隊長が読んだ「本と雑誌 」を紹介するシリーズの第46回は、『沢田研二と阿久悠、その時代』をお送りします。
この本は、1960年代後半に、グループ・サウンズ「ザ・タイガース」のリードボーカルとして絶大な人気を誇り、その後は、ソロ歌手、俳優として活動している沢田研二 (ジュリー)。最近では、昨年10月のコンサートドタキャン騒動が注目された、そのジュリーの評伝です。
構成は;
プロローグ
第一章 沢田研二・阿久悠論
序文・「どうせ人の世はさようなら どうせ分かれだけあるんだと」(グッバイ・マリア」より)
「あなたに今夜はワインをふりかけ」 沢田研二、阿久悠の出会い
『思いきり気障な人生』『勝手にしやがれ』への道
『ラム酒入りのオレンジ』 多国籍な歌詞と、立ち位置の葛藤と
『時の過ぎゆくままに』歴史を紡いだ一曲
『カサブランカ・ダンディ』 気障に生きる男の苦しみ
『お前のハートは札つきだ』75~77年の快進撃を
『立ちどまるなふりむくな』 ケンカ備忘録
『ヤマトより愛をこめて』 沢田研二に永遠の愛を
『勝手にしやがれ』 金字塔をもう一度
『憎みきれないろくでなし』 売上げの狭間で
再び『時の過ぎゆくままに』 ドラマと阿久悠と沢田研二
『きわどい季節』 加瀬邦彦さんをもう一度
『お嬢さんお手上げだ』 安井かずみさんとジュリーを語ろう
『ダーリング』 大野克夫、阿久悠そして沢田研二
『デビューは悪女として』 映画『Mishima』 沢田研二と三島由紀夫
そして阿久悠
「さよならをいう気もない」 永遠の別れと未来の中で
エピローグ
第二章 アルバム評・コンサート評
沢田研二の活動、歌詞から改憲論争を考察する
オバマ大統領の広島演説/『我が窮状』/東日本大震災、福島から生まれたプロテストソング/「沢田研二」から戦後を考察する必要性
*沢田研二ライブレポートアーカイブス『こっちの水苦いぞ』
2015年9月21日:河内長野市ラブリーホール
* 沢田研二『祈り歌 Love Song 特集』 ライブ評 2017年1月8日:NHKホール
*沢田研二50 周年記念LIVE2017~2018 8月5日:オリンパスホール八王子ライブ評
*沢田研二新譜『OLD GUYS ROCK 』評
*沢田研二『OLD GUYS ROCK』 オリンパスホール八王子ライブ評
第三章 インタビュー・解説編
インタビュー 1 代々木公園が米軍キャンプだった時代から沢田研二までの物語 猪瀬直樹(作家・元東京都知事)
インタビュー 2 カッコイイジュリー 加藤充(元ザ・スパイダース・ベーシスト)
解説 伝統回帰 阿久悠と沢田研二 三浦小太郎(評論家)
あとがき
著者の秋山大輔さんは、1976年神奈川県生まれ。大学卒業後から文筆業を開始。音楽、政治、歴史、文学等を研究しています。
隊長にとって、評伝の著者と言えば、対象となる人物と同時代を生き、本人と親しいとか、インタビューをしたことのある印象が強いです。例えば、『テレサ・テンが見た夢』 ⇒ http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/003c34225930ed81542e35caf5ec30fc の著者・平野久美子さんは、テレサ・テンと親しく、何度かロングインタビューを敢行しています。
これに対して、秋山大輔さんは、1948年生まれのジュリーより28歳も若く、この本の中でも「沢田研二全盛期の記憶は全くない」と書いています。しかし、氏の両親が懐かしの昭和歌謡曲的な番組をよく観ていて、沢田研二のヒット曲が頭に刻まれていたそうです。
全盛期の活躍をライブで観ていたくても、阿久悠を中心に、沢田研二に創作欲を駆り立てられた人々を資料に沿って論じています。巻末の「参考文献」の頁を見ると、実に90近い本・雑誌、CD・DVDを参考にしていることが分かります。
隊長が興味深く読んだのは、「映画『Mishima』沢田研二と三島由紀夫」の項です。沢田研二と三島由紀夫、接点の無さそうな二人ですが、この映画の中で、ジュリーが三島の世界観を完璧に表現していると絶賛しています。
この本を読みながら、YouTubeにアップされている数多の沢田研二の動画のいくつかを、観ていました。「ザ・タイガース」時代の若々しい映像から、ソロになってからのヒット曲を歌う姿、そして最近のツアーの様子まで。中には、現夫人の田中裕子と結婚前にレジャーボートの上で、デュエットする貴重映像や、芸能レポーターとのバトル、等々。
それらを見ながら、やはりジュリーは、あらゆる意味で、昭和・平成・令和に亘る、希代のスターだと思いました。
尚、「隊長のブログ」で、これまでに沢田研二を取り上げたのは、映画『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』⇒ http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/f28d0086acf890738ad7ef195998959e です。
田中裕子の出演する映画、ドラマは、『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』を含む、6作品を紹介しています⇒ https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/c73a9d3c6fb843f050eafab0eca8a03d
また、「ザ・タイガース」の他のメンバーは、瞳みのるの『老虎再来』⇒ http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/4f839d9bbe229dc378239e5811877561 を、取り上げています。
「沢田研二と阿久悠、その時代」の発行は、株式会社牧歌舎。発行日は、2019年3月11日。価格は、1,400円+税です。
==「本と雑誌」バックナンバー ==
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/dc30502bb229b843454e38b8994f9be0
1~30冊 省略
31冊 2017/6/10 『るるぶ イタリア '17 ちいサイズ』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/8fd07900803a6cdfe70085b562a20298
32冊 2017/8/10 『八十日間世界一周』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/c75e0f2fd594adf77545d2a35f9501ff
33冊 2017/8/28 『レオナルド・ダ・ヴィンチ』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/4b435fa605fda003839cdeb7e61c2e4d
34冊 2017/9/18 『ルネサンス超入門』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/64ece681b5750e5855d15e681dd79fc0
35冊 2017/11/23『日本100名城めぐりの旅』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/3adfccbb6d4f30113aaba407d0f42297
36冊 2018/2/3 『篠原ともえ「御朱印をはじめよう」』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/d1c8862364add0563c147d7f383bc13b
37冊 2018/2/11 『七福神の謎』 http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/55b58e54afffe373e69649d2c65cdddc
38冊 2018/3/17 『ん-日本語最後の謎に挑む』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/4892698c255d0e922d4a5c8860453de3
39冊 2018/5/4 『司馬遼太郎「街道をゆく 本郷界隈」』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/49ab040735f970ba1d3440835b38ccbc
40冊 2018/7/9 『香梅の門―桜田志士外伝―』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/a7e483c1c14da2bae314b9728a1d1a47
41冊 2018/11/18『上海の中国人、安倍総理はみんな嫌いだけど8割は日本文化中毒!』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/caa4fb69631a759fae89a59a622711e8
42冊 2019/1/6 『SAKIMORI』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/3b8d6573a2a3ca238ffcf715cfc16e4f
43冊 2019/1/28 『演劇とはなにか』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/fb2b24afd8e949f1504e7d8a707b395e
44冊 2019/3/21 『林真理子「最終便に間に合えば」』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/4ed2c3cc4f363616dac47d66a9155226
45冊 2019/4/29 『五木寛之「金沢あかり坂」』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/63df50584ec0b5be41f86c16edc4f711
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