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タイ・ユング旅行 ⑯文明の発達史観(2)  -’86 夏ー

2020-12-15 10:25:20 | ハノイ
 私には今日本人がホルマリン漬けにされようとしているんではないかと思える。子どもの現状をみればなるほどと頷かれよう。テレビゲーム、ファミコンに没頭し、まったく他の人には関心を示さず親のエゴから来る競争社会に過剰に適応させられている。しつけも耐性も横にやられているように見える。いや自我さえ奪われてしまったかのようである。日本の近代化にとってその精神的な面での影響は無視できなくなっている。家庭、学校、社会など十年単位でとらえてみてもその変容はすさまじい。いじめ、登校拒否、家庭内暴力、拒食症、数え上げれば切がないほど日本の西洋化での弊害はでている。もちろんそれじゃあ文明を拒否すればよい、なんて短絡思考は許されない。陳腐な表現であるが私はこうした文明の中の精神的ひずみを少しでもなくする方策を模索しているハッピーな者である。
 こうした明治来の日本の文明化、それに伴うアジアへの軽視(無関心、もしくは蔑視)の潮流、、一方、現象としては新人類現象、モラトリアム、心理学の病理は数え上げれば切がない症候群が溢れる中で、一つのカンフル剤として考えることがある。一人でも多くの、特に若い子ども達を預かる教師たちにアジアの非観光地域に足を踏み入れてほしいのである。そこに2~3日踏みとどまって見聞してほしいのである。少々のポケットマニーを貯めれば可能なのだ。こんな生のアジアアプローチをチャナロン氏に吹っ掛けてみるのも面白い。
 彼の返答はこうだ。「あんたがいうことには原則的には賛成だ。アジアの途上国には明日の生活お不確実な現実を抱えた人々がいる。収入を得るために屈辱に耐えて生活の糧を得ている人々も数知れないからね。だけど自分の行きたいところへ行ける自由が大切だね。日本人は欧米の真の文明を見るべきだろうね。(どこか噛みあわないが)タイにしても日本と別の意味の近代化をしているとすればタイに来てみるのも値打ちはあるだろうね。でもあんまりアジア、アジアとは言わずにやっぱり欧米も十分に見たほうがいいね。人間ってのはこの世でしたいことが山ほどあるってことだ。欧米にあこがれている人たちとももっと意見を交わして見聞を広げることが大切だと思うね。さすがに英国へ留学して帰ってきただけはある。完全な近代合理主義の信奉車だ。世界の他の部分も見ないとアジアの本当の姿も理解できないよ。欧米の文化、モラル基準、教育制度など近代化の真の姿を見るべきだよ。そうすればその影響がどれほどアジアに強烈に入っているか分かるよ。タイの固有の文化なんて抵抗もできないさ。今でもタイ人は毎日毎日アメリカやヨローッパの映画やテレビ、ファッション、人間を見ているし彼らの贅沢な暮らしを知ってるよ。。。。」
 「ところがだね。欧米の人たちなんかタイがどこにあるかも知らないんだよ!」彼の途切れない主張はその後も続く。お互い少々酔いが回ってきたようだ。論理的に頭が回らなくなってきている。いずれにしても日本における欧米へのアプローチとタイにおけるアプローチは歴史的にも政策的には違いは鮮明である。タイではつい最近まで自国の伝統文化に根差した固有のアイデンティテイーを創造的に模索するルンマイ(若い世代の知識人)達の層があるがチャナロン氏はそれのも属さないまるまるの欧米合理主義者である。彼のルートが中華系であるせいもあろう。
 独断的要約:「あんたがたは今、物質文明の恩恵にどっぷり漬かっていて困ってもいない。テレビはいかん、パソコンはいかん、と言っているが何のためにいかんのか!目の前で喰うのに困っている人たちだって物質的に豊かに会って文化的な生活をしたいに決まっている。