光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

ゴヤ〈戦争の惨禍〉全場面を観て

2024年08月08日 | アート 絵画

国立西洋美術館、ゴヤの版画《戦争の惨禍》のレビューです。

2024年5月15日(水)に鑑賞したのですが、遅すぎるアップでスミマセン。

 

メインヴィジュアルと“はじめに”

ゴヤの生前には公開されなかった版画集・・・ゴヤは首席宮廷画家でしたが、政治的には自由主義派で、仏軍が撤退した後、復活した王政

から、弾圧されかねない立場だった。 特に、リベラルな表現がある、この版画集を発行することは、危険なことだった。

 

 

作品撮影はOKでした。 全場面を撮影していますが、その中から、解説付きのものを

中心に選びました。 場面状況が、分かりづらいためです。

なお、凄惨な場面が多いので、あらかじめ、お断りをしておきます。

 

では早速、第1番

この場面は、最初、カットするつもりだったのですが、背景の黒く、激しい線描を見ていると

魔物や魑魅魍魎に見えてきて、善性と、闇、魔性を表現していると感じ、載せることに。

 

 

2番、3番

制服の仏軍兵に対し、スペインの民衆は、敗残兵と下級聖職者、農民によって組まれた小部隊で

フランス軍占領地域で、ゲリラ活動を活発化させ、フランス軍を悩ませた。

ゲリラとは、スペイン語で、このスペイン独立戦争の中で生まれた言葉だった。

仏軍兵はゲリラを正規兵とは扱わなかったので、捕らえると賊徒として処刑したので

さらに報復的虐殺を生んだ。

 

戦争時の、女性への暴力を描いた場面

 

 

 

 

 

 

 

 

処刑場面  ピンボケしてます。スミマセン

15番 もう助かる道はない   1810-14年頃(1863年)  
15, And Nothing Can Be Done

 

 

26番 見るに堪えない 1810-14年頃(1863年) 
26, One Cannot Look 

 

 

凄惨な場面

30番 戦争の惨害   1810-14年頃(1863年)   
30, Havoc of War 

 

 

 

 

マドリードを襲った飢饉(1811‐1812の冬)の場面

48番 あまりにもむごい! 1812-14年頃(1863年) 
48, Cruel, Pitiful Sight

 

 

50番 可哀そうなお母さん! 1812-14年頃(1863年) 
50, Unhappy Mother!

 

 

 

55番 物乞いは最低だ     1812-14年頃(1863年) 
55, The Worst Is to Beg

 

 

 

 

 

 

 

強調されたカプリチョスの場面

※「カプリチョス」は気まぐれ、戯れ、奇想などを意味しますが、ゴヤは、迷信、偽善、欲望などを

 含んで用いた。

65番 これは何の騒ぎだ      1814-15年頃(1863年)  
65, What Tumult Is This?

 

 

 

71番 大衆の利益に反して  1814-15年頃(1863年) 
71, Against the Common Good

 

 

 

 

77番 綱が切れるぞ 1814-15年頃(1863年) 
77, The Rope Is Breaking

 

 

 

 

 

79番 真理は死んだ   1814-15年頃(1863年) 
79, Truth Has Died

 

80番 彼女は蘇るだろうか?    1814-15年頃(1863年) 
 80, Will She Be Resurrected?


   対する批判として解釈されるべきでしょう。

 

 

81番 残忍な動物!     1814-15年頃(1959年) 
81, Fiace Monster!

 

82番 これが真理だ 1814-15年頃(1959年) 
82, This Is the Truth

1820年から1823年まで実現したスペイン立憲革命ですが、フランスのルイ18世がブルボン系のスペイン王

を守るため介入し、フランス軍を派遣し挫折した。

ゴヤは、当時のスペインの自由主義者弾圧を避けて1824年、78歳の時にフランスに亡命し、

ボルドーに居を構え、1828年、82年の波乱に満ちた生涯を閉じた。

 

さて、本展覧会は終了していますが、神奈川県立近代美術館 鎌倉別館で下記展覧会があります

ので、お知らせします。

ゴヤ版画  『気まぐれ』『戦争の惨禍』  展

会期は、『気まぐれ』8/10~9/8  『戦争の惨禍』9/10~10/20   です。

 

なお、過去のブログですが、2014年に鑑賞した、ゴヤの版画展(国立西洋美術館)も参考までに

「私は見た:フランシスコ・デ・ゴヤの版画における夢と現実」その1

「私は見た:フランシスコ・デ・ゴヤの版画における夢と現実」その2


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