1月16日札幌で開かれた「水産政策の改革」説明には300人ほどが集まり、水産庁の担当者から
従来の説明に加え、より簡易で詳細な内容が示された。
資料には、改正後の漁業法・水協法の条文(全文)も添付され、新年度予算や外国人受入制度の
内容が示されるなど、出席者にとっては有意義な会議となったようだ。また、質疑や意見交換も活
発に交わされ、北海道漁協系統の元気が現れた一コマともなった。
開会にあたり、長谷長官が挨拶のついでに約15分ほど講話をして自ら改革の肝を明らかにした。
その要点は、今回の改正が外部に対する漁業の「透明性」を高め、漁場を有効に使うことで、浜を
繁栄させ、「無用な敵」を作らず、「無用な攻撃」を避ける戦略の一環とも取れる話にあったよう
に思われた。
水産庁長官らしく、なかなか含意に富んだ戦略だと感じたが、これは水産庁を守り、浜を繁栄さ
せ、制度を維持するためのしたたかな策なのか、外部の敵に追随した愚かな漁業権開放の誘導策な
のか。政省令を含め、すべての制度改正の全貌が明らかになり、実際に切替が行われるまで、その
成否はよく注視する必要があると感じられた。
なお、長谷長官は、一部報道や一部識者の情報が浜に不安を与えてきたと指摘し、その払拭を強
く求め、改革の成果を強調する姿勢がめだった。もちろん「このままでいい」と思っている人は少
ないし、そういう人は漁業を継続できないほど環境は厳しい。しかし、決まった事を全部飲み込み、
しっかり漁業に取り組めと言われても、浜はどうなのだろうか。 予算をうまく使い、前向きに施策
を活用することは大切だが、浜がその気にならないと改革はうまくいかないだろう。
そして一部報道や識者に誤解があったとすれば、この間の水産庁の情報提供、周辺との合意形成が
適切だったか、よく検証する必要はあると苦言は呈しておきたい。(文責・上田)