古代ローマの遺跡はポルトガルの北から南まであちこちに残っていて、国内最大のものはコインブラの近くのコニンブリガとされている。古代ローマの都市だった遺跡で、貴族の邸宅跡がいくつもあり、屋敷の床は一面にモザイク模様で飾られていた。モザイクの床はわりと保存状態が良いので、今見てもじゅうぶん美しい。
セトゥーバルも古代ローマの遺跡はいくつかあるが、そのほとんどはイワシの塩漬け工場跡だ。ということは、ローマ時代からセトゥーバルはイワシがどっさり取れる漁港だったのだ。取れたイワシを塩漬けにした大きな穴がいくつも残っている。町のど真ん中の銀行の後ろにツーリスモ(観光案内所)があるが、そこもイワシの塩漬け穴がいくつも発掘されて、その上に分厚いガラスの床を張ってあるので、上からじっくり見える。でもツーリスモの受付は一番奥にあるので、お客はガラスの床をおそるおそる踏みながら奥に行く。なにしろ穴がかなり深い。ときどき、足の裏がぞわぞわするのは私だけだろうか?
セトゥーバルの町外れに古代ローマの道が残っている。我が家からクルマで10分ほど走って国道から少し中に入った所で、入り口には説明版が設置されている。
先日久しぶりに行ってみたところ、壊れかけていた説明版が新しくなっていたので、写真に収めた。
地図にはリスボンからセトゥーバル、そこからトロイアに行くルートと、それとは別にアルカサールからエヴォラに行き、スペインのメリダに行くルート。それらがまた枝分かれしてアレンテージョ地方やアルガルベ地方へと伸びている。(リスボンからローマまで2686キロ)
OLISIPO(リスボン)からTAGUS(テージョ川)を渡り、EQVABONA(コイナ)からアゼイタオあたりを通ってCETOBRIGA(セトゥーバル)へ。
対岸のトロイアにもローマの遺跡が残っている。そこでもやはりイワシの塩漬けを作っていた穴がいくつもあり、その一角に、モザイクを張った床がわずかに残っている。
現代の国道とは大きく外れた山道にところどころローマの道が残っている。山の中だから、偶然に今まで保存されたのかもしれない。
近所の古代ローマの道もちょとした里山の中にある。案内板の図をみると、その当時はかなり大規模な土木工事だったらしい。
道路と側溝
土手と道路の区切り
道路の基礎工法
里山に今も残る古代ローマの道。ごろごろした大きな石がびっしりと敷き詰められ、ちょっと歩きにくい。
この道をローマ人は馬車や馬に乗って行き来したのだろうか。
キバナノコギリソウ(アキレア)もローマの道にまだいくつか咲き残っている。この花はギリシャ時代の英雄アキレスがトロイ戦争で足に怪我をして、この花の葉っぱを傷口につけて治したという。
http://blog.goo.ne.jp/takemotohana/e/7b9014d9831b57eb88439636cad04e05
坂道を上ると、道の両側に野生のキイチゴがたくさん実っていた。黒く熟した実だけを摘んで、ローマの道のお土産。
美味しいジャムができました。http://blog.goo.ne.jp/takemotomutsuko/e/3c4b5cceda9e142a96fd4394b7b19366