25.
2006年が明けた。1年前の今頃は、まさかその3ヵ月後に自分の人生が激変することになろうとは想像できるはずもなかった。でも、未来が予見できないからこそ、人は生きていられるのかもしれない。悪いことまで見通せてしまったら、その時点で生きていく勇気が萎えてしまいそうだ。2006年が平穏であることを願うばかりだ。
昨年11月にジャカルタに赴任した夫は、年末年始を3日間だけ日本で過ごし、そそくさと戻って行った。2年に一度ほど風邪を引く程度で体調を崩すことなどめったにない彼が、赴任直後から咳が止まらない状態が続いているので、私は気が気ではなかった。50歳を目前にして環境の激変に順応するのは、やはり楽なことではないのだろう。その後、彼の咳は春まで続くことになる。
2006年1月7日。Y先生の診療日。放射線を当てた術側の脇と上腕のツレや下半身の冷えがこたえていたので、待ちに待った診療だった。先生は開口一番、私の手紙に対するお礼を言ってくれた。年内に診療の予約がとれなかったので、年末年始の挨拶を兼ねて近況を報告していたからだ。「お返事も書かないで失礼しました」とも言う。
治療前のインフォームドコンセントが決して充分ではなかったことについて、先生に対する不満や疑問が渦巻いた時期もあったが、信頼が根底から揺らぐほどではなかった。むしろ、発病以来の月日を振り返ってみると、総じて感謝の気持ちが強かった。医師へのつけ届けなど一切しない患者である私に対し、多忙を極めていることが垣間見える診療体制のもとで、先生が精一杯誠実に対応してくれていることは、診療の度に充分に伝わってきていた。また、いつも自然な笑顔を絶やさず紳士的で、患者に敬意を払う態度は、つき合いが長くなっても最初と変わることはなかった。そんなY先生に対する感謝の気持ちをも、手紙で伝えてあったのだ。
懸案の冷えを改善する方法として、先生はビタミンEやB12の処方を第一に提案した。しかし、「抹消の血行をよくするのには効きますが、全身となるとどうですかね…」と思案気でもある。
ビタミンEは以前から服用していたし、漢方薬の服用を考えていた私は、それが妥当かどうか訊いてみた。Y先生が漢方を治療に取り入れることを手術前に確認していたので、問題ないと思っていた。「それでもかまいませんよ。でも、あくまでも臨床ベースで、それほど詳しくはないんですよ」と率直に言いつつ、先生は目の前にあった本を広げた。これくらいは想定内だったので、私は次の言葉を待った。
すると先生は「体を温めるとなると、やはり[朝鮮]人参系がいいですかねぇ……」と、私の反応を見ながらしばらく考えた後、「もし、これが、というご希望があれば、それでもいいですよ」と来た。―え゛? そんなんでいいのぉ? 私が自己処方するわけぇ?― 私はさすがに面食らったが、よく考えてみればこちらの思うツボでもあった。サイモントン療法でとり戻した治療の姿勢、セルフメディケーションを、毅然と貫けばよいではないか。今こそ、「目には見えない叡智」「自分の中に宿る医師」の出番ではないか! そう思った。私の体はY先生より私の方がわかっているのだ。
2006年が明けた。1年前の今頃は、まさかその3ヵ月後に自分の人生が激変することになろうとは想像できるはずもなかった。でも、未来が予見できないからこそ、人は生きていられるのかもしれない。悪いことまで見通せてしまったら、その時点で生きていく勇気が萎えてしまいそうだ。2006年が平穏であることを願うばかりだ。
昨年11月にジャカルタに赴任した夫は、年末年始を3日間だけ日本で過ごし、そそくさと戻って行った。2年に一度ほど風邪を引く程度で体調を崩すことなどめったにない彼が、赴任直後から咳が止まらない状態が続いているので、私は気が気ではなかった。50歳を目前にして環境の激変に順応するのは、やはり楽なことではないのだろう。その後、彼の咳は春まで続くことになる。
2006年1月7日。Y先生の診療日。放射線を当てた術側の脇と上腕のツレや下半身の冷えがこたえていたので、待ちに待った診療だった。先生は開口一番、私の手紙に対するお礼を言ってくれた。年内に診療の予約がとれなかったので、年末年始の挨拶を兼ねて近況を報告していたからだ。「お返事も書かないで失礼しました」とも言う。
治療前のインフォームドコンセントが決して充分ではなかったことについて、先生に対する不満や疑問が渦巻いた時期もあったが、信頼が根底から揺らぐほどではなかった。むしろ、発病以来の月日を振り返ってみると、総じて感謝の気持ちが強かった。医師へのつけ届けなど一切しない患者である私に対し、多忙を極めていることが垣間見える診療体制のもとで、先生が精一杯誠実に対応してくれていることは、診療の度に充分に伝わってきていた。また、いつも自然な笑顔を絶やさず紳士的で、患者に敬意を払う態度は、つき合いが長くなっても最初と変わることはなかった。そんなY先生に対する感謝の気持ちをも、手紙で伝えてあったのだ。
懸案の冷えを改善する方法として、先生はビタミンEやB12の処方を第一に提案した。しかし、「抹消の血行をよくするのには効きますが、全身となるとどうですかね…」と思案気でもある。
ビタミンEは以前から服用していたし、漢方薬の服用を考えていた私は、それが妥当かどうか訊いてみた。Y先生が漢方を治療に取り入れることを手術前に確認していたので、問題ないと思っていた。「それでもかまいませんよ。でも、あくまでも臨床ベースで、それほど詳しくはないんですよ」と率直に言いつつ、先生は目の前にあった本を広げた。これくらいは想定内だったので、私は次の言葉を待った。
すると先生は「体を温めるとなると、やはり[朝鮮]人参系がいいですかねぇ……」と、私の反応を見ながらしばらく考えた後、「もし、これが、というご希望があれば、それでもいいですよ」と来た。―え゛? そんなんでいいのぉ? 私が自己処方するわけぇ?― 私はさすがに面食らったが、よく考えてみればこちらの思うツボでもあった。サイモントン療法でとり戻した治療の姿勢、セルフメディケーションを、毅然と貫けばよいではないか。今こそ、「目には見えない叡智」「自分の中に宿る医師」の出番ではないか! そう思った。私の体はY先生より私の方がわかっているのだ。
ただ、それ以来咳が出たらひどくなるので、早めに医者に行き、咳が止まるまでしっかり薬を飲んでます。
サプリは摂らない主義なのですが、ビタミンEやB12、朝鮮人参の効果があるのなら試してみたいと思います。
追加の情報をお待ちしています。
咳は出るべくして出るものなのでしょうけど、体力を消耗しますよね。
私はしゃっくりや嘔吐を催しただけでぎっくり腰になったことがあるので、咳も大敵です。
冷えは万病のもと、と言われますが、本当のようですね。この闘病記の時点より8ヶ月後に漢方薬の門を叩いたのですが、ずばりそれを指摘されました。後刻記しますが...。
冷え→血行不良→内臓や筋肉の機能が低下→病気発症 ですものね。
手近なところでは、生姜、にんにく、とうがらしが冷えには良いのでしょうね。よく言われているとおりですが...。