えつこのマンマダイアリー

♪東京の田舎でのスローライフ...病気とも仲良く...ありのままに、ユーモラスに......♪

第6章 ホルモン療法 24.

2007年10月04日 | 乳がん闘病記
24.
 2006年11月中旬、それまで9ヶ月間も延び延びになっていた夫の海外赴任が、いよいよ現実になった。闘病生活の精神的支柱の大きな1本だった夫が身近にいなくなったばかりか、発展途上の地で過酷な生活を強いられる彼の身を、今度は私が案じる番になった。

 22年間の結婚生活のうち、夫の単身赴任による別居生活は、合計すると4年近くになる。国内での単身赴任生活に加え、長期の海外出張が多かったからだ。夫がボストンに留学したときなど、最初の半年は一度も顔を合わせることができなかった上、私と子どもたちが追って渡米してからも、ある事情により半年間はボストンで別居生活だった。いわば、別居生活には慣れっこだったのだ。しかも、今回は子どもたちがほとんど成人しているので、夫の不在が昔のように不便ではないはずだ。現に、「夫が単身赴任している」と言うと、「まぁ、いいわね~、天国でしょう?」などと人には言われる。♪亭主元気で......♪???
 でも、夫が家事をよく手伝ってくれ、あらゆる面で保守修繕し、どこにでも車で連れて行ってくれる、まるで便利屋が家にいるような我が家には、それは当てはまらなかった。そして、この別居生活は思いのほか私の体調に影を落とすことになった。夫との他愛いもない日常会話で自分がかなり癒されていたことを、彼がいなくなって初めて気づいたのだった。

 さらに、12月初めに、以前から自立をほのめかしていた長女が一人暮らしを決行した。発病以来、特に腰痛が頻発するようになった秋以降は、家事や雑用をとかく彼女に頼ってきたので、闘病生活の物理的支柱をも私は失ったことになる。8ヶ月間の闘病生活を支えてくれていた2本の柱を、私は同時に失ったのだった。

 それまで「空の巣症候群」などという現象は、自分には無縁のことだと思っていた。子どもたちの成長は確かに生活のよりどころの一つではあったが、それだけを生きがいにしてきたつもりは全くなかったし、むしろ、子どもたちには1日も早く自立してほしいと願ってきた。昨今、母親と娘が姉妹のように仲良く連れ立っているのをよく見かけるが、我が家に関してはそういうこともあまりなかった。ある程度距離を置いた母娘関係だと、少なくとも自分ではそう思っていたのだ。
 ところが、意外なことに、娘が私の暮らしに開けていった穴は、家事や雑用といった物理的なものだけではなく、精神的なものにも及んだ。思いもかけず、なんともいえない淋しさに私は襲われてしまったのだ。夫の不在とあいまったのかもしれないけれど…。

 その寂寥感や空虚感と関係があるのかないのか、私は冷えと腰痛にその後も悩まされ続けた。そして、私にとって忘れがたい年となった激動の2005年は、こうして過ぎ、年が改まった。

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2 コメント

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子離れ (だちょう)
2007-10-06 12:15:05
私はよく家内から外ではよくしゃべるのに家のなかでしゃべらないと責められます。まぁ、聞き役に回っているのですが。
それでも結構気晴らしにはなっているようで、いろいろアドバイスを求められます。他人には言いにくいことで悩む場合は、つい自分のなかで堂々巡りになりやすいので、自分の考えの整理という意味でも人に悩みを話すというのは効果があるのかもしれません。

ところで、家内は子離れできない典型です。いまから、娘が結婚したら近くに住めとか近くに引っ越すとか冗談とも本気ともつかないようなことを言っています。
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だちょうさんへ:聞き役は大事! (takuetsu@管理人)
2007-10-06 17:21:27
しゃべらないと責められちゃうのですか?おほほほほ。可愛い奥様ですね。
でも、聞き役になれるのはすばらしいことだと思いますよ。聞き役ってむずかしいですものね。ただ黙って聞いてあげたいと思いつつも、つい自分の意見や助言を言っちゃったりしがちです。
「傾聴ボランティア」というのが最近あるくらいですものね。
実は、私は話すのがとても苦手(だから、こんなブログを書いているのだと思います)、聞く方が好きなのです。そのうち、この「傾聴ボランティア」を始めようかと思っております。

夫がいなくなって、だいぶ聞き役をしてもらっていたことがわかりました。だから、だちょうさんが奥様に責められながらも聞いてさしあげていることは、奥様が気づいているかいないかは別にして、とっても大事なことなのだと思います。奥様もほんとは心の中で感謝なさっているのでは? ふふふ。

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