やまじゅん通信 “きょうのヤマ場”

日本共産党前神戸市会議員 山本じゅんじ WEB通信

神鋼石炭火力発電は中止を

2022-02-02 | 地球温暖化
 
 きのう、神鋼石炭火力発電所が3号機の営業運転を開始。
夕方、市民団体の抗議行動に参加してきました。

 石炭火力発電は、二酸化炭素(CO2)の排出量がとりわけ多く、主要排出源。世界的に撤退する動きが加速しています。
昨年開かれた世界的な会議(COP26=国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)では、気温上昇を1.5℃に抑える努力をすること、そのためには温室効果ガスの排出削減への対策が行われていない石炭火力発電は段階的に削減するという合意が交わされたばかりでです。
それぞれの国がさらに削減をすすめることが強く求められているのが現状です。

 ところが、今回の新規稼働はそうした世界的な合意に逆流を持ち込むものと言わざるを得ません。
今後30年ものあいだ、関西電力へ売電するとのことで、長期にわたって石炭火力発電所を稼働し続けるものです。
さらに、地元住民との間で、建設や稼働の差し止めを求める訴訟もおこなわれていますが、そのさなかの稼働でありきわめて問題です。
今後4号機の稼働で、1号から4号機あわせると市内で経済活動や市民生活全体から排出されるCO2量をはるかに上回るCO2が排出されることになります。
稼働は中止すべきです。

 事業者の2050年ビジョンでは、「カーボンニュートラルへ挑戦し、達成を目指す」としています。
アンモニアやバイオマスの混焼などをすすめ、最終的にアンモニアの専焼を目指す方針を示しています。
アンモニアは確かに燃やすときにはCO2は出ません。しかし、製造時には大量のCO2の発生を伴います。
ここをしっかり見なければなりません。
神戸市も支援し推進を図っている水素エネルギーでも、燃やしてもCO2は出ないといってきました。しかし、製造時には大量のCO2が発生するのは全く同じです。
CCU(二酸化炭素回収・貯留技術)もまだ十分に確立されているとはいえず、さらに国内では実現可能性は乏しく現実的ではありません。
さらに現段階では、化石燃料由来のアンモニアが大半です。

 結局、石炭火力発電という根本的な誤りをたださず、国の政策そのままにアンモニア混焼などを掲げても意味がありません。
批判を逃れるために一時に取りつくろって間に合わせるための方策、いわゆるびほう策にしかならないと感じます。
前回の記事で述べましたが、神戸市との間で交わされた環境保全協定をとってみても、温室効果ガス対策が極めてあいまいです。

 今回の問題は、事業者だけの問題ではなく、問題だらけにもかかわらず十分対処してこなかった神戸市にも責任はあります。
さらに、国の地球温暖化対策とエネルギー政策の誤りこそ正されるべきです。



 
 

石炭火力から脱却を

2021-12-14 | 地球温暖化



 8日、神戸市議会の本会議が開かれ、一般質問にたちました。テーマは、中小企業支援の拡充と、地球温暖化対策、ニュータウン対策について、それぞれ聞きました。

 地球温暖化については、先ごろCOP26が開かれたばかり。気候変動についていっそうの取組み強化が求められており、神鋼火力発電所の問題と地球温暖化防止への神戸市の取り組みについて質問しました。
そのうえで、再生可能エネルギーや自然エネルギーにシフトしたエネルギー計画を早急に打ち立て、2050カーボンニュートラルに積極的に取り組むよう求めました。

 神鋼火力発電所の問題では、増設される2基も含め中止を求めるべきだと質しました。
2050カーボンニュートラルには、2030年までの取り組みが大きなポイントと言われています。石炭火力発電に頼っている場合ではないと世界的にフェーズアウトが必要だと言われているにもかかわらず、石炭火力発電を合理化する答弁で極めて残念なものでした。2050カーボンニュートラルという目標を実現しようとどこまで本気で考えているのか、疑問に感じざるを得ない答弁です。
 
 「現状において安定供給性や経済性に優れている。当面はエネルギーの安定供給の観点から必要とされている」「2030年までに石炭火力への20%アンモニア混焼の導入普及を目標」「バイオマス燃料の混焼やアンモニア混焼など、CO 2の取り組みを強化するということが明示をされており、国のエネルギー基本方針に沿ったものだ」との答弁。今後作られる国のマニュアルとも整合を取ることが必要などとの姿勢も示し、すすんで本気で取り組むという前のめりの姿勢が見られません。
国対応を待ってるだけじゃないとして、神戸市の地球温暖化防止実行計画の見直しも議論しているとのことですが、まとまるのはまだ先のようです。とても待っていられません。

 だいたい、アンモニア混焼などが有効な手立てと言えるのでしょうか。
たしかにアンモニアの混焼では温室効果ガスそのものは減るでしょう。それでも、あくまで混焼ですからCO2は出ます。
さらにアンモニアの製造過程でたくさんのCO2が出ることを考えれば、トータルで考えるとどれだけ削減できるのか、極めて疑問です。

