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デリーで戦意消失

2014-03-25 22:35:20 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 デリーで、入国審査を終えた私は、最初に両替を試みました。

 

 しかし、空港内の両替所で5千円札を出すと、両替は1万円からだと言われたのです。

 

 一晩だけの滞在ですし、ホテル代はネットで先払いを済ませています。


 タクシーと夕食代さえあれば事足りるので、一旦空港の外へ出て様子を見ることにしました。

 

 しかし、空港ビルの外はバスとタクシーが並ぶばかりで、両替所は空港ビルの中だけのようです。

 

 再び、ビルへ戻ろうとすると、入口で銃を構えた警備員に阻止されました。

 

 アリャ!参ったな、「現金が無ければ手も足も出ないぞ」と悩んでいると、丁度そこへ、飛行機で隣り合わせたMさん達が出てこられたのです。

 

 Mさんに窮状を説明すると、添乗員の方に相談してくれて、「取り合えず、タクシーでデリー市内へ行けばホテルで両替ができるはずです」とアドバイスを頂きました。


 更には、ご親切にもタクシー乗り場まで案内してくれたのです。

 

 Mさん、その節は本当にありがとうございました。

 

 

 さて、タクシーに乗ってしまえば、こっちのもの。

 

 運転手に、ホテル名と住所と地図を印刷した紙を示した後、タクシーの車窓から、売子が交差点で、バスの客へパンを売る様子などを興味深く眺め続けました。

 

 

 しかし、インターネットで予約したホテルの地図は全くいい加減でした。


 タクシーの運転手は、当てにならない地図を諦め、街行く人に住所を告げて、何とかホテルを探してくれたのです。

 

 

 当初は、今までの海外旅行のように、地下鉄を利用して、自分の足でホテルを探すつもりだったのですが、両替に失敗したおかげで、タクシーを使ったことが幸いしました。

 

 前回のロンドンでは、レンタカーのナビが使えたので問題は無かったのですが、インドはインターネット情報を鵜呑みにして、大変な目に合う所でした。

 

 この一件で、インドは注意しなければと、身構える気持ちが芽生えました。

 

 さて、無事にホテルに着いて両替を済ませ、シャワーを浴びた後、何時ものように夜の街へ繰り出しました。

 


 目の前の車道を当たり前のように牛車が通り過ぎます。

 

 

 地下鉄にも乗ってみたかったので、地下鉄のデリー駅を探すことにしました。


 ホテルから5,6分も歩くと、鉄道のデリー駅に出ました。

 

 ネット情報では、デリー駅の構内を抜けた、反対側に地下鉄の乗車口があるはずです。


 夜行列車が出発するのでしょうか、駅のプラットホームは、大きな荷物を持った乗客でごった返していました。

 

 

 駅を反対側に抜けると、すぐに地下鉄とその乗車口を確認することができました。

 


 しかし、この街が本当にインドの首都なのでしょうか? 

 


 ビルは煤け、道路に意識を失った若者が倒れ込み、道路のアスファルトは剥がれ、穴の開いた場所に水が溜まっています。

 

 今まで生きて来て、目にしたこともないような光景が周囲に満ち溢れていました。


 中国の旅でも経験したことのない、価値観が全く異なる世界に紛れ込んだような、恐怖心が伴う違和感を覚えました。


 旅は今日始まったばかりです。


 ついでに立ち寄ったインドで、身動きが取れなくなったらあまりにも悲しすぎます。



 流石の私も、今度ばかりは街を探索する戦意も消失し、余計なことはせずに、そのままホテルへ戻ることにしました。

  

 

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ヒマラヤが見たい

2014-03-25 19:51:46 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 2014年2月28日午前11時35分 成田空港を離陸したJAL749便はゆっくりと高度を上げながら、機首を南へ向けました。

 

 

 東京の北部をかすめ、奥多摩辺りから甲府盆地に入り、南アルプスを越えて行きます。

 

 

  飛行機が向かう先はインドの首都デリー。

 

 そして、私の旅の目的地はネパールです。

 

 南西方向へ、太陽を追うように飛び続ける飛行機の到着予定時間は現地時刻の18時20分。

 

 東シナ海を越え、上海辺りから真直ぐデリーに向かう経路をとれば、最短距離となるはずです。

 

 その経路であれば、南アルプスを眼下としたように、ヒマラヤ山脈の雄姿を拝めるかもしれません。

 

 その光景を期待した私は、飛行機の窓側に席を確保し、離陸後もずっと機外を眺め続けていました。

 

 

 しかし、JAL749便は上海辺りから中国上空に入りましたが、そのまま南下を続け、まるでヒマラヤを迂回するかのように、雲南省の昆明から、ミャンマー国境附近へと航路を進めます。

 

 あぁ、そうでしたよね。

 旅客機は高度1万メートル前後を航行しています。

 エベレストは標高が9千メートル程もあり、安全な飛行経路を考えればヒマラヤを迂回するのは当然かもしれません。


 ちょっと考えが甘かったようです。


 それでも、もしかしてヒマラヤの山影が見えはしないかと目を凝らしましたが、ヒマラヤの方角に乳白色の雲が広がるばかりでした。

 

 

 こんな風に、離陸直後からヒマラヤが気になって、窓の外ばかり眺めていましたが、山が見えないことが確実となった辺りから、いつの間にか、隣席に座る女性との会話が始まっていました。

 

 私は三年程前に民間会社を定年退職し、花や木を眺めながら暮らしていること。

 

 今回はヒマラヤで花の写真などを撮影しながら、歩き廻る予定であることなどをお話しました。

 

 私の席の周囲の10人程の女性の方々は、皆さんヨガのインストラクターをなさっているのだそうです。

 

 明日から一週間、デリーから北へ100km程の場所で、ヨガの世界大会に参加されるとのことでした。

 

 そんなこんなの会話を弾ませている内に、順調に飛行を続けたJAL749便は、ほぼ定刻通りの時刻にデリーに到着しました。

 

 

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