MARUMUSHI

映画とかTwitterとかとか。

『だれも知らない建築のはなし』。

2015-08-09 23:37:23 | 映画日記
『だれも知らない建築のはなし』を観てきた。

戦後日本の建築の歴史と建築家たちの物語。
正直、話についていけなかった。。。
建築家と言うのは、芸術家なんだなと映画を見ていて思った。
だから、具体的な話でなく抽象的な概念としての建築の話となると全くついていけない。

でも、一つだけ分かったことがある。
70年代以降、バブルというアドレナリン全開の時代を経て、今の日本の建築業界は歪だと言うこと。
一つ目の歪み。
建築家になりたい人たちは沢山いて、もちろん建築家も沢山いる。
でも、それを建てる人がいない。所謂、大工、左官、塗装などのプロフェッショナルがどんどん減っていっている。
なり手がいない、という話なんだろうけれど、バブル期に大手の建築企業が仕事を取り捲ったせいもあるんじゃないだろうか。バブル崩壊とともにそれらの企業も潰れちゃったんだろうけれど。
このバブル期には、公的資金を使ったハコモノも沢山含まれているようだ。それも今では都市の財政の足枷になってしまっている。その最たるものが北海道の夕張、という事になるんだろうけれど。
二つ目の歪み。
建築家も政治家も世論ですら、理念を失ってしまったこと。
それは今の2020年東京オリンピック準備の様子を見れば分かる。
安藤忠雄が新国立競技場の建設費が「何故こんなに膨らんだのか、分からない」と言っていることからも、理念がなくなっちゃったんだなと感じる。
900億円も膨らんだそうだ。900億円あれば、東京スカイツリーがもう一本立つ。
たぶん、どこかから吸い上げがあるんだろうと思う。誰かが金儲けのために吊り上げたのだろう。
先の東京オリンピックには理念があった。
日本の戦後からの復興だ。だから、ビジョンが凄く明確に築けた。大阪万国博覧会もそうだ。明確なビジョンの下に設計を作っていくことが出来た。
でも、今はそれがない。何をアピールしたいのか、どういう理念を持ったオリンピックなのか、よく分からないのだ。
「お・も・て・な・し」?
何を言っているんだ?
そんな中、ビジョンだけが先行する。こんな都市設計にしたい。こんな競技場にしたい。いきなりそんな話が出てくる。
理念がない。今の日本はこんな立派な姿なのだ、と示せるネタすらない。

建築家は芸術家だ。
でも同時に市民である。彼らの作る建物には経済、法律、政治、そして社会などが絡みに絡んでいる。
その間で彼らは今、苦悩する。
「我々は、本当に社会に貢献しているのだろうか」と。

日本の凡庸な建築物を見た、ある海外の建築家は言う。
「それらの建物は注意を引こうともせず主張しようともしない。ただ、正しい時間に正しい光が差し込む。そういった美しさがあった」
建築業界の歪は、この先致命的な亀裂としてその地盤を砕くことになるような気がする。
そうなったとき、日本人は日本人の手で都市を作っていけるのだろうか。



『海のふた』。

2015-08-09 20:40:11 | 映画日記
『海のふた』を観てきた。

海開き、という言葉がある。
夏になって、海水浴場の設備が整えられ海水浴が出来るようになること。反対語は山開き
(三省堂 新明解国語辞典より)
だそうだ。
そう、海は開くことはあっても閉じることはない。

原マスミは楽曲『海のふた』の中で、失くした誰かを想い、何かが欠けてしまった自分の気持ちを、海のふたがあいたままだ、と詠んでいる。

想像してみよう。海のふたを。
まずはダイレクトに物理的なアプローチからだ。
僕の頭の中では、アルマイトで出来た深底なべのふただ。ふたの取っ手のところは長く使っていた所為で熱で割れてしまっている。
それをとてつもなく大きくする。水平線の向こう側のさらに向こうまで覆えるぐらいの大きさまで。
それを、ヨイショ!と海に下ろす。
ヤッタヤッタ!ふたが出来た!
さて、次にその意味を考えてみる。
海にふたをして、一体何になると言うのだ?
海のふたには何の意味もみいだせそうにない。
このアプローチは失敗だ。
やっぱり、物語を追いかけてみよう。

