光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

「ドレス・コード?―着る人たちのゲーム」展(京都国立近代美術館)を観て

2020年01月13日 | アート 現代美術

 半年前になりますが、2019年9月8日(日)に京都、翌9日(月)は富山へとアート巡りをしました。

その中で、一番グッときた「ドレスコード? 着る人たちのゲーム」(京都国立近代美術館)をまず紹介します。

巡回展となっているので、早めに投稿しようと思ったのですが、10月14日に下書きを作成して以来、滞っていました。

↓展示会のチラシです。

 

 

京都国立近代美術館の4階展示室入口前の窓からは、平安神宮の大鳥居が真横に見えます。

鳥居の右奥には、今年、2020年3月21日にオープンする京都市京セラ美術館(リニューアル前は、京都市美術館)

 



カメラを右に振ると、粟田口方面が見えます。 

京の七口の一つで東海道の終点、三条大橋も近く江戸時代も人や荷の往来で賑わった。

 



カメラをさらに右に振ると、白川の流れや、東山の山や街並み。

 

 

 さて、展示は一部を除いて撮影禁止でしたので、撮影可の部分を。


この3作品は、目を惹きました。

コム デ ギャルソン/川久保 玲

ドレス  2018年春夏

川久保 玲のブランド、コム デ ギャルソンがパリ・コレクションで発表した作品。

左端の作品は、龍や鳥の絵が描かれています・・・16世紀に雪村が描いた水墨画!

中央は、高橋真琴が描いた少女マンガ

右端は、美しい花の絵のドレス・・・・と思いきや

 



上半身部に描かれた絵は、16世紀のアルチンボルトによる奇妙な肖像画、下半身部はミグノンの17世紀の静物画。

恋人がこんなドレス着て現れたら、どうしよう・・・

 各ドレスは、インクジェットでプリントされたものとか。

 

 

 

 この展覧会で、一番気に入ったのは、

都築響一(選)《ニッポンの洋服》 2019年 です。

公式サイトから引用

東京の若者たちの居住空間を取材した「TOKYOU STYLE」、一つのファッション・ブランドにのめり込んだ若者のコレクションと

その暮らしぶりを取材した「着倒れ方丈記」などで知られる都築響一。都築は学生時代から雑誌「ポパイ」や「ブルータス」などで

現代美術や建築、デザイン、都市生活などの記事を担当し、テレビや雑誌ではだれも取り上げようとしない、大多数の人々の普通の

生活に密着したモノやコト、そして王道から外れた多彩なアマチュアの異才を紹介してきました。

またニッポンのリアルな装いとして「お水スーツ」や「ヤンキー成人服」、「極道ジャージ」、「異色肌」といった、<業界が着せたい

服>ではなく<自分が勝手に着たい服>を追い求める人々を取材しています。・・・・・”

 

私は、都築響一を知りませんでした。  この展示をみて、そして都築の書いたキャプションを読んで 、一気にファンになりました。




 展示風景です。

《ニッポンの洋服》は壁面の写真パネルになります。前面に展示してあるマネキン人形が撮影不可のため、会場風景は撮れなかったのですが

熊本現代美術館(巡回展示中)のプレスリリースに、展示風景が掲載されていたので引用させていただきます。

 

京都国立近代美術館 展示風景 © 京都服飾文化研究財団、福永一夫氏撮影

 

 

では、《ニッポンの洋服》を見ていきましょう。

下の写真パネルの右端が《レディース》、中央から左側が《北九州市成人式》



 ↑こちらが、会場でのキャプション  


さらに詳しいキャプションが

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 として公式Webサイトに載っています。

このテキストは、素晴らしい。 一風変わったドレスコードの生い立ちが、ショートストーリーになって、脳内に蘇る。
写真をみると、「へぇー」となるのですが、テキストを読むと「リアルなんだ」・・・と唸ることになる。

ちなみに、上の写真の 《レディース》、《北九州市成人式》のテキストを以下に貼り付けます。

レディース

暴走族が路上の絶滅危惧種とするならば、レディースは絶滅種といえる。

1970年代に登場した暴走族とともに、ヤンキー雑誌も数種発売されていたが、ヤンキー少女をフィーチャーした初の雑誌『ティーン
ズロード』(ミリオン出版)が創刊されたのは1989年。いきなり編集部には仕事に支障を来すほどの電話、毎日段ボール箱ぎっしり
の手紙、ハガキが殺到する大反響を呼び起こした。編集部には専用の留守電が設置され、24時間電話を受け付けていたが、ほぼ一日
で数時間分のテープが埋まってしまうほど、全国から熱い読者の肉声が吹き込まれていた。その多くはヤンキー関連よりも、彼氏、
親、友達、シンナーの悩みなどのシリアスな内容。実際に購読していた読者が圧倒的に普通の子だったことを、よく示していた。

