隊長が、これまでに鑑賞した「映画」を紹介するシリーズの第161作品目は、『紙屋悦子の青春』をお送りします。
『紙屋悦子の青春』は、2006年8月12日に公開された日本映画です。配給:パル企画。上映時間:111分。
原作は、劇作家・演出家の松田正隆による同名の戯曲。
これまでに、数多くの劇団・演出家により上演されていて、「隊長のブログ」でも、「劇団キンダースペース」による2018年6月の公演を、紹介しています 。
本作品の監督は、黒木和雄。2006年4月に亡くなられた同監督の遺作でもあります。
脚本:黒木和雄、山田英樹。
出演者は、原田知世、永瀬正敏、松岡俊介、本上まなみ、小林薫、ほか。
「隊長のブログ」で取り上げた、原田知世さん出演作品・番組の記事一覧は、こちらをご参照下さい 。
あらすじ:舞台は、敗戦の色が日ごとに濃くなっていく、昭和20年 (1945) 春の鹿児島の田舎町。工場勤務の若き、紙屋悦子(原田知世)は、お国の勝利を信じて、兄夫婦(小林薫、本上まなみ)の元で、慎ましい毎日を送っていました。
そんな悦子が秘かに想いを寄せていたのは、兄の後輩で海軍航空隊に所属する明石少尉(松岡俊介)です。ところが彼女に別の男性との縁談が持ち上がります。兄が見合いの相手として持って来たのが、明石の親友で同期の永与少尉(永瀬正敏)でした。明石は、戦闘機の操縦士。永与は、整備士です。
より戦死の可能性が高い明石自身も、この縁談を望んでいることだと聞かされ、悦子は深く傷つきますが、見合いを承諾します。兄夫婦が不在の見合いの当日、明石は途中で退席し、一人先に帰ってしまいます。
悦子が、永与との結婚を承諾して間もなく、明石が特攻隊として出撃することが決まり、前日に紙屋家に最後の別れを告げに来ました。満開の桜の樹の下、去って行く明石。義姉は、追いかける様に言いますが、悦子はじっと耐えるのでした。
そして、終戦。。。。
感想:声高ではなく戦争の悲惨さを伝える松田正隆の戯曲を、見事に映画化している作品です。現代では、死語となってしまった “純愛” 。そんな “純愛” を貫き通す、ヒロイン悦子に原田知世さんのキャスティングがハマっています。
永与の誠実な性格を、永瀬正敏さんが演じて見せてくれました。妹を心配する小林薫さんの表情も良かったです。
ただ、年老いた悦子と、永与が病院の屋上で語り合う、プロローグとエピローグのシーン。これが舞台でしたら、年配の俳優さんが演じることが出来るのでしょうが、老けメークをしているとは言え、原田知世さんの若さを隠すことは出来なかったのが、少し残念でした。
終戦記念日に合わせて、テレビで放映して欲しい作品の一つです。
最後になりますが、この映画が公開されてから16年が経ちました。黒木和雄監督以外にも、多くのスタッフ・出演者が鬼籍に入られています;
松村禎三(音楽)、木村威夫(美術監督)、和田周(渋谷役)、など(敬称略)。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
==「映画」バックナンバー ==
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Film1~145 省略
Film146 2019/6/25 『The Crossing -ザ・クロッシング- Part II』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/f2e6de828b75a52aec7f61f0a3b670f7
Film147 2019/8/31 『ロケットマン』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/181e562234e904a24b783105a5a56387
Film148 2019/9/12 『SHADOW/影武者』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/5e2e616b5d1912cd493c64d1cfe9cfbd
Film149 2019/9/29 『無宿(やどなし)』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/588d633d181aa89ced0e7e5a5baf9484
Film150 2019/10/5 『さらば、わが愛/覇王別姫』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/b8f2483904c252b83ad163625b9f1258
Film151 2019/12/16『網走番外地 南国の対決』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/36bdbc409dd433b38bf6a1ace78e5f64
Film152 2019/12/30『紙の月』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/c2964d882b465238bd21369d6e5b662b
Film153 2020/1/2 『男はつらいよ お帰り 寅さん』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/938606ed09edbc2462abdb181b602559
Film154 2020/1/7 『WASABI』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/d9f2c5d426f448a9ef643aadefdffb13
Film155 2020/1/12 『若草物語(日活)』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/41b69b41a18e3a1e0c2e2b37c1b6d8c6
Film156 2020/1/19 『男はつらいよ 柴又慕情』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/c726586ed5eb0b0b9ffe59422b33a68e
Film157 2020/2/29 『エイプリルフールズ』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/1880e602a58c4c4225eca85fdb491bfa
Film158 2020/4/10 『ザ・ファーム 法律事務所』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/94adf6a7271acb02df8fe1660617e8b1
Film159 2020/4/15 『恋するシェフの最強レシピ』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/396bd7466fe7f67ced4a23467170e1d3
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公開の時に観ました。
黒木監督の遺作になってしまいましたが、戦争鎮魂シリーズの中でも一番好きかも(^_^.)
たしか一度テレビ放映されたと思いますが、その時は観ていません。おっしゃるように終戦記念日に放送してもらえれば嬉しいですね。
大林宣彦監督も亡くなられました。黒木和雄監督同様、気骨のある映画監督がだんだんと少なくなっていくのは寂しいですね。