こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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「お別れ」のタイミング

2008-10-11 01:50:28 | 訪問看護、緩和ケア
本当に、たくさんの患者さんとお別れをしました。
いろんなお別れがありました。
みんな、それぞれの舞台でそれぞれの物語の幕を閉じるのです。
私たちは、その舞台裏の、云わば黒子です。
舞台の裏から、そっと穏やかに幕が降りるように、お手伝いをするのです。
でも・・・時々考えてしまうのです。
この、幕の降ろし方でよかったのだろうかと・・・
早すぎはしなかったのだろうか?遅すぎはしなかったのだろうか?
いつもいつも、感動的でみんなが納得できるお別れができるとは限りません。
良いお別れには、良いタイミングが必要だとおもうのです。
早いとか、遅いとかではなく・・・。

つい数日前まで、元気に何でもできた90歳のおばあちゃんがいたとします。
家族ももう、家で看取るときめました。そのあとの筋書きは2通りあります。
ひとつは、静かにこのまま、自然にまかせてお別れをする。
もうひとつは、鼻からチューブを入れて、栄養を入れたり、点滴をしたりして、少しでも長く生きていてもらう。
皆さんは、どちらを選びますか?

でも、もうすでに取り戻せない脳の障害があることや、意識の無いまましばらくはもつが、近い将来にお別れは来ること、など知っていたらどうでしょうか?

本来、自分の終末は自分で選びたいですよね。
今まで誰の手もかりず、元気に暮らしてきたおばあちゃんは、何を望むでしょうか?すでに意識は遠く、家族が選択するしかないのです。
何もしなければ、脱水は進み、どんどん病状も悪化して1週間と持たないかもしれません。

どちらが、悪いと言うのではないのです。
でも、その選択が、どういう経過をたどるかはを、医療従事者はちゃんと説明する義務があると思います。

私だったらの、話ですが・・私が家族だったら、何もしないことを望みます。
意識の回復が望めないのなら、いままで、十分すぎるほど頑張ってくれ人だから、
針で刺したり鼻からチューブを入れたりしません。
長い道のりを歩き、十分に年を重ねた、おばあちゃんの尊厳のために・・・
家族の結束のために・・
ケースバイケースですが、何もしないことが、一番苦しくないこともあるのです。
自分が死を迎えるとき、どんな死に方がしたいか・・?
考えても、答えはなかなかでません。でも、痛かったり苦しかったりは嫌です。
ちょっとかっこつけて、あとで「すごくかっこいい死に方だった」と言われてみたい気がします。(実際は、最後までじたばたするやもしれませんが、それもまたいいじゃなですか)
「死」を考えると、いつも取り止めがなくなってしまいます。
でも言える事は、上手に幕を引いた人は、残されたものの悲しみが、緩和されると言うことです。よく考えて、本人の意に沿って、家族にとって一番納得のできる形を見つける。
その手伝いを上手にしたいと思っています。
*主治医とよく話しあわないと、あらぬ方向に行ってしまうこともあるので・・