邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「蛇イチゴ」

2008年02月03日 | ★人生色々な映画
ユーモアという感性は
人生観、物事の見方に深くかかわってくる重要な要素だと思う。
黒澤明、小津安二郎しかり。

数々の新人賞を総嘗めした西川美和監督28歳のデビュー作
「蛇イチゴ」には
そこはかとないおかしみが漂う。
絶妙に入る音楽も面白い効果をあげている。

深刻な場面なのに可笑しい。
可笑しいのにせつない。
悲しいけど恐ろしい。

なんとも狂おしい物語だ。

家族のために働く父(平泉成)、
痴呆の舅を介護する明るい母(大谷直子)、
教職についているしっかりものの娘(つみきみほ)。
そして十年ぶりにまいもどってきた
問題ありの長男(宮迫博之)。

おじいちゃん(笑福亭松之助)リアルすぎ!
宮迫博之、このうえなく胡散臭い。しかし愛嬌ある!

どこにでもありそうな家庭を通して
人間の持つ複雑な内面をあぶりだしていく。
是枝裕和が惚れ込んだという
達者な脚本は現実感を持って登場人物の人とナリを浮かび上がらせる。

人の長所は時と場合、
対する相手によっては欠点になり、その逆もあり得るのかもしれない。
一見幸せそうな家族に潜む深い闇は
ふとしたきっかけでむき出しになり、がらがらとその均衡は崩れていく。

脚本と、映像表現の巧みなバランスにノックアウトされた。
丁寧な演出の妙にも感動した。

そういえば子供の頃、
「蛇が食べるから食べちゃダメ」と言われた「蛇イチゴ」
禁断の果実はどんな味がするのだろうと思っていた。

それまでのリアルな生活感から一転する
後半、暗い森での場面が大変幻想的で美しい。

ラストの鮮烈な映像とつみきみほの表情に
あなたもきっと魅了されることでしょう。

2002年 西川美和監督 
プロデューサー: 是枝裕和
脚本:西川美和 撮影:山本英夫 音楽: 中村俊

---------------------------------------------------------
日本映画専門チャンネルでは
西川美和監督作「蛇イチゴ」と監督インタビューを放送。
あなたはなぜ映画をつくるのか?
西川美和「何かに迷った時、どちらを選んでも大丈夫だと思う。
道を選ぶことそのものが重要。
そうすれば道は開けるから。選ばないで迷っていると・・・
リンク先はこちら

日本映画専門チャンネル
時代劇専門チャンネル
---------------------------------------------------------


ブログランキングへ応援オネガイシマス