博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

サピエンス減少(続き その4)

2025年01月30日 | 読書・映画
(昨日の続きです)
 さて昨日まで中国とドイツの事例で、肝心の『サピエンス減少』の本筋から、すっかり離れてしまいました。もう一度本書の内容に戻ります。著者原氏の予測では日本人の少子化・人口減少を政策的には抑止できないということが本書の結論です。そうしますと凡そ2世紀後に日本の総人口は200万人程度まで縮小し「人口崩壊」に至るということになります。日本全体が現在の札幌市1市と同じくらいの人口規模に縮小してしまうということです。
 但しこれは日本だけの現象ではなく、中国、韓国、東南アジア諸国、南北アメリカ諸国でも日本に少し遅れて同様の事態が進み、同じように人口崩壊に至るであろうということでした。ブログ主は本書を読み進めながら「嘘だろう」という思いを禁じえませんでした。しかし上のデータを見て、改めてそれがほぼ確実に実現するだろうという理解に至りました。上の図は各国の合計特殊出生率のランキングです。世界212か国・地域の中で、合計特殊出生率が3を超えている国-すなわち確実に人口を増やせる国-は58か国しかないのです(注1)。2024年現在、世界最大の人口大国インドでも2.01なので、インドでさえ近い将来人口増加がストップすることを示しています。なお合計特殊出生率の意味については本ブログの1月27日の記事をご参照ください。
 同ランキングのトップ30位までの国は15位のアフガニスタン以外は全てアフリカ諸国というのも印象的でした。このデータは200年後の未来の話ではなく2022年の現実なのです。本書の中の原氏の記述では、そもそも2022年現在で世界の中で平均合計特殊出生率が2を超えている地域はアフリカだけだということでした。この事実は、世界に移民を提供できる地域は遠からずアフリカ諸国だけになるということを意味しています。アフリカ諸国が人口増加を継続できる理由は、民族紛争等により社会が不安定で経済成長を実現できず女性の自己決定権も制約されているということによると思われます。実際、コンゴ、スーダン、リビアなどの各国ではいつ果てると知れぬ凄惨な内戦が続いていますし、他の国々でもイスラム原理主義派などの暴力が猛威を奮っています。しかし、今はそのような状況のアフリカ諸国であっても、いつかは安定して経済成長を遂げる日も来ることでしょう。それまでの間、人口減少・少子高齢化が深刻化する他地域の諸国(特におそらく欧米諸国)は必死でアフリカからの移民を獲得しようと鎬を削ることでしょう。就任したばかりのトランプ米国大統領が不法移民の一掃を実行しようとしていますが、おそらく遠くない将来に不法合法を問わず米国も移民を渇望するようになるでしょう。
(注1)https://www.globalnote.jp/post-3758.html

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