ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

173. コロナ禍の2月

2021-03-01 | エッセイ

 ポルトガルに武漢ウイルスが侵入して1年が過ぎた。これ程何もしなかった1年はない。そしてあっという間の1年でもあった。

 去年の2月29日の便で一時帰国する予定だったが、断念した。チケットの解約で半額しか戻ってこなかったのは痛かったが、飛行機の往復で感染の恐れがあるし、帰国しても中国人が大量に観光に押し寄せるだろうし、大阪などはいつの間にか周りが中国語だらけになり、どこに行っても彼らの大声に囲まれる。2019年の日本は恐怖だった。

 宮崎では路線バスの音声ガイドで中国語や韓国語、英語のテープが停留所が近付くごとに流れて、思わず耳をおおいたくなった。バスの乗客はほとんどが地元の人達で、中国語や韓国語など必要とする人などいない。観光客のためにどうしてもと言うなら、英語テープだけで良いのではないだろうか。海外に観光に行く中国人や韓国人たちは英語ガイドで理解できるだろう。私たちも今まで多くの国を旅してきたが、日本語の音声ガイドなど聞いたことがない。日本はおもてなしをやり過ぎではないだろうか。

 

バルレア・ロベルティアナ 春の訪れとともに真っ先に咲く大型の地上ラン。

 

 ポルトガルでは今もロックダウンが続いている。緊急事態宣言で、スペインとの国境はすべて閉鎖されて、必要物資を運ぶトラック車両だけが通行できる。国民も自宅待機で、食料などは買いには行かれるが、スーパーの中の衣服売り場はロープが張られて、見ることも買うこともできない。もっともほとんど家にいるから、手持ちの服で充分なのだが。

 今まで運動がてら出かけていた露店市も閉鎖されているから、去年は一度も行けなかった。露店市はあらゆるものが売られているからちょっとした買い物ならほとんど揃う、すごく便利な場所だった。それに、2時間ほど歩き回るので、適当な運動になっていた。早く復活してほしい。

 

ユーフォルビア・カラキアス 大型のトウダイグサ、2mほどになる。

 

 復活といえば、ちょうど今の時期はパスコワ、復活祭である。これも中止。パスコアの前にあるはずのカーニバルも全国的に禁止。ポルトガルは年々規模が大きくなってあちこちで盛大に、派手に開催していた。本家本元のリオのカーニバルも中止になってしまった。

 カフェやレストランもほとんどが閉まっている。テイクアウトに力を入れて頑張っている店もあるのだが、私たちはどういう風に注文するのか判らない。

 

ロスマリヌス・オフィキナリス 無数の蜜蜂が蜜を求めてブンブン飛び回っていた。

 

 ネットをみていると、広告で寿司の盛り合わせが盛んに出てくる。なかなか美味しそうだが、店名が気になる。店名に都市名が使われているものも多い。『TOKYO』『OSAKA』『NAGOYA』などと言うものもある。日本人なら決して付けない『YAKUZA』などもあり、ぎょっとするが、このYAKUZAが口コミでは評判が良かったりする。最近、セトゥーバルに出来た寿司店は『KODACHI』という名前だ。『木立』なら何だか森林浴が出来そうで、清々しい命名だなと思っていたら『小太刀』という意味らしい。何処からの引用かは知らないが、日本人の私にさえ難しい名前だ。寿司といっても、ほとんどが巻物で、それも海苔を使わないカラフルな裏巻き寿司。使っている魚もサーモンばかり。コロナ禍の最中に寿司を注文するポルトガル人がいるのだろうか。寿司は調理する時も過熱していないし、食べる時ももちろん加熱しないで、そのまま食べる。考えると、ちょっと怖い。忍者の小太刀と巻物。煙にまかれてしまいそうだ。2021/03/01  MUZ

 

 

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