1990年の第5号では埼玉県東松山市のレディース「紫優嬢」が表紙を飾った。総長U子の紫のニッカにさらし姿とアイドル並みの容姿
はきわだっていたが、集合したメンバーの中で取材チームに強い印象を与えたもうひとりが「すえこ」。紫優嬢の最年少メンバー、当
時まだ13歳の少女だった。すえこはその3年後、15歳で紫優嬢4代目総長に就任、『ティーンズロード』史上でもトップクラスの伝説
的存在として、全国に知られるようになる。
すえこの壮絶な青春は2008年に自伝『紫の青春—恋と喧嘩と特攻服』にまとめられ、2011年には『ハードライフ』として映画化もさ
れている。『紫の青春』刊行時にリリースされた略歴はこんなふうに書かれていた——

 1975年、埼玉県に生まれる。中学1年生、ヤンキーになる。タバコや深夜徘徊、無免許暴走行為で補導される。中学2年生、レディ
 ース『紫優嬢』に入る。中学3年生、喧嘩や集会などレディース活動にあけくれる。15才、紫優嬢4代目総長になる。テレビ、雑誌
 などメディアでカリスマヤンキーとして有名になる。16才、レディース連合『北関東女魂連盟』の会長になる。傷害事件で逮捕。少
 年院に入る。17才、退院後、紫優嬢を破門になり、地元を追われる。18才、スポーツショップでアルバイトをする。覚せい剤で再逮
 捕。19才、結婚。出産。23才、離婚。運送会社で働きながら子育てをする。27才、お互い連れ子同士の再婚。28才、出産。30才、
 出産。4人の子供の母親として子育てに奮闘する。

中村すえこさんは2009年に少年院出院者の自助組織「セカンドチャンス!」を立ち上げ、現在まで作家、ソーシャルワーカー、食育
アドバイザーとしてさまざまな分野で活動を続けている。

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版

 

北九州市成人式

福岡市に次いで県内第2、そして九州でも第2の人口と経済規模を誇る北九州市。近年は暴力団排除条例がらみで物騒なイメージが先行
してしまっているが、もともと港湾都市の門司、石炭積出港の若松、軍都の小倉、八幡製鉄の八幡に戸畑と、国内有数の規模を誇る産業
を持つ5市が合併しただけに、潜在的なパワーはかなりのもの。それぞれキャラが強いだけに、市としてのイメージがまとまりにくいき
らいはあるが、九州全域でも最重要都市のひとつであることは間違いない。

2014年1月12日の朝、北九州市の中心である小倉の、北九州メディアドーム前は異様な熱気に包まれていた。パンチパーマと並んで(!)
小倉が発祥地である競輪用のレーストラックを備えたこの多目的ドームで、2014年度の成人式が開催されるのだ。
毎年、成人の日が近づくと「どこの成人式は荒れる」とか「暴走族が騒いだ」とか、お決まりの話題がマスコミを賑わすが、小倉の成人式
はその絢爛豪華にして独創的な衣裳で、ここ数年かなりの注目を集めるようになってきて、僕もようやく現地入りできたのだった。
式典開始の午前10時前から、ドーム前の広場は人、人、人、色、色、色で埋め尽くされる。カラフルという言葉ではとうてい追いつかない
、彩度マックスの色見本がぶちまけられた、巨大なパレット状態だ。

全身金色の羽織袴の男子軍団がいる。キャバ嬢のように盛り盛りのヘアに、極彩色の振り袖に、さらにラインストーンを貼りつけた娘がいる。
帯を前で結び、両肩をぐぐっと思い切りはだけた「花魁ふう」で、寒さに鳥肌を立てている子もいる。

車道では真っ白なストレッチリムジンや、貸しきった観光バスからハコ乗りで半身を乗り出したヤンチャものたちが歓声を挙げ、それをガー
ドマンたちが必死に追いかける。そういうあいだをテレビカメラや、新聞雑誌のカメラマンたちが右往左往、新成人たちは缶ビールを空けては
握りつぶし、タバコをふかし、久しぶりに会う同級生とハグしあったり、互いの晴れ姿を携帯で撮影しあったり。

