「生誕140年記念特別展 木島櫻国 PartⅠ 近代動物画の冒険」 に行ってきました。(2018/2/23)
フライヤーです。
フライヤーにも載っているメインヴィジュアルの「寒月」が素晴らしい。
私にとっては、国宝級の屏風絵に思えます。
室内の展示光景。 左の屏風絵が「寒月」です。(美術館より、特別許可を得て撮影しています。)
展覧会は、動物画を中心に、画業をたどる構成になっていますが、「寒月」が図抜けて素晴らしいので、先に「寒月」をメイン
に紹介し、後編で、他の作品などを紹介します。
正面から
「寒月」を初めて見たのは、2013年の「夏目漱石の美術世界」展、漱石が当時の新聞の美術批評欄で、「寒月」を酷評している
ことを知り、驚きました。 もう一度見たいと思って、2014年に泉屋博古館分館の木島櫻国展に行ったのですが、展示替えのため
見逃してしまいました。
そして昨年、京都の泉屋博古館で本展が先行開催されたとき、NHK Eテレの日曜美術館で「漱石先生 この絵はお嫌いですか
~木島櫻国~」と題して紹介されたのを見て、櫻国の絵の先進性、革新性になるほどとうなずき、もう一度見たいと思っていました。
(3月11日9:00から、Eテレで再放送があるようです。)
それでは、いただいた図録と、京都泉屋博古館の実方(さねかた)葉子学芸課長の詳しい解説も含めて「寒月」の魅力を述べてみた
いと思います。
図録の表紙です。
図録本文に載っている狐の顔の拡大図。 眼が鋭い・・・櫻国の他の動物絵は、優しさを湛えた眼が多い。
図録の裏表紙です。 月明りに浮かぶ夜空と雪景色が絶妙。
実方学芸課長の話では、この空の色は何を使ったのか、まだ分かっていないそうだ。
こちらは、図録本文の竹林の拡大図。 高価な群青を焼いて、黒い青味を出している。
右下の解説に”野草の白綿毛の油彩風なマチエールも新鮮”とあります・・・確かに、この白い花が
効果的なのです。
屏風の右側部分です。 白い綿毛がリズミカルに目に入ってきます。
綿毛の華の部分を拡大。 油彩風なマチエールが分かります。
実方学芸課長の話では、櫻国は洋画家の浅井忠と親交があったらしく、その影響も考えられるとのこと。
次に、「寒月」が生まれた土壌も観ることができます。
写生帖です。 中央右の券は、動物園から贈られた優待観覧券(年間パスポート)
写生帖の狐の顔、「寒月」と連なっています。
同じく、貴船の雪景。 ここで、獣の足跡を見たことが「寒月」の契機になった。
まず、「寒月」編はここでおきます。
寒月の東京といっても、こちらは泉屋博古館分館の入口。 白い綿毛の代わりに、高層ビルの窓明りが美しい。
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