デリーで、入国審査を終えた私は、最初に両替を試みました。
しかし、空港内の両替所で5千円札を出すと、両替は1万円からだと言われたのです。
一晩だけの滞在ですし、ホテル代はネットで先払いを済ませています。
タクシーと夕食代さえあれば事足りるので、一旦空港の外へ出て様子を見ることにしました。
しかし、空港ビルの外はバスとタクシーが並ぶばかりで、両替所は空港ビルの中だけのようです。
再び、ビルへ戻ろうとすると、入口で銃を構えた警備員に阻止されました。
アリャ!参ったな、「現金が無ければ手も足も出ないぞ」と悩んでいると、丁度そこへ、飛行機で隣り合わせたMさん達が出てこられたのです。
Mさんに窮状を説明すると、添乗員の方に相談してくれて、「取り合えず、タクシーでデリー市内へ行けばホテルで両替ができるはずです」とアドバイスを頂きました。
更には、ご親切にもタクシー乗り場まで案内してくれたのです。
Mさん、その節は本当にありがとうございました。
さて、タクシーに乗ってしまえば、こっちのもの。
運転手に、ホテル名と住所と地図を印刷した紙を示した後、タクシーの車窓から、売子が交差点で、バスの客へパンを売る様子などを興味深く眺め続けました。
しかし、インターネットで予約したホテルの地図は全くいい加減でした。
タクシーの運転手は、当てにならない地図を諦め、街行く人に住所を告げて、何とかホテルを探してくれたのです。
当初は、今までの海外旅行のように、地下鉄を利用して、自分の足でホテルを探すつもりだったのですが、両替に失敗したおかげで、タクシーを使ったことが幸いしました。
前回のロンドンでは、レンタカーのナビが使えたので問題は無かったのですが、インドはインターネット情報を鵜呑みにして、大変な目に合う所でした。
この一件で、インドは注意しなければと、身構える気持ちが芽生えました。
さて、無事にホテルに着いて両替を済ませ、シャワーを浴びた後、何時ものように夜の街へ繰り出しました。
目の前の車道を当たり前のように牛車が通り過ぎます。
地下鉄にも乗ってみたかったので、地下鉄のデリー駅を探すことにしました。
ホテルから5,6分も歩くと、鉄道のデリー駅に出ました。
ネット情報では、デリー駅の構内を抜けた、反対側に地下鉄の乗車口があるはずです。
夜行列車が出発するのでしょうか、駅のプラットホームは、大きな荷物を持った乗客でごった返していました。
駅を反対側に抜けると、すぐに地下鉄とその乗車口を確認することができました。
しかし、この街が本当にインドの首都なのでしょうか?
ビルは煤け、道路に意識を失った若者が倒れ込み、道路のアスファルトは剥がれ、穴の開いた場所に水が溜まっています。
今まで生きて来て、目にしたこともないような光景が周囲に満ち溢れていました。
中国の旅でも経験したことのない、価値観が全く異なる世界に紛れ込んだような、恐怖心が伴う違和感を覚えました。
旅は今日始まったばかりです。
ついでに立ち寄ったインドで、身動きが取れなくなったらあまりにも悲しすぎます。
流石の私も、今度ばかりは街を探索する戦意も消失し、余計なことはせずに、そのままホテルへ戻ることにしました。
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