いささか旧聞に属する話題になってしまいましたが、
ソース合戦はブルドックソースに軍配があがったような、結果となったようです。
勝ち負けという点では、ホントのところ、どちらが勝者かわかりません。
米スティール・パートナーズは、わずか3ヶ月で20億円以上のキャッシュを
手にしたわけで、そのあおりでブルドックの株価は低迷。
これからが正念場というところでしょうか。
それでも、米国系"ハゲタカ"ファンドの買収攻勢を跳ね返したことで、
TOB対策に頭を痛める日本の経営者たちにとって、ブルドックソースの存在が、お手本のように輝いて見えたであろうことは、間違いないでしょう。
昨日まで日経新聞の夕刊『人間発見』コーナーで、同社の社長、
池田章子さんのインタビュー記事が5日間にわたって連載されていました。
それを読んで初めて知ったのですが、この女性社長、同族の係累でもなく、前社長夫人というわけでもなく(死んだ夫の後継に夫人が就くのはよくありがち)、
本当に一社員から出世して、社長にまでのぼりつめた人だったのですね。
これには驚きました。
しかも、短大を卒業して『腰掛け』のつもりで入社した会社がブルドックソースで、お茶くみからのスタートであると。ご本人には失礼ですが、この記事を読むまで、そんなことは想像もしていませんでした。
実力派社長であるとしても、たとえば経営コンサルタントとか、公認会計士とか、
経営の専門家からの転身であろうかと、想像していたのです。
外資のTOBを"剛腕"で切り抜けた"鉄の女"と、勝手に決め込んでいたようです。
でも、連載記事を読み終えて、改めて思えば、確かに外から入った経営者であったなら、買収防衛策を株主総会の決議にかけるなどという無謀なこと(と思ったのですが)は、たぶんできなかったであろう、と思うです。
会社を守る、のれんを守る。そのために誠意を持って株主に訴える。協力を依頼する――そんな"いちずな思い"が通じたのでしょう。
米国を発信地とするサブプライム・ショックとやらで、ファンドに資金が集まりにくくなってきたことを反映して、スティールもサッポロビールの買収に資金を集中するようですから、当面は経営に専念できそうです。
米系ファンドとの『ソース合戦』を乗り切ったブルドックソース。
これからどうやって株主の期待と信頼にこたえていくのでしょう。
蔭ながら応援したい気分でいます。
とぷ