こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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町のお医者さん

2008-10-25 01:13:40 | 訪問看護、緩和ケア
最近、町のお医者さんが少なくなりました。
きれいなビルで、昼間だけ診療して、時間になると帰ってしまうお医者さんはたくさんいます。でも、町の医者さんは少なくなりました・・・。
「オールウェイズ 三丁目の夕日」に出てくるようなお医者さんです。
瀬谷にも、少ないながらも、町のお医者さんがいます。
「先生、うちのばあちゃんが、寝込んじゃったから、よろしく頼みます」と言うと、紹介状だの、何だのと言わないで、昼休みや時間の空いたときに、診に来てくれます。入院がいやだと言うと、「僕が見るよ。最後まで。」と言って、チョコチョコと顔を出してくれます。
そんな何人かの数少ない先生の中に、ご高齢のK先生がいらっしゃいます。
先生は、ずっとその地域で、町の人たちから頼りにされて、今まできました。
若いころから、休みの日でも、夜でもドアを叩くと気持ちよく診てくれたそうです。今では、ご自分が歩くのにも、気を使うほどですが、まだ頑張って診療を続けています。「いつでもおいで」と言ってくれます。
往診も「先生じゃなければいや」という人たちに、定期的に回っています。
うちの患者さんを診てくださるときは、受け持ちの看護師が必ずお供します。
(先生に怪我があったら大変ですし、少しでも先生の負担にならないように)

そんな先生が、今診療を続けるかどうか、迷っていると言う話を聴きました。

今はどこの医院でも、みんなコンピューターでカルテ管理から、保険請求までやっているとことがほとんどですが、K先生のところは、いまだに全部人の手でやっているそうなのです。
K先生のところの事務も看護師も、ずっと変わらず先生とともにその医院にいた人たちです。
つまり、先生もスタッフもコンピューターは使えません。
いまさら、高額なソフトを導入しても、入力できなければどうしようもありません。保険請求がすべてコンピュータを使わなければできなくなれば、それはもう、お手上げなのです。
どうやら、そろそろその時期が来たようで、無理してでもパソコンを覚えるのか、いっそもうやめるのか、悩んでいるようだと・・・

なんだか、ちょっと切ない話だと思いませんか?
そんなことで、町のお医者さんが減ってしまっていいんでしょうか・・・?

昔、私の子供のころはまだ、粉薬を薬包紙に一つずつ包んで、その三角形にたたまれた薬を、その医院の袋に入れて、窓口で渡されたりしました。
なんとなく、薬と消毒薬の混ざったようなかすかな匂いと、しんと静まった待合室の空気や、赤外線治療器の不思議なスタンドや、ぐつぐつをガラスの注射器を煮沸するシンメルブッシュ消毒器なんかを、子供のとき見た目線のままに、思い出したりします。
なんだか、今の日本は、大切なものを切り捨てていくんだなと、思ったりします。医学も進歩して、いろんな検査もできて、きれいなクリニックがあちこちにできて、患者も「今度は、どこにいこうかな?」なんてドクターショッピングがあたりまえで。
なんだか、寂しい気がします。
K先生なんて、親子3代かかってますなんていう、患者さんがたくさんいるんですよ。
クリニックはたくさんできていますが、町のお医者さんは、残念ながら増えていません。
国は、在院日数を減らし、在宅へ送り返すことに躍起になっていますが、それなら、在宅のお医者さんを、もっと増やしてほしいと思います。
頑張って、地域の人々のために、往診をしてくれる先生、看取りをしてくれる先生を育ててほしいと思います。
在宅を支えている町のお医者さんや、私たち現場の人間の現状を知って、ちゃんと国のレベルで支えてほしいと思います。
なんだか、とりとめのない愚痴話になってしまいましたが、在宅で頑張っている同志のみなさま、お互い頑張りましょう。!
瀬谷区内、往診できる先生募集中!!