むつ市街で県道6号に入り尻屋崎を目指しました。
そして16時30分、目の前に真っ白な灯台が見えてきました。
駐車場に車を停め、歩を進めて灯台に近づくと、灯台の中から若い女性が出てきて、「見学時間はもう終わりました」と告げられました。
この灯台は、もう少し早く着けば参観(上ること)ができるようです。
とても綺麗な真白の灯台なので、新築されたのかと思いましたが、明治9(1876)に点灯開始した灯台で、レンガ灯台として30mの高さは日本一だそうです。
女性は受付係の方のようです。
「尻屋崎口のゲートが5時に閉まりますから、間に合うようにお帰り下さい」と教えてくれました。
そう言えば、県道6号から灯台方向へ曲がった場所に、遮断機を備えたゲートがあり、注意書きを目にしましたが、委細構わず走ってきたのです。
「尻屋崎口まで何分ですか」とお聞きすると、
「10分はかかりません」の答えを頂いたので、急ぎ足で、周囲を見て歩きました。
石碑に「本州最涯地尻屋崎」と記されます。
本州最北は大間崎、最東端は宮古市のトドヶ崎なので、尻屋崎は本州最涯地です。
この地を訪ねたなら、石碑を建てた人の気持ちが痛いほど分かります。
尻屋崎の、最果て感あふれる光景に接したら、石碑でも建てなければ、身の置き所がないのです。
「砂防林記念」の石碑に石が積まれていました。
その昔の尻屋崎は森林に覆われていましたが、明治期に燃料用に森林が伐採され、海に砂が流れ込んで漁業に悪影響を及ぼしたのです。
それを防ぐ為に尻屋の漁民たちが根気強く植林を続け、砂防林を復活させました。
石碑に積まれた石は、石碑が語り継ぐ、漁民達の志への共感です。
尻屋崎灯台の草原を野の花が飾っていました。
ノコギリソウ セイヨウノコギリソウ
キリンソウ エゾカワラナデシコ
オオバナノミミナグサ ヤマアワ
灯台の駐車場を出発し、帰路に尻屋崎口まで戻る途中、エゾカンゾウが草原を染めていました。
ノハナショウブがエゾカンゾウとアンサンブルを奏でていました。
そして、県道6号の両サイドに松林が続き、
私は車を走らせながらレンズだけを松林に向け、漁民達の志に幾度もシャッターを押し続けました。
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