ス イ カ
胴回りは50㎝弱
わが家では,やや高価な果物でも,旬のものについては,一度は味わうことにしている。
今年になって,メロンとイチゴとサクランボはその趣旨で食べている。
今日はスイカを食べた。
松本の実家に通っていたころは,スイカの名産地が近くにあったため,大きいのをいただくこともあった。
こちらに引っ越してからは,二人では大きいのは食べきれないし,冷やすことも大変だし,カットものはなんとなく気が乗らないし,等々で,スイカを横目に見ながら夏を過ごしていた。
そこで,今年はこれまでやや軽蔑の目で見ていた,「小玉スイカ」を食べようということになり,購入して,大玉では入らない冷蔵庫で冷やしておいた。
なかなか味よしで,これまでの軽蔑を詫びることにした。
日本のスイカは,よく改良されたものだと思う。甘さもさることながら。皮が薄くなって,可食部分が増えている。パラグアイにいた時,もっと皮を薄くできないかといったら,そんなに薄くしたら,輸送の途中で割れてしまうといわれた。
もう一つの改良点は,種が少なくなっていることだ。外国で食べたものと比べて,日本の品種は種が少ない。
わたしはスイカの種は,存在したほうが風情があるような気がする。しかし,中学の教科書にも載っているかもしれないが,種無しスイカが日本で開発されている。四倍体といって,染色体のセットが4組ある品種と,2組のセットを持つ二倍体品種を交雑すると,セットが3組の三倍体の子どもができる。この三倍体は花粉や胚珠ができないので,種がつかない。一方,果実は大きくなるので,種を吐き出す手間が省けるスイカとなる。
この三倍体種無しスイカを開発したのは,京都大学教授で,コムギの祖先種を特定した木原均博士とされているが,実際に手掛けたのは,東京農大教授の近藤典生博士が1940代の京大在職中に行ったというのが本当らしい。
三倍体種無しスイカは日本でも売られているが,それほど人気がない。種の生産に手間がかかるせいか,高価である。それに,わたしと同じように,スイカに種はつきものと考えている人が,結構多いようだ。
しかし,東南アジアでは,人件費が安いせいか,値段は普通のスイカと変わらないので,大人気だそうである。
種無しスイカが敬遠される理由の一つに,四倍体を作る時に使われるコルヒチンという物質が有毒だからというのがあるらしい。誰が流布したのか知らないが,噴飯物のデマである。コルヒチンは確かに有毒だが,出来上がった四倍体には存在しない。
種無しスイカと同じ手法で,種無しビワが千葉県で作られているようだが,まだお目にかかっていない。アケビもどこかで開発中という話を聞いた記憶がある。
なお,種無しブドウは,植物ホルモンの処理で作られていて,種無しスイカとは手法が異なる。
STOP WAR!