東京から故郷に逃げてきた一人の女性。
彼女はそこでかき氷屋をはじめる。
そんな彼女の下にやってきた少女。顔と首筋に痣がある。
「お金は沢山あったら困ることもあると言うことを知っていますから」
そして、女性の元彼氏であり、幼馴染の男。
「お前は自分の過去を美化しすぎなんだよ」
彼女は少女よりも幼馴染よりも、誰よりも子供なのだ。
色々考え、アグレッシブに行動しているが、コアの部分はとても幼稚だ。
独断的。
偏狭で押付けがましい。
しかも鈍い。
だから、自分の目の前から夜逃げをしてしまう幼馴染を引き止める。しかも、彼の異変に気付いたのは少女なのだ。とことんまで鈍い。

海にふたは、概念ではない。
海のふたは感情なのだ。何かに区切りをつけない限り、海のふたを閉じることは出来ない。
だから、彼女は海のふたを閉じることは当面できないだろう。でも、かき氷屋を続けているうちに、閉じるチャンスはいくらでもあるだろう。
少女はきっちりと閉じた。これから先何をしたいかをしっかりと見つけた。でも、また海のふた開くのかもしれない。
男は、閉じた気でいるだろうが、ふたは閉じていない。ひょっとしたら閉じることなく生涯を終えるかもしれない。

海はそんな人の気も知らず、ずっと開いたままでそこにあるだけだ。
今も、昔も、これからも。


『日本のいちばん長い日』。

2015-08-09 14:29:44 | 映画日記
『日本のいちばん長い日』を観てきた。

鈴木貫太郎元首相と彼が組閣した内閣は、終戦のために存在した。
戦争が始まるのは意外と簡単だ。もともといがみ合っていた者同士が、酒場で喧嘩したことを発端とした戦争もあるぐらいだ。
でも、終わらせることは難しい。負けている側であればなおの事だ。

畑中少佐は時代が時代ならば、立派な軍人になっていただろう。だから、あの場で死ぬべきではなかった。
彼は軍人になりたくなかった人物で、大学で文学なんかをやりたかったらしい。彼の死後、その骨は生家に戻ったが、昭和40年代終わりごろまで墓が立てられることは無かった。
軍人の多くは、戦後、故郷に戻った。そこに待っていたのは周囲からの冷遇だったそうだ。
(今まで威張り散らしていたくせに)
(人に、国のために死ね、と言っておきながら、自分はのこのこ帰ってきたじゃないか)
そう、思われるのも無理はない。人々も冷遇もする。
決起を起こした彼らは、自分が故郷に帰れば、そうなることが分かっていたのだと思う。天皇が御ため、と言いながらもそれが本音ではなかったろうか。

生きて虜囚の辱めをうけず

時代と言う巨大な流れの虜囚となり辱めをうけてでも、畑中は生きるべきだった。自決した他の多くの将校たちもそうだ。
生きるべきだった。
なぜ、日本が戦争の道を走ってしまったのか。なぜ、負けたのか。そして、その事実から、戦後日本はどう見るべきか。考えるべきだったと思う。酷なことを言うけれど、たとえ死ぬより苦しい日々を過ごしたとしても、だ。日本を思うなら、なおさらだ。

鈴木貫太郎は不思議な首相にならざるを得なかった。
負けるための筋道を立てる。考えようによっては国を滅ぼすための方法を考える首相なのだ。それも、天皇の勅命に近い大命を拝したかたちで。
日本は当時、連合国軍により分割統治案が出ていた(それだけ、日本の国土は第二次大戦終戦後の要石たる位置にあったのだと思う)。それを回避するには猶予が無かった。
そんな折、失礼ながらややこしい時にルーズヴェルト大統領が死去。
トルーマン大統領になってから、原爆が落とされる。
ソ連も千島列島伝いに北海道を分捕る構えでいる。
そんな中で、内心焦っていたのか、それともなのかは分からないけれど、針穴に糸を通すような極めて繊細に、敗戦に向けた準備を進めなくてはならなかった。
彼の議論の進め方は巧くて、徹底的に議を尽くさせる。自分は発言しない。そして、煮詰まってきたときに、”自分の思惑に近い意見”が出たときに「ではそれで行きましょう」と結論する。そんなやり方だったようだ。
時間はかかっているようだけれど、存外早く、かつ皆それなりに納得できるやり方だ。
そして、ここぞと言うときに、議を尽くしに尽くしたけれど結が取れないときに、聖断を奉る。
齢80も近くになると、肝の据わり方も違ってくるんだろうか?