気がついてみれば式典はとっくに始まっているのだが、この、つかのまの祝祭空間を離れがたくて、「早く受付してください~!」というガー
ドマンの声にも耳を貸さず、自分たちだけの時間を楽しんでいる新成人がたくさんいる。

すごい、ここは。音楽のない野外フェスのようだ。リーダーもない、規則もない、競争も勝ち負けもない、21世紀の傾奇者たちの勝手気まま
な祭りのようだ。

こういうのを見て、オトナたちはまた眉をひそめるのだろう。お調子者とか、馬鹿騒ぎとか、田舎者とか、九州の恥とか、そういう言葉でひと
くくりにしてしまうのだろう。でも祝祭空間の真ん中に立つ僕に、この場所は、お仕着せの伝統的な成人式衣裳を着せられて、お行儀よく政治
家や役人の挨拶を聞かされるどっかの成人式より、はるかに自由で、エネルギッシュで、独創的に思えて仕方がなかった。

こんなふうに個性的な成人式シーンが北九州の地で花開いたのは、実はここ10数年のこと。そのシーンを担ってきたのが、レンタル衣裳と写真
館を兼ねる『小倉みやび』だ。女の子の衣裳はさまざまな店からのレンタルがあるが、男の子の派手な衣装はほぼ『みやび』という、その小倉
本店に成人式のあと寄ってみた。

店内を覗いてみると、地味な洋服姿の中年女性が数十人、畳のフロアにぐったり座り込んでいる。新成人の帰りを待つお母さんかと思い、スタッ
フの方にうかがってみたら、なんと着付けの先生たちだった。成人式の当日はここ、みやび小倉本店に、午前1時半くらいからお客さんが続々
来店、午前5時にはすでに100人ほど、成人式開始までには400人くらいのお客さんをさばくそうで、そのために着付けの先生も50人近く駆り
出されているのだとか。

趣味の写真で生活したくて自力でスタジオを立ち上げ、いまでは『レンタルコスチュームみやび』と、撮影の『アートイン写観(しゃかん)』
を率いる船津敦さんのお話によれば——

ブライダルと成人式、このふたつは、式はしなくても写真だけは残しておきたいという、ニッチなニーズが昔からあったんです。成人式には
参加しないけど写真だけ、披露宴はやらないけど写真だけ、というお客さんですが、そういう方たちはまず、写真館に相談に来るわけです。
そういうときに、こちらに衣裳があればぐっと敷居が低くなるでしょ。
それで撮影用のドレスや振り袖を一点一点、少しずつ揃えていったのが、貸衣裳の始まりですね。そしたら衣裳が増えていくにつれて、どん
どんスペースが必要になってきて、それまでの八幡のスタジオが手狭になったので、小倉に移ってきました。やっぱり小倉は、北九州でいち
ばんメジャーな場所ですし。お客さんも、衣装選びから始まることが多いので、増やしていかないとならないし。

それでいまから10年ほど前なんですが、成人式の時期に、男の子のお客さんが来て、派手な紋付はないのかと言うんです。うちにあるのを見
せたけど、もっと派手なのがほしいと。普通のやつが着てるのじゃなくて、頭ひとつ抜けたいんだって。
それでいろいろ見本を見ながら相談
を始めたんですが、やっぱり別注だからお金かかるでしょ。そのころのレンタルの常識の、3倍ぐらいかかるよって言ったら、「無理します!」
って言うんです。19歳の男の子がですよ(笑)。
で、こっちも意気に感じたというか、「赤字だけど、やっちゃおう!」と。何度も京都に通って、従来にない生地を探してもらって、縫製の丈
や形も変えて、普通の紋付きよりゴージャスな、迫力の一着を作ったんです。白地に金柄が入って、丈はぐっとロングで、背広みたいなセンタ
ーベンツで・・・・・・。それは大変だったけど、おもしろくもあったので、そういうお客さんにはこれから、否定するんじゃなくて前向きに対応し
ようと。
だからいまの派手派手なのや、花魁スタイルみたいな着方もこちらの提案じゃなくて、お客さんの要望なんです。花魁については映画の『さく
らん』が起爆剤でしたね。とんがった女の子が「花魁やりたい」って言ってきて。
いまの子たちはいろんな情報を持ってますし、独自のファッ
ションセンス、メイクのセンスを持ってますよね。だからオトナが「こうあるべきじゃないか」と言ったって、若い子たちのこだわりとはすご
くジェネレーション・ギャップがあるんです。それを従来の写真館や衣裳屋さんはわからないから、お客さんから新しいニーズが来ても、対応
してあげないんですね。昔からのスタイルを守るだけなんで、着物も従来どおり、写真もレトロになっちゃうんですよ。
メディアドームで撮影したときは、もちろん本人に「写真撮らせて」と頼んでシャッター押すのだが、付き添いのお母さんとお話する機会もけ
っこうあった。ものすごい格好をした息子や娘を前にして、お母さんたちの反応は「困ったもんで」の苦笑ではなくて、100パーセント「いい
でしょ!」という肯定&応援の笑顔。なかには子供よりお母さんのほうが熱くなってる場合もあって、ヒップホップふうに言えば、すごくいい
ヴァイヴスが流れていた。

