もう、旧正月も過ぎましたが、博物館に初詣 #3をまとめました。
小林古径「踏絵」と前田青邨「朝鮮之巻」です。
両作品とも、トーハク所蔵の近代日本画では大好きな作品で、それぞれ、過去のブログ
にも掲載しています。
上の二つの記事は、ページビューも多いので、今回、新しく撮った写真でお色直しを
してみました。
まず、「踏絵」から。
今回の撮影分では、軸装も含めて、ワイドにし、色彩等の補正も抑えめにしました。
ただ、ガラス面に天井や照明が映り込み、残念なのですがご容赦を。
3人の女性達のアップです。 表情が妙に艶めかしく感じるのは、私の修業が足りないせいか。
次は、前田青邨「朝鮮之巻」です。
大正三年(1914年)、単身、朝鮮に渡り、平壌付近で取材した成果とのこと。
城門を通り抜ける市井の人々。 左下の女性は洗濯中の姿だと思います。 昔は、洗濯物を棒で叩いていたんですね。
当時は、ほとんどの人が白衣で、両班と呼ばれる官僚支配階級だけが
色付きや柄付きの服を着ることを許されていた。
それにしても、自由闊達な筆さばき、さすが青邨だ。
当時の民俗が、よく捉えられていると思います。
女性は頭の上に籠?を載せて、物を運ぶ姿が多い。 そして、短いチョゴリ(上着)から、乳房が見えているんですね。
赤ちゃんの背中への抱き方は、日本ではおんぶですが、当時の朝鮮では、腰に巻いた布でくるんだようで、ポテギという
そうです。
市場の群衆の光景、素晴らしい描写力です。
河岸の光景。 平壌を流れる大同江でしょうか。
瓦葺の屋根には、魔除けの雑像(チャプサン)が。
河岸で洗濯する女性達。 白い着物なので、洗濯は大変だったでしょう。
頭に載せているのは、洗濯物だったんだ。
緑布の屋形船のような舟は、何なのだろう。
もう一艘、同型の舟が描かれていて、女性が網?を引いている?・・・その横には鼓を打つ女性
ますます分からなくなりました。
釣りをする小舟、洗濯をする女性達、展示はここまでです。 生活風俗を活き活きと表現した青邨の画力は、本当に素晴らしい。
生き生きとした登場人物たちは、今にも言葉を発しそうです。
短いチョゴリから・・・の下り,私も探してみました。
こんな風だったんですね。
おおらかと言うか、今ではあり得ない光景ですが、ちゃんと描かれていますね。
冒頭の三人の女性たちはそれぞれに美しいですね。
私には、何か下心があるように見えます。
私のひがみでしょうか(笑)
越後美人さんの(私も)、骨董好きにも、ひょ
っとして繋がっているのかも。
”私には、何か下心があるように見えます。”
鋭いですね。
踏絵の博物館の解説には、”運命を自ら選択し・・・云々” と高尚そうでよく分からない
ものになっていますが、当時は、内面でキリス
ト教を信仰さえすればよい、という考えが広ま
り、役人の前では堂々と絵踏みをする隠れキリ
シタンがひろまっていたようです。
この絵にも、若干のためらいはあるものの、絵
を踏むと決めている、したたかな女性の表情が
汲み取れます。 そうした意図を、簡潔で美し
い線描で表現した小林古径の技量に感心するば
かりです。
コメントありがとうございました。