光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

東京国立近代美術館(2012.3.3) 川瀬 巴水

2012年03月10日 | アート 浮世絵・版画

川瀬巴水の版画は、最近、町田市立版画国際美術館の記事でも紹介しましたが、近代美術館では、大きなショウケースに十点ほど東北の風景版画があり、壁面に花を描いた版画一点が展示されていました。

まず、1919年(大正8年)の旅みやげ第一集から。    なお、取材地はすべて東北から選ばれており、東北大震災への配慮と思われます。
陸奥 三島川
八戸市の三島神社の湧水が三島川となり生活用水となっていたようです。  今は三島川はなくなっているとか。
水を汲んで天秤桶で運ぶ女性、野菜でも洗っているのでしょうか子供連れの女性、少し頼りない満月、サイレンか何かの地域の放送柱、全体に弱々しい線ですが、暮れゆく風景と生活を見事に描いています。



 


松島 かつら島
松島湾に浮かぶかつら島、名勝の松原の清掃風景。  単に風景だけでなく人間の営みを加えているのが、巴水の美的感覚なのでしょう。私も同感。



 


松島の材木島
松島の代表的な名勝だったこの島、このように大きな穴が開いていたのですが、昭和44年に上の岩が崩れて、今は二つの島に。



 


巴水の作品には、夜や薄暮れを描いたものが多い。  これも月光に照らされた海面や島影が美しい。



 


夜の青葉城、月影に浮かぶ姿を捉えています。



 


雪や雨の風景も多い。  確かに雪や雨は人の心を鎮め、詩情豊かな風景をつくり出す。



 


日本的な詩情あふれる風景、家屋の破れ戸も、生活感を感じさせます。  海外で人気が高いのも分かります。



 


星降る夜の中尊寺といった感じでしょうか。   私も写真で、夜の風景を撮るのは好きです。(難しいのですが)



 


雪の光景。  雪の表現も簡単なようで難しいと思うのですが、これは牡丹雪かな。



 


最後に、ダリアを描いた作品。
展示の企画で、ダリア特集があり、そのなかの一点です。


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