えつこのマンマダイアリー

♪東京の田舎でのスローライフ...病気とも仲良く...ありのままに、ユーモラスに......♪

最近の新聞記事より ~協調のときこそ違和感を聞き取る耳を!~

2020年04月18日 | 新型コロナウイルス

(近所の散歩中に見つけたイチリンソウ:記事の内容とは関係ありません)

 

 今日は、2020年4月12日付東京新聞朝刊の「時代を読む」欄に掲載された貴戸 理恵氏(関西学院大学准教授)のコラムを紹介します。

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「家族にも喚起が必要?」

 「気持ち悪い」。4月7日の緊急事態宣言についての首相の会見を聞きながら、思わずつぶやいてしまった。傍らにいた小学5年生の娘が「何が?」と問いかけた。以下、娘との会話である。

 私「うーん。いろいろあるけど、たとえば『皆さん』ってたくさん言ってるのが気持ち悪い。皆さんって誰だろう
 娘「何でそんなことが気になるの?」
 私「だってさ『この2ヶ月で私たちの暮らしは一変した』『かつての日常は失われた』っていうけど、その『私たち』って、新型コロナウイルスの感染が拡大する前には平穏な日常があった人たちってことでしょ。でも、ずっと前からしんどい思いをしていた人もいたはずだよ」
 娘「例えば?」
 私「例えば仕事がなかったり不安定だったりで、先の見えない暮らしをしている人。家や学校で周りの人から暴力を受けている人。そういう社会の中で弱い立場に置かれた人たちにとっては、コロナウイルスのずっと前から命に関わる緊急事態だったんじゃないかな」
 娘「ふーん。それで?」
 私「だけどコロナウイルスでは、社会的に強い立場にある豊かな人や有名人も、感染の危険にさらされているよね。強い人が困って初めて、緊急事態宣言が出されるんだよ。だから、その『皆さん』には弱い立場の人はあんまり入ってないような気がする

 娘「そういうことか。わかったけど、ママ、めんどくさいね」
 私「そうかもね。でも本当に思ってることを言おうとしたら、めんどくさくなるもんじゃないの。だって一生懸命に患者さんの手当てをしているお医者さんや看護師さんに『外出しないで家にいて』って言われたらどうする?」
 娘「そりゃ家にいるよ。感染を増やしたら悪いもん」
 私「そうだよね。じゃあ楽しむために外出した人を『自覚が足りない』って非難するのはどう?」
 娘「そういう面もあるかもしれないけど…。わかんない」
 私「じゃあ、あんたは学校の休校が続いているのはどう思う?」
 娘「それは、ちょっといいけど、やっぱり嫌」
 私「どんなところが?」
 娘「自由だからうれしいけど、友達に会えないのはさみしい。家でママがずっと『勉強しなさい!』って言ってるのも嫌」
 私「悪かったね。でも、やっぱり自分の気持ちは単純じゃないでしょ。それに密閉・密集・密接の3つの『密』を避けて家にいてくださいっていうけど、家族もある意味で密室なんだよね。子どものと一緒にいられるのはうれしいけど、ずっとべったりだと、息が詰まって、ちょっとしたことで叱りすぎたり、管理しすぎたりしちゃう。これ、止めてくれる人がいなかったら怖いよ」
 娘「そうだよ! 本当にやめてよ。家族も換気してくれ

 やぶへびのように出てきた娘の本音が、ぐさりと刺さる。「家族」も一枚岩ではないのだ。いわんや「皆さん」をや、である
 「緊急事態」を受け止める個々の状況や感覚は多様だ。協調が求められる今こそ、他者の発する違和感を聞き取る耳を持っていたい「私たち」の団結を、異質なものの排除に横滑りさせず、共同性に開いていくために

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 (※段落のブロック分けと文章の太字化は、ブログ管理人によります。また、読みやすいように、漢数字を算用数字に置き換えています。)

 


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