阿南陸軍大臣。最も大臣になりたくなかったはずの人だ。この時代の陸軍に文民統制の考えを持っている人は少なかったんじゃないだろうか。
鈴木貫太郎は自分と彼との考えの根が一緒だということに気付いていたから、一世一代の貧乏籤を彼に引いてもらった。
陸軍は最後まで徹底抗戦、本土決戦を唱え続けていた。
「2000万人が死ねば、勝てる」
壮大な計画だ。ちなみに当時の日本の全人口は7000万人程度だ。
2000万もの躯の上に立つ残された5000万人は何を思うのか、考えたことも無かったんだろう。
大東亜共栄圏なる未来が蜃気楼のように消え去ったときから、とにかく勝てばいい、という空気があったんだと思う。当時の日本軍はそのために天皇を利用したに過ぎない。だから、負けが込んで、天皇が終戦の決意を固めたと聞いただけで自棄になって暴走するか、虚脱してしまうかの二択になってしまう者が多くいた。
終戦に向けて、虚脱する者は大した問題じゃなかった。
問題は自棄になった連中だった。彼らの意を汲み閣議で発言しながら、他方の手では彼らを抑える。
最期は自刃する。
大臣になると決めたとき、大貧乏籤を引くとなったとき、そう決めてからでなければ出来ないことだったろうと思う。

昭和天皇。
陛下は近代、あるいは応仁の乱以降で考えても、天皇の系譜で指折りの愚王であらせられたと思う。
慇懃無礼な言い方ではない。本当にそう思う。
陛下は優れた政治家であらせられた。立憲君主制である以上、「君臨すれども統治せず」という、枷からは外れられない。その中で、あのタイミングで鈴木貫太郎を首相に据えたのは、政治センスがなければ出来ない。
優れた上司でもあらせられた。理想と言ってもいい。
映画の中で、阿南の娘の挙式を気遣うシーンがある。
「挙式を行う予定だったあの辺りは空襲で焼けたと聞く。無事に行えたのか?」
そして、無事とりおこなえたと聞くと、本当に安堵される。
陛下はとても世間知らずというか、ちょっとずれたことを部下に聞いているように思う。
だけど、部下である阿南はうれしかっただろうとも思う。ずれてはいても、部下を本気で気遣っていたのだ。
そして、自分の出来ることで戦争が終わらせられるのなら、なんでもしよう、と立憲君主制である以上、天皇に責任を負わせることは出来ないのだが、それを背負うと言える上司であり、人物でもあった。

最後に、映画には登場しないが彼がいなければ終戦が巧くいかなかっただろうという重要な人物がいる。
柳澤恭雄。
玉音放送を最後の段階で死守した人物。当時彼はNHK報道副部長だった。
内幸町の日本放送協会にいて、玉音放送の準備をしていた。
「エライさんは、みんなどこかに行っちゃってるんだよ。殺されちゃうからさ」
BSi-TBSドキュメンタリー『8.15玉音放送を死守せよ』で彼はそういって笑う。
「俺しかいないんだ。俺が、そこに座ってればいいんだよ」
「(怖くなかったですか?と質問に対して)だって、アンタ。戦争中だよ?みんな死んでんだよ?俺がそこに座ってればいいんだ」
畑中少佐が部屋に殴りこんでくる。銃口を彼に向ける。
「あれは立派な将校だったね。ただ、あんな目は他で見たことはないね」
我々に放送させて欲しい、畑中少佐が言う。
「いや、放送させようたって出来ないんだ、許可がなければ電波は出せないんだよ、と目をジッと見ていうわけだ。何度も。目は口ほどに物言うからね。そうしている内に、指が引き金から緩んでくる。銃口も下に降りてくる」
畑中少佐はそこで本当に諦めたのだと思う。
時代の流れに翻弄され、その熱に感化され、冷めることが出来なかった畑中は皇居の前で自刃する。