成人式の翌日、小倉から博多に移動して、おしゃれなイベントスペースでトークをしたのだが、そこで少しだけ成人式の写真を見せたら、北九
州出身の若者から「あんなの例外で、みんながそうなわけじゃないですから!」と抗議された。じゃあ、どれくらいの割合なの?と聞き返した
ら、「う~ん、6割ぐらい」。6割って!

銀座や表参道でもない、ミニ表参道みたいな博多でもない、やっぱり最先端は北九州のような、トップが上から目線で見下す場所にある。トッ
プの場所にいるから、メディアにはそれが見えない。でも、メディアが見ていなくたって、時代は変わっていく。

小倉みやび

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版

 
 
 次は《ロリータ》です。
ロリータのキャプションが写真中央右にありますが、これを拡大しても文字が判読しづらいため、手で打ちました。
詳細はテキスト完全版をお読みください。 なお、テキスト完全版では、タイトルが、ベイビーたちのマッド・ティーパーティとなっています。
 
《ロリータ》

映画『下妻物語』でフィーチャーされたロリータ・ファッション・ブランドが「ベイビー・ザ・スターズ・シャイン・ブライト」。
年に一度開催する「本部お茶会」はフルコースの食事にたくさんのお土産つき、このお茶会に出席するために、外国から来日した
ファンもいる。性別も国籍も関係なく、ロリータの世界観を愛する人たちが、みんな一つになった、この場所でつかの間の時間を
楽しんでいる。パーティが終わって、ここから一歩
外に出れば、またそれぞれの暮らす場所で、マイノリティである日常が待って
いるのであろう。
はるか彼方の、幻想のマリー・アントワネットの世界を夢見ながら、時の止まった世界に生きようとする女の子たち、女の子のこ
ころを持った男の子たち。ふわふわ
のコスチュームにくるまれた奥にある、だれにもさわれない硬質の結晶が、世間には見えてい
ない。
それはフリルとレースをまとった、完璧なパンク・スピリットなのだ。

                                                A Mad Tea Party for Babies

 

私も、10年ぐらい前に大阪駅前で、7、8年前に新宿駅で、ロリータファッションしかもバレリーナ風に脚をみせた、結構、高齢の

女性、男性を見ました。 その時は、唖然としたのですが、そうか、パンク・スピリットなんだ。

 



《ホームレス》

自転車に乗っている2匹の猫、本物の猫なんだ!




《極道ジャージ》

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 極道ジャージ

テキスト完全版の最後にあるリンクをクリックすると

イヤー、あるんですねアウトロー専用のファッション通販、ムショ割とか出所割などの値引きサービスまで!


《病みカワイイ

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 病みカワイイ

カワイイに”病み”をつける気分わかります。



タトゥー/スカリフィケーション

ドキッとしました。 ・・・これもドレスコード?


タトゥー/スカリフィケーション
撮影 都築響一 2019年

世界が憧れる刺青聖地であるはずの日本が「入れ墨で温泉入っていいのか」なんて議論にあけくれているうちに
、身体改造という世界のボディアート最前線は、はるか先を走っている。古代文明のなかで、邪悪な存在から身
を守る魔除けとして発達したタトゥーやピアスなどの装身具は、いまや全身を覆うパワフルでスピリチュアルな
ボディ・デザインとして——すなわち衣服とこころのあいだを結ぶ、からだにもっとも近い衣服として——機能
し始めているのだった。
四川省出身、北京でモデル兼スカリフィケーション(皮膚に付けた傷により、体に模様を施す行為)・アーティ

ストとして活動を始めた小愛(シャオ・アイ)は、日本人トライバルタトゥー・アーティストとの出会いから来
日、東京に拠点を移して活動中。全身を蛇の肌の文様で覆うことに決めて、いまも黒く塗りつぶすプロセスを続
行中だ。すでに両腕は真っ黒になって、年内には全身の「蛇化」が完成予定という。

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 タトゥー/スカリフィケーション


中国出身の小愛さん、テキスト完全版を読むと、驚くような展開の人生、才媛でもあり、意志の強

いこの方のタトゥー姿、もし、混浴の温泉に彼女が入ってきたら、私はどうするだろうか? 