 もう1点は、神戸市と神鋼との間で結ばれた環境保全協定です。私は、この協定についても問題提起をしました。とくに火力発電所について、これだけ温室効果ガスの排出が問題とされていながら、削減目標にはなんら触れられていません。一方で削減の取組みについてはCCSなど研究段階の未確立の技術を並べていたりするなど、具体的なものは何もありません。しかもそれなのに、「協定の内容が遵守されている特段の設定措置は必要ないことをお知らせします」と神戸市は神鋼に通知しています。
この点を指摘すると、これは紳士協定であり事業者が作成したものだとしつつ、改定も含め話はしていくとのべました。
2050カーボンニュートラルは大事な課題だというのなら、神鋼火力発電所の中止こそ求めるべきではないでしょうか。


コロナ禍と気候変動 ~気候アクション

2021-09-24 | 地球温暖化

きょうは、グローバル気候アクションの日(Global Day of Climate Action)。
 気候アクションは、2018年にスウェーデンの環境活動家であうるグレタ・トゥーンベリさんの活動をきっかけにひろがった世界な運動、行動(ムーブメント)です。そもそものきっかけとなったのは、温暖化対策の強化を求め、グレタさんがはじめた学校の授業を休んでの国会前での気候ストライキ。スウェーデンの総選挙までの3週間続けることを計画でしたが、選挙が終わった後もスウェーデン政府がパリ協定での約束を実行に移すまで、グレタさんや仲間たちが毎週金曜日に(気候変動)ストライキを続行。

 その後、SNSなどを通じて毎週金曜日の気候変動ストライキが世界中に拡散し、「Fridays for Future」(未来のための金曜日=FFF)として、いまや日本を含む世界の国々で若者を中心に数多くのグループが誕生し、活動が続けられています。
 2019年にははじめて世界いっせいのストライキを実施(世界同時アクション)。日本を含む
125か国2000以上の都市で多くの市民が参加。その後も定期的に開催されています。(日本では、“グローバル気候マーチ”)

 FFF Japanのウエブサイトには「気候変動の被害を特に受けるのは、既存の経済システムによって不平等を受けてきたMAPA (Most Affected People and Areas=最も影響を受ける人々と場所)と呼ばれる人々です。日本はG7の中で唯一石炭火力発電を海外に輸出し、日本の多国籍企業は気候変動を加速させ、MAPAに様々な被害を与えています。私たちはこのような地域間・世代間・性別間の不平等をなくすために以下の事を求めます」として「企業に求める10か条、政府に求める9か条」が示されています。 
経済活動で排出される温室効果ガスを減らすことや 石炭火力発電や原子力発電に対する投融資を止めることなどです。

 脱炭素社会の実現は、私たち一人ひとりの決意と行動にかかっていると同時に、個々人や家庭の努力だけでは、脱炭素はとうてい実現できるものではありません。気候変動で問題なのは、これまでの、そしていまの政治が石炭火力や原発に固執しつづけ、脱炭素の先行きに危機的状況をつくりだしていることです。こうした政治から脱却することが、脱炭素を実現する近道だと思います。

 若い人たちを中心にした運動の広がりは世界でも日本でも。明日に向けた、また未来に向けた力強い脈動を感じます。

気候危機の打開は、貧困と格差をただすことと一体のもの

 日本共産党は先日発表した『気候危機を打開する日本共産党の2030戦略』のなかで、「気候危機の打開は、貧困と格差をただすことと一体のものです。どちらも根っこにあるのは、目先の利益さえあがればよい、後は野となれ山となれの新自由主義の政治であり、その転換こそが求められています」と指摘。
そのうえで「脱炭素化は、大きな社会経済システムの転換、「システムの移行」を必要とする大改革です。再生可能エネルギーは、将来性豊かな産業であり、地域経済の活性化にもつながる大きな可能性をもっていますが、そこでの雇用が非正規・低賃金労働ということでは、「システム移行」への抵抗も大きくなり、地域経済の活性化どころか、衰退に拍車をかけるものにもなりかねません。脱炭素化のための「システムの移行」は、貧困や格差をただし、国民の暮らしと権利を守るルールある経済社会をめざす、「公正な移行」でなくてはなりません」「気候危機の打開は、貧困と格差の是正と一体に――「公正な移行」として推進してこそ、達成することができます」と主張しています。

(参考)気候危機を打開する日本共産党の2030戦略https://www.jcp.or.jp/web_policy/2021/09/post-882.html

 気候変動問題に政府や自治体がどう向き合い取り組んでいくのか、格差や貧困問題は世界的な視点だけでなく国内や地域における視点としても大事な問題です。得にコロナ禍で顕著に現れたのは格差と貧困問題です。仕事が無くなり、日々の暮らしや食事にも事欠くような状況は深刻さを増しています。目の前の問題としても、長期的にも待ったなしの課題。
資本主義の限界とか弊害とか巷で論じられています。社会のありようが問われる今、今秋の衆院選でも神戸市長選挙でも大事な争点だと思います。

