道内水面漁場管理委員会が7月26日開かれ、全道48漁場(33人)に出されている共同漁業権の許可申請の諮問に対し原案通り答申した。またコイヘルペス病まん延防止に関する委員会指示を決めた。なお、野川秀樹会長の辞任に伴い、学識経験者で、元函館水試場長の杉若圭一委員を新しい会長に選任した。
昨年3月に発生した網走観光ホテルの8千リットル重油流出事故にについて、運営会社のブリーズベイホテルが漁協をはじめ関係者に事前説明せず、「バイオ工法」(バイオ資材による油の濃度低減措置)による処理を今月中にも始めると表明したことに対し、「具体的な方法や効果が不明」と全量撤去を求める地元関係者が反対し、11日に西網走、網走両漁協が市民に状況を報告する新聞折り込みチラシを1万枚配布した。
7月27日の網走呼人地区油流出事故に係る連絡会議で明らかにされたもので、ブリーズベイの津田忠則社長が「洗浄工法で検討したが、想定される必要経費が会社の負担能力を大幅に超過している」という理由でより安上がりな「バイオ工法」を提案してきたという。従来は汚染範囲内に漏れ出た重油の量を調べた上で「洗浄工法」で汚染度を浄化する方向で話が進められてきた。両漁協は「漏洩した重油の正確な所在と量が特定できないままバイオ工場を行うのは地中の汚染状況把握が困難となり、今後回収不能となる恐れがある」と断固反対し、網走湖の生態系や水産資源が将来にわたり影響を受けないよう重油汚染土の全量撤去を求める。
連絡会議は網走市市議会重油漏れ事故対策検討特別委員会とも意見交換し、8月14日には水谷洋一網走市長が道庁を訪れ、浜坂真一副知事にホテル側に丁寧な説明をするよう働きかけることを要請した。水谷市長は道や市が参画する連絡会議において専門家の提言を受けた上での議論が必要と述べ、浜坂副知事もホテル側に地元の意見を伝える意向を示した。
水政審資源分科会(田中栄次会長)は、10日午後1時30分から農林水産省で開き、カツオ・マグロ漁業の令和6管理年度のクロマグロ(大型魚)のIQ設定基準を協議し、クロマグロの融通ルールなどによる結果などを報告した。
水産庁は、カツオ・マグロ漁業のIQ設定基準について、来期から現行(令和4〜5管理年度)の実績割り70%、均等割り30%を同75%、25%に変更する方針を提案した。これに対し、現行のままやるべきとの意見もあり、秋に開催される予定の次回資源管理分科会で諮問、答申することになった。
また、太平洋クロマグロの資源管理における融通ルールの結果について報告し、北海道は6月7日に大型魚52㌧を小型魚に、7月12日に小型魚0.8㌧を大型魚に交換が成立した。田中会長は「融通ルールはかなり定着し、うまく機能している。都道府県管理の沿岸漁業者にもっと周知してほしい」と述べた。
なお、現在の水産政策審議会の委員は18日で任期満了を迎え、田中会長らが退任する。今度、改選の手続きを経て、9月に総会を開き、資源管理分科会も新委員で10月中頃に開かれる予定。
ソウハチ・マガレイの北海道北部系群に対しTAC導入を図る資源管理手法検討部会(田中栄次部会長)が8月7日午後1時から札幌第一合同庁舎の講堂で開かれ、沿岸、沖底の代表、道総研の研究者が参考人として意見陳述を行った。
すでに両系群については、7月6日に余剰生産(プロダクション)モデルに基づく新しい資源評価の説明会が札幌で開かれ、ステークホルダーに向けて議論する事項の意見、論点のまとめについて出席者の確認を求めた。それに対し、混獲魚種であるカレイ類にTACを導入すれば、主な漁獲の対象にしている魚の操業に支障が出るため、水産庁の整理したまとめの文言に注文がつけられた。
カレイ類の道内の漁獲は、道水産林務部の速報によると、令和3年が2万㌧・38億円、同4年が2万1千㌧・41億円。このうち、マガレイは道水産現勢によると3年で2,573㌧・6億1,139万円。ソウハチは5,866㌧・3億5130万円となっており、キロ単価はマガレイが238円、ソウハチ60円と魚価安に直面している。
検討部会ではソウハチの参考人として茂木隆文東しゃこたん漁協代表理事組合長、蛯名修北るもい漁協専務、板谷和彦道総研函館水試調査研究部長、伊藤保夫小樽機船漁協代表理事組合長、風成成一稚内機船漁協代表理事組合長、柳川延之道機船連専務、富岡啓二全底連会長、マガレイでは蝦名専務のほか、富田和幸沙留漁協専務、板谷調査研究部長、伊藤組合長、風成組合長、柳川専務、富岡会長が意見を述べた。
柳川専務によると、資源状態が良く現状の漁獲のままで、10年後にMSY水準を達成するのであれば、従来の資源管理で十分であり、新たにTACを導入する必要はない。また、体調制限などを沿岸、沖底の両業界が管理協定を結び30年もやっており、その効果で現状の資源が良好であることを認めてほしい。さらに数量規制で管理しようとすれば、体調制限などの規制がなくなり、幼稚魚をたくさん獲るなど、資源に逆効果となる。資源管理方針には数量管理だけでなく、体調制限などのルールを明記してもらいたいといった意見が出された。
水産庁は今回議論された内容を精査し、漁獲シナリオなど資源管理方針をステークホルダー会議に提案する予定。
昨シーズンは3千万尾、8万㌧の大台を超え、久々の豊漁でしたが、今年の来遊は予想通りくるか。マーケットは在庫の状況、価格の修正、さらにはロシア産サケ・マスの豊漁、中国の放射性物質の検査強化など、不透明が要素もあり、気が抜けない状況が続きます。