カエルのように固まって沈んでしまうかも



《鶴と亀》

《鶴と亀》

写真提供:鶴と亀 

過疎の限界集落への問題提起でもなく、「都会を捨てた田舎暮らし」の夢を語るのでもなく、いまそこにあるイナカと
そこに住むジジババたちのファンキーな生きざまをリスペクト目線で追う、たぶん日本唯一のメディア、それが『鶴と
亀』。長野県飯山市に住む小林徹也・直博兄弟によって、2013年から発行されているフリーペーパーである。
鶴と亀』に登場するじいちゃんばあちゃんがもしも奇異に、突飛に見えるとしたら、それはメディアが垂れ流す年寄り
イメージに、こちらの目が曇ってしまっているということだ。延々とループする「お茶のみ」噂話に興じ、電動カート
で坂道を爆走し、温泉ランドでカラオケを絶唱し・・・・・・。ファンキーだったりドープだったりする『鶴と亀』の誌面が
ユーモアをまじえながら突きつけてくるもの、それはそのまま田舎のリアリティだ。

                                      The Cranes and Turtles of Okusinano

 

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 奥信濃の鶴と亀

 

 

《インディーズ演歌のロック・スピリット》  上2枚

《お水スーツ》               下1枚

 インディーズ演歌

撮影 都築響一  2015

ロックやヒップホップだけでなく、演歌の世界にも「インディーズ」という分野があって、それも演歌業界の中では
無視できない割合を占めているのだという事実を、僕はスナックや、健康ランドに貼りだされたポスターから知るよ
うになった。
「大ヒット」とか「テレビ出演」とか「メジャー」という言葉とは、ほとんど確実に一生無縁であるこ
とは、たぶん歌っている本人もわかってる。わかってるけど、歌ってる。歌わずにはいられないからだし、歌いつづ
けることしかできないから。 
そして「名も知らぬ演歌歌手」として生涯を終える。そんな彼らの、ロックを超えた
ロック・スピリットに、僕はなによりも「ブレない人生」の貴さを教わった。(上:ケニー池田、中:みどり・みき)

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 インディーズ演歌のロック・スピリット

 

夜の戦闘服・お水スーツ

撮影 都築響一  2009

スナックに欠かせないものはまず第一にママさん、お酒、カラオケマシン、それに「お水スーツ」だ。夜の酒場ではい
まだ「制服」的スタイルだが、お水スーツを取り上げるファッション・メディアはひとつも存在しない。
グルメ雑誌に
出てくる夜の酒場は、老舗バーとかだけど、いまだに日本のオトナの大半は、「今夜飲みに行く」といったら、それは
「スナックに行く」というのと同義語。なのにスナックのガイドブックや雑誌の特集がまったくないのと、そのいびつ
な状況はよく似ている。(写真 愛媛県宇和島市タイガー&ラビットかすみママと珠玉のお水スーツ・コレクション)


 

以降は、写真とテキスト解説のリンクのみで。(文字数制限に近づいたため)

異色肌ギャル》

 

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 異色肌ギャル



《ジュリアナ》

 都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 ジュリアナ・クイーン

 

《ラブドール》

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 ラブドール 永遠に眠れる森の美女

 


《ゴム祭》

 

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 ウグイス谷のラバーソウル

 

 


《週末ハードコア》

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 週末ハードコア




 

《地下アイドル》 

 

都築響一(選)《ニッポンの洋服》テキスト完全版 地下アイドル


以上、長くなってしまいました。 なお、本展は当初、京都と巡回で熊本の2か所の展示でしたが、最近になって

東京オペラシティ アートギャラリーでの開催も決まりましたので、紹介しておきます。

熊本市現代美術館  会期2019年12月8日(日)~ 2020年2月23日(日)

東京オペラシティ アートギャラリー 会期2020年4月11日(土)~ 6月21日(日)

東京展、どうしようかな?


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