しっとう?岩田亜矢那

神戸で活躍するタレント「あやにゃ」こと岩田亜矢那さんを勝手に応援する非公認ファンサイトですか?

意味がわかると怖い話2453 「反射鏡」

2017年02月22日 18時20分09秒 | 意味がわかると怖いコピペ
隣街には、噂の絶えない丁字路がある。

見る人の寿命を映す街灯がある、という話だ。

その丁字路は見通しが悪いため、よく交通事故で亡くなる人がいるのだが、そこで亡くなる人は皆、事故の間際に街灯が点滅しているのを見ているという。

あまりに死亡事故が多発するため、近年ようやく交通反射鏡、すなわちカーブミラーを設置した。

だが、設置してすぐにその反射鏡にまつわる、ある噂が出回った。

その反射鏡に事故で亡くなった霊が映り込むというのだ。

心霊現象に興味のある僕は、その丁字路を深夜に調査しに行くことにした。



人通りの少ない夜の住宅街は、いつ歩いても不気味だ。

車二台がギリギリ通れる道幅に、背丈を超える民家の塀がより一層圧迫感を与える。

しばらくして、ようやく丁字路が見えてきた。

そこにはすでに先客がいた。

路地に座り込み、反射鏡を見つめてガタガタと震えている男性だ。

僕はその男性に近付いて声を掛けた。

「どうしたんです……ムグッ!」

「ばばば、馬鹿!静かにしろ!」

男性に口元を抑えられ、小声で注意されてしまった。

「あああ、あの反射鏡……お前にも映ってるもの……見えるか……」

そう言われて、反射鏡に目を向ける。

右折と左折の両方見えるよう二つ並べられた反射鏡の左折側、明かりの無い真っ暗な路地に、薄ぼんやりした人影が映っている。

背格好や体勢は今僕の隣にいる男性と瓜二つ。

だが、まるで無生物のようにピクリともしない。

「見えますね……」

「だ、だろ? もしかしてドッペルゲンガーじゃねぇかな……」

「ドッペルゲンガー……?」

「なんだ、知らねぇのか? ある人間と全く同じ姿をしてて、そいつと出会うと死んじまうんだよ……」

「そんなまさか……」

「俺も信じたくねぇよ……だからさ……」

男性は耳に口を近付けた。

「お前、見てきてくれないか?」

「はぁ!?」

「しーっ! 静かにしろ!」

僕は慌てて口を塞ぎ反射鏡を見た。

鏡に映った男は依然として微動だにしていなかった。

「頼む! 一生のお願いだからさ!」

初対面の相手に一生のお願いと言われても……

とはいえ、僕も心霊現象に遭遇するために来たわけだしな。

僕は静かに頷き、塀伝いに忍び足で丁字路に近付き、ドッペルゲンガーらしき者がいる方をそっと覗き込んだ……

「おい」

「うわっ!」

曲がり角から急に声を掛けられ、驚いて尻餅をついてしまった。

見ると、街灯の明かりの下に警官が立っていた。

「こんな夜中に何をしとるんだね?」

「あ、いや、えっと、心霊現象をですね……」

「心霊現象~? 馬鹿馬鹿しい」

そう斬り捨てると、僕を無理矢理立たせた。

「どうせストーカーでもしてたんだろう?」

「ち、違いますよ!」

なんで有らぬ疑いを掛けられるんだ!

そうだ、さっきの男性に話を聞いてもらえば……

そう思って、来た道に目を向けた。

「あれ? いない……」

さっきまで居たはずの男性がいない……立ち去る足音も聞こえなかったはずだ……

「何を言っとるんだ? もういいから、早く帰りなさい」

『事故に遭う前にな』

全身に鳥肌が立った僕は、全力でその場から逃げ出した。