切ないです。
松本清張の原作を橋本忍が脚色。
監督は野村芳太郎。
老練の刑事(宮口精二)と若い刑事(大木実)が
東京から列車に乗り込む。
クーラーなど無かった時代。
真夏。額には汗がにじみ、落ちる。
窓を開け放たれた蒸気機関車は何処へ?
彼らは強盗殺人犯を追って
男の昔の恋人が住む九州に向かっていた。
二人は女の家の向かいにある旅館に宿をとる。
黛敏郎の無機的な音楽が効果的。
吝嗇な銀行家の後妻になり、つつましく暮らしている女
(高峰秀子)の一日をつぶさに観察する刑事たち。
「きっと男は来る」
橋本忍の脚本が素晴らしすぎる。
張込みという緊張の中で
二人の刑事の人となりをあぶりだしていく。
ラジオに興じる家族、銭湯の賑わい
市場など、人々の生活も描かれ
時代の色も伝わってくる。
若い刑事の心の動きが興味深い。
「あんな地味な女がねえ・・信じられない」
徐々に同情にも似た気持ちが芽生えてくるが、
だからと言ってハリウッド映画のように
女と手に手をとって逃げカーチェイス!などという
劇的な展開にはなりません。
派手な演出抜きで
ぐいぐい見せていくのはさすが。
犯人(田村高広)はおよそ極悪人には程遠いようにみえる。
そんなところもまたリアルで哀しい。
何かの歯車が狂って犯罪に手を染めてしまったのか。
「東京のことを話そうね。東京には何でもあるんだよ。
そこでボクは三年・・働いたんだ。」
高峰秀子が体をよじりうめくように泣く声は
哀切極まりない。
サスペンスタッチの中に
普通の人々の悲しみを描いて、
汽笛の音と共にいつまでも心に残る。
1954年 野村芳太郎監督作品 原作 松本清張 脚色 橋本忍 音楽 黛敏郎
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松本清張の原作を橋本忍が脚色。
監督は野村芳太郎。
老練の刑事(宮口精二)と若い刑事(大木実)が
東京から列車に乗り込む。
クーラーなど無かった時代。
真夏。額には汗がにじみ、落ちる。
窓を開け放たれた蒸気機関車は何処へ?
彼らは強盗殺人犯を追って
男の昔の恋人が住む九州に向かっていた。
二人は女の家の向かいにある旅館に宿をとる。
黛敏郎の無機的な音楽が効果的。
吝嗇な銀行家の後妻になり、つつましく暮らしている女
(高峰秀子)の一日をつぶさに観察する刑事たち。
「きっと男は来る」
橋本忍の脚本が素晴らしすぎる。
張込みという緊張の中で
二人の刑事の人となりをあぶりだしていく。
ラジオに興じる家族、銭湯の賑わい
市場など、人々の生活も描かれ
時代の色も伝わってくる。
若い刑事の心の動きが興味深い。
「あんな地味な女がねえ・・信じられない」
徐々に同情にも似た気持ちが芽生えてくるが、
だからと言ってハリウッド映画のように
女と手に手をとって逃げカーチェイス!などという
劇的な展開にはなりません。
派手な演出抜きで
ぐいぐい見せていくのはさすが。
犯人(田村高広)はおよそ極悪人には程遠いようにみえる。
そんなところもまたリアルで哀しい。
何かの歯車が狂って犯罪に手を染めてしまったのか。
「東京のことを話そうね。東京には何でもあるんだよ。
そこでボクは三年・・働いたんだ。」
高峰秀子が体をよじりうめくように泣く声は
哀切極まりない。
サスペンスタッチの中に
普通の人々の悲しみを描いて、
汽笛の音と共にいつまでも心に残る。
1954年 野村芳太郎監督作品 原作 松本清張 脚色 橋本忍 音楽 黛敏郎
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