に対する恐怖心も消えていく可能性があります。
【仲間意識を育てる】
虫探しは、時として仲間と協力しながら行う必要があります。「探す場所をいくつかに分け、グループで虫を探す」「虫を見つけた際は大声を出さずに静かに近づく」など、ルールも自分たちで決めるよう促せば、仲間意識やリーダーシップの育成に役立ちます。
【運動能力の発達】
虫を探すために公園や園庭を走り回っているうちに、自然と運動能力が発達します。また、見つけた虫を捕まえるにはコツが必要なため、手先が器用になる効果も得られるでしょう。
虫探しの具体的な方法
具体的に虫探しはどうやって楽しめばよいのでしょう。ここでは、季節別に虫探しの方法を紹介します(地域によっては生息する虫や時期に違いがあります)。
【春】
春に見つけられる虫は、ミツバチ、モンシロチョウ、テントウムシ、カタツムリなどです。
ミツバチやモンシロチョウは公園、園庭などに草花があれば飛来してくる可能性があります。また、テントウムシやカタツムリは、葉っぱの裏側や落ち葉の下を探すと集団で固まっているので見つけやすいでしょう。
【夏】
夏は1年の中で、最も多くの虫が元気に動き回るため、虫探しに最適なシーズンといえるでしょう。
夏に見つけられる主な虫は、セミ、バッタ、カブトムシ、クワガタなどが挙げられます。セミは鳴き声ですぐに見つけられます。ただ比較的、木の高いところにいるため、虫取り網を使うとよいでしょう。また、抜け殻を探すのも楽しいものです。
バッタは擬態といって葉っぱや草に同化して生息するため、見つけるのは簡単ではありません。だからこそ見つけた時は、葉っぱとの違いやどうやって擬態しているかを観察するチャンスです。
カブトムシやクワガタは前の日に木割れ目部分に蜜を塗っておくと、翌日朝早くに集まって蜜を吸っています。登園と同時に探してみるのもよいでしょう。
【秋】
秋に見つけられる虫は、トンボ、鈴虫、コオロギ、マツムシなどです。トンボ以外は夕方以降に活発に動く虫のため、なかなか見つけるのは難しいかもしれませんが、草むらや石の隙間、割れ目などに隠れているので探してみましょう。また、見つけたら虫かごに入れ、どうやって鳴くのかを観察するのも遊び方の一つです。
【冬】
冬は冬眠する虫も多く、見つけるのが難しい季節です。その中でも見つけられるは、土の中や軒先にいるチョウやカブトムシのさなぎや幼虫、葉っぱの上で動かずに越冬をしているテントウムシなどです。幼虫から成長していく姿をスケッチするのもよいでしょう。
虫探しを実施する際の注意点
保育現場で虫遊びを実施する際の主な注意点は次のとおりです。
【むやみに触らない】
虫を触り、その手で目をこすったり、体をかいたりすると、ばい菌が入り腫れてしまう危険があります。また、刺されるとアナフィラキシーショックを起こしてしまう可能性もあるため、見つけてもむやみには触らないよう先生がついて探すようにします。
【自然を大切に探す】
「虫を探すために入ってはいけない場所に入る」「枝や葉っぱを無断で折る、破る」「掘り返した土を元に戻さない」などをしないよう、先生が目を配り指導しながら楽しみます。
自然と親しみながら虫探しを楽しもう
虫探しを楽しむためのポイントは、自然と親しむ気持ちを持つことです。見つけた後も不自由なく生息できるよう、動かしたものは元に戻す、むやみに触らないなどルールを守って楽しみましょう。
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