ケイシロウとトークアバウト

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秘密に引きこもり

2022-06-21 22:09:59 | 日記




とある年齢不詳の男が、
パーカー着てフード被ったまま、
雑魚寝していた。
部屋は二重カーテンに閉め切り、
パソコン用ゲームソフトが散らかった部屋やった。
この男の名は、
忠生(タダオ)と言い、
長年、
引きこもっていた。
そんなタダオが、
スマホ📱の現時間見つめ、
「あいつが来る」と不機嫌に呟き、
起き上がって、
隣室に入り、
ドアを閉めた。

しばらくして、
引きこもり息子の部屋前に、
ゲキという名の父親がパスタ🍝を持ってきた。
そして大声で、
「置いとくからな!!」と叫んだ!
返事は無かった。
ゲキは、
歩き去った。

しばらくして、
隣室からタダオが自室に帰ってきて、
ドアを開けて、
パスタ🍝を取り、
すぐに閉めた。
そして、
スマホゲームしながら、
パスタ🍝を食った。

こういう無味乾燥な父子関係は、
日常生活の中でシリーズ化した。

ある日、
ゲキの甥に当るレフティがやって来た。
レフティは勝手に合鍵使って無言で上がり込み、
「叔父さん!叔父さん!」と叫んだ。
ゲキはトイレの中から、
「レフティ、勝手に上がらないで。それから叔父さん、出かかってるから」と声掛けした。
レフティは、
「この前持ってきたゲームソフトにダチのメアドのメモ入れててさ。メモ欲しいんだけど」と言うと、
ゲキはトイレから、
「わかった。でも、叔父さん、出かかってるから」と返答した。

レフティは台所に行き、
その隣部屋に物置兼地下室への階段を降りた。
そして薄暗い室内を歩き続け、
突き当たりにある階段を上った。
真っ暗な部屋に出た。
そのまま、
その部屋の隣に行くと、
そこはタダオの部屋やった。
なのに、
タダオはいなかった。

レフティは気にすることなく、
ダチのメアド入れたゲームソフトを探していた。
そこに、
先程の真っ暗な隣部屋から、
パーカー姿のゲキが入って来た。

レフティはゲキに背を向けたまま、
「叔父さん。俺の母さんが、引きこもり息子と親父のひとり親子劇するのそろそろやめろと言ってるよ」と言うと、
ゲキは、
「サマーはな子供いるからいいけど、俺にはいないんだし。嫁にも逃げられたし、ほっといてほしいよな」と言うと、
レフティはゲキに向かい合い、
「空想の息子がいること信じて、子供と父親の一人二役してた叔父さんスゲーよ!けど、空想親子で息子を引きこもりにして苦労するなんて、意味あんの⁉️」と言った。
ゲキは、
「タダオは俺の人生の鏡なんや。俺の人生を忠実に生きてる息子なんや」と答えた。
レフティはゲームソフトにあったメアドを取ってポケットに入れ、
「母さんにはテキトーに言い訳してやるから金くれよ」と言った。
ゲキは、
財布を出して、
3千円渡した。
レフティは「Amazonギフト券が買えるぜ」と言った。

レフティは、
隣室に行って階段降りて、
さっき来た物置兼地下室を戻って行った。
その背後からゲキかタダオか判別不明の声が、
「親父、レフティ入れたのか?後で家の中調べろよ!ナニか無くなってるぜ」と言うと、
「わかったよ、タダオ。本当にレフティは困ったヤツだ!」と返答された。

レフティは後で俺に言った。
「凶公。子育てって大変なのは現実だけかと思ってたら、空想の中でも大変なんですね」、と。
俺は心に言った。
「それはお前のアホなおいさんだけやろうが」、と。