戦後70年をむかえる日本。
文民統制はそのままに文民が軍人に近付くというなんだか変な話になっている今。
地盤は即席のままで、増築を繰り返した結果不恰好になってしまった民主主義。選挙ではイマイチ考えないまま投票、あるいは棄権するくせに、気に入らない政策が出てくると途端にデモを起こし、フーリガンまで後一歩になる大衆。
政策に反対するのもいい。でも、そこに畑中少佐みたいな覚悟はあるのか?と訊きたい。
第二次大戦中に存在していたマスメディアは、終戦後、掌を返してGHQの民主化導入を喝采して迎え、軍部を叩き、天皇まで叩きはじめた。
マスメディアは、戦争に加担しなかったと思っているのか?どうして、彼らは国民に対して謝罪しないのか?
言い分があるならいい。でも、彼らは無自覚なんじゃないだろうか?
僕らはそんな日本の中で、世論の中で、平和を叫び続けている。
その平和が、あの戦争で死んだ莫大な人数の躯の上に立脚していることを忘れて。

だから、僕は思うのだ。
日本のいちばん長い日は、まだ続いているのだ、と。


2015年08月08日のつぶやき

2015-08-09 00:00:00 | twitter



  • RT @t_hide3: 今日は現場終わってから石の磨き祭りだったぁ(T△T)ついでに今度知り合いに渡すテーブルも切り出して磨いてやったーw石種はブルーパール!ノルウェーの石ですねw600×800。ちょっと大きめでこれからとあるキャラ達彫って渡すかねーw http://t.co
    Posted at 10:04 PM




  • その場で「賛成の方はご起立願います」なんて言った日にゃ。。。 https://t.co/UMzNjpw1sD
    Posted at 10:03 PM




  • RT @nandakaomo: 90RT:人気ボカロ曲『メルト』が1000万再生回数を突破!supercell結成のきっかけとなった名曲 http://t.co/EOFkifQDnC http://t.co/oiW0l1MNZT
    Posted at 10:00 PM




  • ネームで猥褻なのはどうなんだろう?例えば、玉袋筋太郎とか、まんしゅうきつことか。辛酸なめ子も猥雑に聞こえなくもない。
    なめ茸とか形も含めてなかなかのモンやし、鮎魚女もスゴいよな。
    「車をバックで入れる」も一考の価値有りか? https://t.co/eMPaCiF7gJ

    Posted at 09:59 PM




  • 海女の萌えキャラ「碧志摩メグ」(志摩市公認)は海女を「侮辱」しているのか?(片岡 英彦) - BLOGOS(ブロゴス) http://t.co/7jrBklSjcK

    数年前に『美人すぎる海女』とか言ってたなー。。。何かが理由で辞めたらしいけどなー。。。

    Posted at 09:50 PM




  • RT @neconeko_pic: 悲壮感が漂うネコ http://t.co/E6m9ItgrTm
    Posted at 09:31 PM




  • 昭和天皇は「臣民の前では表情を崩してはならない」と教育を受けていた。その教育が最期まで抜けなかったのだと思う。だから、のっぺりとした表情の写真が多数を占める。それだけの事だと思う。 https://t.co/VE4Ril39xO
    Posted at 09:21 PM




  • Reading:五島沖で船影 旧海軍の潜水艦20隻以上か NHKニュース http://t.co/fO41LIr942
    Posted at 04:44 PM




  • 梅田ブルク7にて、
    仕掛けが怖い。。。
    本編は観てないけど。。。 http://t.co/A2PaKQuDVF

    Posted at 10:54 AM



  • https://twitter.com/kaoritokuyama