神戸市の地球温暖化防止実行計画は見直しを②

2021-09-17 | 地球温暖化


環境保全協定
 神戸市の地球温暖化防止実行計画に関連して、質疑について触れておかなければならない点がもう1点あります。
きのうの記事で、市内事業所との間で交わしている環境保全協定について最後に少しふれました。
この環境保全協定を積極的に活用すべきですし、非常に大事だと思います。
この環境保全協定については、3月現在で109事業所と交わされています。
神戸市のHPには「排出ガス量、排出水量、延床面積、資本金などが一定規模以上の事業所(神戸市民の環境をまもる条例施行規則で定める指定事業所)を有し、かつ、本協定の趣旨にご賛同いただいた、環境保全活動に積極的な事業者と協定を締結してい」るとされています。
 
 この環境保全協定のうち、ある企業との協定内容に目が留まりました。質問でも少し指摘しましたが、本当にどこまで「環境保全活動に積極的な」姿勢なのか、疑問に感じざるを得ませんでした。
たとえば排出されたCO2ですが、「二酸化炭素の回収・有効利用・貯留技術について」として示されています。CCSと言われるものですが、まだ実験段階にすぎず、「国の動向を確認する」というものです。また、国内には安定的に固定できる地盤はありません。さらに二酸化炭素分離回収技術の技術開発ということも示しており、いずれも未確立や実験・研究段階の技術を並べただけのものでした。具体的な取り組みの計画と題しているにもかかわらず、時期も目標もなく希望的観測を示しているにすぎません。
とても無責任です。
しかも問題なのは、こういうきわめてあいまいな内容でありながら、神戸市は「協定内容が遵守されており、特段の措置は必要ない」としていることです。
協定内容を遵守といっても、そもそも協定の内容の水準がこれでいいのか。それをベースに遵守しているといわれても意味がありません。

 だいたい、この事業所が今後直接排出する温室効果ガスの排出量は、神戸市内から排出される温室効果ガス排出量を上回るものです。
こういう神戸市の姿勢でいいのか。神戸市は、少なくとも2050カーボンニュートラルをめざすと宣言したわけで、対応として極めて不十分です。
日本の温室効果ガス排出量の半分は、わずか約130 事業所から排出され、また排出量の3割以上が発電部門から排出されています。
こういうところにもかかわる社会的影響力のある企業であり事業所です。社会的責任をはたすよう、神戸市として強く求めることが必要です。

神戸市の地球温暖化防止実行計画は見直しを①

2021-09-16 | 地球温暖化

 8月31日からはじまった決算議会。
いまは決算特別委員会で各局別の質疑が行われています。
13日は環境局質疑で、昨年の特別委員会について今年も決算で質問しました。

テーマは3つ。地球温暖化防止とプラスチック、アスベストです。

 地球温暖化防止に関しては、昨年同様、神戸市の地球温暖化防止実行計画の見直しを求めました。
昨年は、国の動向を踏まえて考える旨の答弁でした。
その後、最終日に行われた本会議での一般質問で、市長に対して「温室効果ガス排出を実質ゼロを目指す取り組みを」と質しました。
副市長は「2050年CO2実質ゼロを目指して,神戸市としてもできるだけ早い機会に宣言を出すことも含めて,しっかりと取り組んでまいりたい」と答弁。
政府の“実質ゼロ宣言”もあって否定はせず、その後に実質ゼロを目指すとの表明につながりました。

 そういうこともあって、状況もかなり進んでいるなか、もっと踏み込んだ対応で積極的に推進することが必要との思いから、今回も実行計画の見直しを求めたわけです。
答弁は昨年のこととを思うとあまり期待はしていませんでしたが、意外なことにも思ったより前向きな答弁に。
地球温暖化防止実行計画は見直す予定ですでに検討を始めているとの答弁でした。
2030年まであと9年を切っています。それだけに見直した後の内容というのは相当踏み込んだ内容を期待したいところです。

 神戸市の地球温暖化防止実行計画は5年前に作られたもので、パリ協定での合意が反映されていません。
最新の神戸市の発表した温室効果ガスの実績では、すでに市の実行計画で目指した指標をクリア(2013年度比マイナス22%)。昨年からもさらに若干減少しています。
どこを目指して削減を進めていくのか。
実はこの目標をクリアした大きな理由は、17年に神鋼の高炉が廃止になったことによるものです。もしそのまま稼働していればいまだクリアしていない状況が予想されます。
ですからもっと努力が必要であり、IPCCが指摘するように「2030年までに2010年比でマイナス45%削減」を目指して取り組んではどうかとただしました。
単純に神戸市の実績に当てはめて考えてみると、公表された実績の7割に減らさなければなりません。
ただ、これはあくまでも神戸市の実績をもとにしているので、より大胆に取り組むことが必要ではないかと思います。
いまのままでは、2050年温室効果ガス実質ゼロは不可能。

 市内事業所との間で交わしている環境保全協定についても、市は積極的に働きかけているようです。
事業所の自主目標であっても、それを大幅に引き上げることで多くを排出している事業所に積極的役割を果たしてもらうことも大事です。