あまりの蒸し暑さに熱中症気味で、ヘロヘロになりながら過ごしております。冷房が苦手なので、睡眠中は一切使わず、日中でさえ使うことは少ないのですが、さすがに朝起きるとクラクラと目が回り、何時間か全く動けないときがあります(^_^;
今年も、広島と長崎に原爆が投下された8月6日と9日の両日が過ぎました。本日、2017年8月9日付の東京新聞朝刊の「本音のコラム」欄に、文芸評論家の斎藤美奈子氏が二重被爆について寄せた投稿を紹介します。
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「二重被爆」
8月6日の広島と9日の長崎で、二度の原爆を体験した人たちがいる。二重被爆と呼ばれる。
まさか、そんな偶然ってあるんだろうか。
もっとも有名な二重被爆者は、晩年になって体験を語りはじめた山口彊(つとむ)さんだろう。山口さんは当時、三菱重工長崎造船所の製図工で、5月から2人の同僚とともに広島造船所に長期出張中だった。8月6日は長崎に帰る前日だったが、通勤途中、爆心地から3キロ地点で被爆した。
ひどい火傷を負ったものの、はってでも家族のいる長崎に帰りたい。7日、長崎行きの避難列車が出ると聞き、がれきの中を歩き、やっとの思いで己斐駅(現在の西広島)から列車に乗った。
8日、24時間近くかけて列車は長崎に到着した。治療を受け、妻や子どもと再会した。しかし翌9日には…。
数年前、イギリスのBBCが彼を「世界一不運な男」として嘲笑的に扱い、謝罪に追い込まれたことがあったが、二重被爆者は少なくとも百数十人はいるとされる。当時の広島造船は創設されたばかりで、長崎からの応援組も大勢いた。
以上の話を私は稲塚秀孝『二重被爆』(合同出版)で知った。核兵器廃絶を訴え続けた山口さんは2010年、93歳で亡くなった。7月7日の核兵器禁止条約に署名しなかった日本。首相は今日、長崎で何を語るのだろう。
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(※文中の段落のブロック分けは、ブログ管理人によります。)
二重被爆について、国は戦後60年以上も聞き取り調査すらせず、国民に知らせてきませんでした。山口彊さんを始めとする7名の二重被爆者の証言を基に製作され、2006年に公開された記録映画「二重被爆」により、漸く二重被爆の実態が知られることとなり、さらに、その後の山口さんを追って製作され、2011年に公開された映画「二重被爆 ~語り部・山口彊の遺言」によって、実態がより明らかになったのです。
私は何年か前に、「二重被爆 ~語り部・山口彊の遺言」を観ました。
二重被爆者でありながら長命を全うされた事実だけを知った人は、「二重被爆しながらも、長生きされたものだ」と思うかもしれません。でも、山口さんは胆嚢の摘出や白血球減少症などと闘いながら、家族のために懸命に生き抜かれたのです。
世間の偏見や差別を避けるため、山口さんは自らの経験を長年語らずにきましたが、2005年に原爆症が原因で愛息の捷利(かつとし)さんをガンで亡くした(享年59歳)ことをきっかけに、語り部となることを決意、長女の年子さんのサポートを受けながら、精力的に活動されました。2008年に胃ガンの進行がわかった後も、その活動が止むことはありませんでした。
二重被爆しながらも生かされている意味を自らに問いかけ、「自分の経験を語り継ぐために生かされた命」と考え、語り部になることを決意した山口さん…。映画の中で、時折胸に迫って言葉に詰まりながらも、一言一言をしぼり出すようにして語りかけていた姿が忘れられません。
「人間の世界に核は要らない」
「核の平和利用とは言っても、原発に問題があることは、自分の経験からもわかっていること」
「平和の大切さ…私からあなたたちにバトンタッチします」
米国から来て、山口さんの語りを聴いた16歳の男子高校生が訊きました。「こんな目に会わされたら、普通は相手を憎むはずなのに、その国の人間にどうして語りかけることができるのですか?」と。山口さんはこう応えました。「肌の色が違っても、言葉が違っても、あなたも私も同じ人間です」と。
それが、山口さんの遺言的メッセージ、「One for All, All for One」につながっています。
安倍首相は、広島の式典でこう語りましたね(東京新聞掲載の「安部首相のあいさつ要旨」より引用)。今日の長崎の式典でも、同じ内容を語っていました。
「唯一の戦争被爆国として『核兵器のない世界』の実現に向けた歩みを着実に前に進める努力を積み重ねていくことが私たちの責任だ。真に『核兵器のない世界』を実現するためには、核兵器国と非核兵器国双方の参画が必要だ。わが国は非核三原則を堅持し、双方に働き掛けを行うことを通じ、国際社会を主導していく決意だ。」
見事なまでの言動不一致ですね(^_^; こうおっしゃるのなら、核兵器禁止条約にまずは署名(そしてさらに批准)してくださいよ。唯一の戦争被爆国が署名しないでおいて、「核兵器のない世界」の実現はあり得ないでしょう…。あなたさまのおっしゃる「核兵器国と非核兵器国双方の参画」とは具体的にどういうことなのですか? 「双方に働き掛けを行うことを通じ、国際社会を主導していく」とは? しかも、「主導する」のですね? お偉い立場なんですね…。でも、言動不一致の方の言うことに、果たして国際社会は耳を傾けてくれるでしょうか???
最後までおつき合いくださり、ありがとうございましたm(__)m
安倍首相ほど,平然として虚しいことばを次々発する人も,そう多くはないですね。
核兵器禁止条約に署名しない被爆国で,原発事故が起きても原発推進をしている活断層だらけの国で,今後どうなることやらですねー
森友とか加計とかの問題で、いわばスキャンダルで、ようやく安倍政権の支持率が落ちたけど、本来ならそれ以前に、政策の内容や国会運営の強引さという、その強権的な体質そのものに、国民が早くから「ノー」をつきつけるべきでしたよね。そういう国民であってほしいと切に思います。
遅きに失す…ということにならないことを願います。いや、願うばかりではなく、一人一人が自分の願いを行動に表わさないとね。