テーブルのたのしみ

くらしのたのしみのスタッフブログ。大のパン好き。そして器好き。
主に都内パン情報やテーブルを彩る楽しみをご紹介します。

旧日向別邸 in熱海

2019-06-07 | つれづれ



平成のうちにやり残していたこと、
やっておきたいことのひとつに
ブログの更新ということがありました。

このまま新時代を迎えるわけにはいかないわ!!

と、ずっと書き留めてはいたのです…。
が…。
この、マイペースでずぼらな私のことです…。

文章半ばで、そのまま放置…。
完全に、機を逃し、
新元号にもなり、
情報としてもなんの意味もなくなってしまったので、
この内容はお蔵入りに…

と思っておりました。

が…

途中まで文章にしたのに非常にもったいないなという私の勝手な都合と、
やっぱりご紹介はさせていただきたいかも…と思ったので、
今さらながらアップをさせていただくことにしてしまいました。

(先日は5か月ぶりにもかかわらず、
しれっとパン屋さん情報のブログを更新してみたりして…)

今さらなのですが、本当にすみません…。



ずっと観に行きたいな、と思っていました。
でも、事前予約が必要なのと、
ちょっとばかり遠いので、
なかなか行けずにおりました。




駅からてくてく歩いて、
こんな坂道をくだってひっそりたたずんでいるおうち。

旧日向別邸。
熱海にあります。

以前テレビでこちらが紹介されていて、
ものすごく、ものすごーーく興味を持っておりました。

お写真NGなので、私のつたない文章でのご案内になってしまい、
実物の1/100、いや1/10000も伝えられないかと思いますが、
よろしかったらおつきあいくださいませ。


旧日向別邸は、貿易で財を成した、日向利兵衛氏の邸宅。
2階建の家屋は、建築家渡辺仁氏によるものです。
(渡辺仁氏は銀座の和光ビルを造られたことで有名です。)

その家屋の地下室を別邸の離れとして
1936年にブルーノタウトが設計しました。

つまり、旧日向別邸は2階建ての家屋部分は建築家渡辺仁氏によるもの、
地下部分はブルーノタウトによるものという、
結果的には2人の建築家の手によるコラボ建築物ともいえるかと思います。

ブルーノタウトはドイツ人の建築家。
桂離宮の素晴らしさを世に広めた建築家として有名です。

旧日向別邸には庭園を増築したことにより、
地形の関係で手つかずになってしまっていた地下部分がありました。
そこの設計をブルーノタウトが担ったというわけです。
日向氏が愛用の照明を制作した、
ブルーノタウトに白羽の矢がたったということなのだそう。

こちらはブルーノ・タウトが日本に残した
唯一現存する建築と言われております。

(お写真がNGなので、熱海市の観光ガイドをご確認ください)

地下部分はそんなに広くはないのですが、3つの部屋に分かれています。
地下を降りてすぐに広がる社交室(ダンスホールという意味合いのよう)、
階段のある洋室、和室の3室。

社交室は、ずらりと並んだ豆電球が特徴的。
白い曇りガラスの電球と、透明なガラスの電球と2種類の電球が混在しており、
完成当初はどちらの電球をつかわれていたのか、今では知る由もないそう。

今はあかりはつかないそうですが、あかりをつけたらどうなるのだろう?
白い電球と、透明な電球、どちらが正解だったのかしら?
私がするんだったら、どっちにするかな?
やっぱり白い電球にしたいな☆

と、見えない答えを想像して、ワクワクしました。

そして、真ん中にある洋室。
私が見たテレビ(「美の巨人」か「ブラタモリ」だったかな?)では、
この洋室の階段から眺める借景が見事という事で紹介されていました。

それをぜひ見たいと思って
「観たい建築物リスト」のひとつとしてメモしておりました。

この洋室は客室という位置付け。
とにかく目を引く「赤」が印象的なお部屋。
壁には赤い絹の布が貼り付けられています。
壁に紙ではなく布を貼るということ、
しかもお素材は絹ということ、そして赤という色。
これはもしや魔除けのような意味合いがあるのかしら?なんて考えてみたりして。

赤と言っても日本の赤(「朱」のような色)というより、
西洋の赤だなぁと言うのが率直な感想。ピンクに近い情熱的な赤。

絹にこの色を染めるという発想、それを壁に持ってくるというのは、
やはり海外の方の感性なのかもしれない…。
ブルーノタウトが「色彩の建築家」と呼ばれていたというのはこういうところなのかな?
なんて勝手に思ってみたりして…。

このお部屋の特徴はなんといっても壁際にある階段のような段差です。
その段差(階段?)の一番上の段は「上段の間」として
ブルーノタウトが設計した椅子が置かれていて、
ここから海を眺められるようになっています。
これが絶景だというのです☆

階段のような段差は1段1段高さが変えられていて、
「上段の間」まで上がらずとも、
ベンチのように途中で腰かけて海を眺めることもできるよう。

目線としては「上段の間」の椅子から眺めおろすよりも、
ベンチのような階段部分から海を眺めた方が美しいように思いました。

老朽化していることもあり、
残念ながら階段部分(?)や上段の間に上がることは出来ませんが
想像は膨らみ、わくわくしました。

そして、一番奥は和室。
落ち着いた和室ですが、こちらにも階段部分があり、
階段部分と天井は赤いお色。
とても落ち着きながらも、モダンな和室といった印象でした。


…と、こんなにつらつら、ながながと書き留めておきながら…。

実はこちらの旧日向別邸、

「大規模な保存修理工事実施のため2019年1月~2022年3月(予定)の間、
休館となります。再オープンは2022年4月予定です。」

…。

私が訪れたのは2018年の10月末頃。
私がとっとと、さっさと、ご案内差し上げていたら、
ご興味おありの方には修理工事の前にもご覧いただけたかもしれないのに…。
完全に機を逃してしまい、本当に申し訳ないです…。


3年後、どんな風に修復されているかしらと、
また伺いたいと思います。