9月13日(土)国立西洋美術館で「私は見た:フランシスコ・デ・ゴヤの版画における夢と現実」
新館の版画素描展示室で展示していました。 会期が2014 年7月8日(火)~9月15日(月・祝)
なので、終わっていますが面白かったので紹介します。
ゴヤの自画像です。 油彩の自画像も有名ですが、版画のこの作品、あえて風采の上がらぬ中年男に描いています。
版画の代表作が、『ロス・カプリーチョス』(1799年出版)、『戦争の惨禍』(1810-20年頃制作)、『闘牛技』(1816年出版)、そして『妄』(1820-23年制作)
という四点の連作形式の銅版画集です。
それらを、八つの視点で分類したキャプチャが、わかりやすかった。 キャプチャで説明した作品を主に 紹介します。
この作品をみて、あらためてベラスケスのカルロス王子を見たのですが、王子の疑いの眼差しが、よく表現されています。
〈ベラスケスの模写〉:バルタサール・カルロス王子 1778 年 エッチング、ドライポイント/簀目紙
解説を読むと、売春に絡んだ光景、当時のアート表現としては、アブナイもので、販売も短期間に打ち切りになったとか。
表の顔が宮廷首席画家としてのゴヤ、このような幻想を表現した版画は、ゴヤの裏の顔、内なる心を顕わしている。
〈ロス・カプリーチョス〉: (5) 類は友を呼ぶ 1799 年
エッチング、アクアティント、ドライポイント/簀目紙
〈ロス・カプリーチョス〉: (14) 何たる犠牲か 1799 年
エッチング、アクアティント、バーニッシャー、ドライポイント/簀目紙
〈ロス・カプリーチョス〉:(75) われわれを解き放してくれる者はいないのか 1799 年
エッチング、アクアティント、バーニッシャー/簀目紙
ウッと眉をしかめたくなる作品。 洋の東西を問わず、妖怪や悪魔、鬼といった日本の古い絵巻でも餓鬼草子など、不気味な絵は脈々とあり、ゴヤのこの絵も
意識の底にある怒り、怨念・不安が噴き出たものと思います。
〈妄〉: (7) 無秩序の妄 1816 -19 年
エッチング、アクアティント、ドライポイント/網目紙
ゴヤは自由主義者で、既成の腐敗した宗教権威を批判する作品を多く作っている。
〈ロス・カプリーチョス〉: (23) 身から出た錆 1799 年
エッチング、アクアティント、バーニッシャー、ドライポイント、エングレーヴィング/簀目紙
〈ロス・カプリーチョス〉: (49) 小悪魔たち 1799 年
エッチング、アクアティント、バーニッシャー/簀目紙
〈ロス・カプリーチョス〉: (53) 何て有難いお説教 1799年
エッチング、アクアティント、バーニッシャー、エングレーヴィング/簀目紙
〈ロス・カプリーチョス〉: (52) 仕立て屋のなせる業 1799 年
エッチング、アクアティント、バーニッシャー、ドライポイント、エングレーヴィング/簀目紙
ゴヤが生きているときは出版されなかった《妄》作品。 生きているときに出せば弾圧や迫害は必至だったでしょう。
〈妄〉: (17) 忠誠 1816 -19 年
エッチング、アクアティント、バーニッシャー/網目紙
〈ロス・カプリーチョス〉:(43) 理性の眠りは怪物を生む 1799 年
エッチング、アクアティント/簀目紙
〈ロス・カプリーチョス〉: (34) 睡魔が彼女たちを圧倒する 1799 年
エッチング、アクアティント、バーニッシャー/簀目紙
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