睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

白提灯と麻雀エレジー

2018-07-08 15:30:00 | 逝ける人々





土曜日午後2時に雀友の車を待っていた。

アルファード乗りの友人が3人の家を順番に回って拾う最後が
ぼくの家だった。

4人揃ったところで白提灯を注文してある仏壇屋に向かった。
7月13日~16日の新盆に間に合うタイミングが今日の集いになった。
途中の和菓子屋で供物を買う者、仏壇屋で木箱入り線香にする者など
それぞれが用意した供物の熨斗に名前を書くのはぼくの役目なのだ。

店が用意した熨斗紙に持参した薄墨と小筆で各々の名前を書くのは
少し誇らしい気がする。

ぼくは故人が好きだった沈香の渦巻香にした。
タバコの匂い消しも兼ねていつも香を焚いているわが家に来るたびに
香の名前を聞いて聞いてきた故人のお気に入りが沈香だった。

白提灯と供物をもって新盆を迎える故人の家に向かった。
線香をあげ般若心経を唱え、わずか半年前の想い出に涙した。
この白提灯が彼の帰路を照らす灯になると思うとせつない。


さて、これからどうする?と口火を切ったぼくの問いに
「供養も兼ねて囲むか」、「おぅ」、「どこでやる?」、
答えは三者三葉でも結論はひとつ。

そこは古びた雀荘だった。
全自動卓が全盛のご時世に未だに手積みの卓で賑わうその店は
平日は近隣の老人クラブのご用達になっているという。

店に入って一番奥の隅っこの卓を選んだ。
見物人に邪魔されないよう、タバコで迷惑かけないよう
自衛の
策でもある。
BGMは古賀メロディーのGuitarソロだった。

湯の町エレジーを聞きながら、そういえば、
定年後の余暇を満喫する彼らと違い自分は有職者なので
メンバーが足りない時にお誘いがかかるのが常だった。

ぼくは2ヌケの助っ人要員のはずだが...

繰り上げなん?いつの間にかメンバーになっていた。
ま、いいか。

半チャン2回の決まりが3回になり、お開きになるころはすっかり
夜も更けていた。麻雀やると勝っても負けても腹が減る。
深夜営業のラーメン屋で今夜の健闘を称えながらビールで乾杯。

わが家に帰ったのは午前様もいいとこで静かにドアを開けた。
布団に寝転がってしみじみと最近はエレジーを語ることが
多く
なってきたとおもった。

それもこれも、
失くして分かる有り難さ。

 

 


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