12月14日追記しました。 追記部分は緑色。
2022年10月22日(土)、姫路市立美術館で
杉本博司「本歌取り―日本文化の伝承と飛翔」展を観てきました。
えっ、東京から姫路!・・・と訝りますよね、実は翌10月23日に
亡母の13回忌を、滋賀県の米原で予定していて、引出物の調達で
22日は大阪へ行く手筈にしていました。 その後、この展覧会を
思いだし、時間は間に合うので、姫路まで足を伸ばすことにした
のでした。
22日、12時20分に姫路駅到着、タクシーで姫路市立美術館へ直行。
早速、展示室に入ってすぐの光景を
中央の彫刻 兵庫県指定文化財 <性空上人坐像>
平安時代中・後期(10-11世紀)一木造、彩色、彫眼 書寫山圓教寺
右側の掛軸 杉本博司 <性空上人像>
2022年 ピグメント・プリント、和紙
本展のテーマにちなみ、本歌と”本歌取り”した作品をパースペクティブに撮ってみました。
背筋が冷たくなったのは、性空上人坐像の虫喰いの傷跡を見て。
杉本博司は、狩野永徳筆の安土城図屏風※に執心で、誰も見たことが無い屏風なのですが
想像で本歌取りして、姫路城の屏風を作った。・・・うーん
杉本博司 <狩野永徳筆 安土城図屏風 想像屏風風姫路城図> 2022年 ピグメント・プリント、和紙
※安土城図屏風
・1580年(天正8年)狩野永徳筆で、織田信長の命により安土城とその城下町が描かれている
・1585年(天正10年)3月 天正遣欧使節により、ローマ教皇グレゴリオ13世に献上されるも現在は
所在不明
展示室の様子。 暗くて、この写真でシャッタースピードは1/8秒、感度6400です。
撮影は一部を除いてOKでしたが、キャプションに載っている本歌にあたる画像は
撮ってはいけないとのことで、キャプションの撮影が不自由でした。
ここで、本展のパンフレットを。
展示に戻って、国宝 紅白梅図屏風の本歌取り。 右下に見える梅の花びらは、須田悦弘の木彫り
ここで、本歌を。
この写真は、2017年3月3日、熱海のMOA美術館リニューアルオープン展で撮ったものです。
確かリニューアルの設計も杉本博司で、月下紅白梅図も展示されていました。 その写真も
あるのですが、本展の暗い照明下での写真のほうが迫力があります。
月下紅白梅図の部分拡大図。 花びらの細かいところに、微妙な陰影があって、唸ります。
本歌の紅梅部分図。
<廃仏希釈>
明治時代の汚点というべき、廃仏希釈。 ミクストメディアの杉本補作の三天王像が並んでいましたが
・・よく分かりませんでした。 ウシオ電機の電球???
神代-現代 ミクストメディア
広目天 杉本博司補作
離れて展示されていた本歌の四天王像は、文化庁所蔵で撮影禁止。
杉元博司が、現代美術作家として世界的に評価を確立した<海景>シリーズの写真です。
承久の乱で、隠岐に配流された後鳥羽上皇の和歌を本歌とした海景。
手前の海面が、風を受けてうねっていますが、ブログ画面では判りづらいかも。
数理模型の下部を接近撮影。 ピントが合わないけど、それが良かった。
本歌です。 Webより
蔓が活けられていますが、さすがに須田悦弘の木彫りは無いよね、と思ったら
木彫りでした。 利休の竹花入れに似合うこと。
須田悦弘 <屁糞蔓 掃溜菊> 2015 木彫り彩色
掛軸の表現は、洋でも調和するのが新鮮。
本展が契機で新たに知った美術用語 ”シミュレーショニズム”
シミュレーショニズムとは、広告やメディアをとおして周知されたヴィジュアルや、誰もが知って
いる名画など既存のイメージを「盗用」することで、オリジナルを意図的に変換させたア-ト。
本来であれば、芸術において邪道とされるコピーや模倣を、表現の手段として用いたアートで、日本
の作家でいえば、森村泰昌、福田美蘭、村上隆などの作品に多い。
シミュレーショニズムの概念がわかると、↓の作品もなるほどとなります。
大明神の明の字が????
杉本博司の本歌取り展の作品紹介は以上です。
シミュレーショニズム、悪いイメージの盗用芸術という言葉よりも、本歌取りといえば
馴染みやすいのは確かです。 だけど、本歌を超えてビビッとくる作品を産み出すのは
容易じゃないですね。
以下は姫路市立美術館の庭園の彫刻など
中谷芙二子は、高名な物理学者の娘さんなのですね。そして霧の彫刻は
大阪万博の頃から始めたシリーズだなんて・・・
サッカーのゴールポストのような霧の噴射装置が左右にあり、霧(高圧ノズルからの人工霧)
が漂いはじめました。(1時間おきに10分間ほど放出)
市立美術館も、白鷺城に負けずにクラシカルです。
明治時代の建物(明治末~大正2年建築・旧陸軍第10師団の兵器庫、被服庫)を
保存活用したものとか。
短時間で見終えて姫路駅まで歩き、カレーで小腹を満たし、新快速で大阪に向かいました。
この展覧会はうっかりと知りませんでした。
その頃、陶器市と菊花展に心が逸っていて、こんなに見所の多い展覧会だったとは
見逃して残念に思っています。
美術館とお城をセットできれいにまとめられましたね。
おまけに彫像まで入れて三点セットは初めて見ました。
こんど私も挑戦してみたいと思います~(^_-)-☆
現代アートの敷居の高さで、知名度が上がらなかった本展ですが、骨董好きの越後美人さんだったら、楽しめたでしょうね。(杉元博司は、ニューヨークや日本で骨董商も手掛けていました)
もっと早く記事をアップできれば良かったのですが、最近は調べるのに時間がかかっています。
霧の彫刻で、庭園での撮影も楽しめました。
霧のなかに浮かぶ美術館とお城と越後美人さんの
いけばながマッチしそうな気が、・・・スミマセン勝手な願望で。
コメントありがとうございました。