2014年4月7日。
《本当に「ご縁」に恵まれたベルリン。そのベルリン最後の夜は「ドイツで活躍する小児科医」荒川さんとお話をさせていただいた。一緒にビールを飲みつつ、同級生ということもあってバカ話にも花が咲いてしまったのだが、やはりそのお話はグッとくるものであった!》
すげぇなぁ~と単純に思った。
カッコイイなぁ~と素直に思った。
だってドイツで活躍するお医者さんって・・・カッコイイですよね?自分が小さく見えて、ちょっと嫌になりますわホント(笑)。
荒川さんとは、日本にいる知人の紹介でお会いすることができた。ご多忙にもかかわらず、快くお会いして下さった荒川さん。同級生ということもあり、インタビューというよりは楽しくメシ食って酒飲んで・・・という感じになってしまったのだが、貴重なお話、そしてグッとくるお話を聞かせていただいた。
小学生の時に旧西ベルリンに住んでいたこともあるという荒川さんのお話にはとても説得力があり、考えさせらるものがたくさんあった。ということで、今回は荒川さんとのインタビューレポートでございます~!
※このデッカイビールがまた最高でした~!
Q1:荒川さんの今のお仕事について教えていただけますか?
A1:お医者さんですよ、普通の(笑)。僕は小児科医なんですけどね。
Q2:荒川さんは、どうして小児科医になろうと思ったんですか?
A2:すごく理由は単純で、「国境なき医師団」に入りたい!って思っていたんです。それで小児科医か産婦人科医を考えていたのですが、結局小児科医になりましたね(笑)。
大学4年生の時にボランティアでカンボジアに行ったのですが、その時病院も見学させていただきました。誤解を招く言い方かもしれませんが、発展途上国の医療は面白いですよね!基本的なことをやるだけで劇的に変わるんです。日本で10年間働いてきましたので色々な考えも生まれてきていますが、発展途上国医療への想いは強いですね。
Q3:なるほど、そうだったんですね!「国境なき医師団」の活動には僕もすごく関心があります。ところでドイツと日本では、病院でのお仕事や医者の様子では大きな違いはありますか?
A3:患者さんそのものを診る目は、日本の医者の方が高いと思いますよ。細かいことによく気付くし、日本では1人の医者が同じ患者さんを診るので、何か変化があればすぐに分かる。そして良くも悪くも日本の医者は忙しいので(苦笑)、揉まれまくっているので仕事が速いですよね。
じゃあドイツはどうなのかというと、アカデミックな面では完全に日本より上だと思います。医学生のレベルも高いですね。そこは日本は負けていると思います。
じゃあ仕事そのものはどうなのかというと、日本人より遥かに遅いんですよ。しかしそれはシステムの問題なんです。ドイツの医者は仕事の時間がキッチリと決まっていて、必ず時間になれば交代の医者が来る。そこまでバリバリやらなくても大丈夫なんですね。
しかし日本はそうではなく、急に患者さんの容体が悪化した時などは、何日も病院に泊まり込むことだってあります。よく言われているように、相当なハードワークですよ。その反面患者さんの様子がよく分かるという良さもありますが、かなりきついですよね。
でもドイツはそうではない。労働時間をキッチリ区切って、必ず次の医者が滞りなく来るシステムを作ったんです。確かにその度に医師が変わってしまうというデメリットもありますが、キッチリ休みを取ることができる。この確立されたシステムはすごいと思いますよ。ドイツ人は自らそのシステムを作り上げたのですから。
Q4:それはすごく興味深い話ですね。日本ももっとそういうシステムを取り入れられないものでしょうか・・・。では荒川さんの将来的なビジョンをお聞かせ願えますか?
A4:僕はターミナルケア(末期医療)の子ども達を何とかしたいと思っているんです。昔はそういった子ども達には、もう死ぬかもしれないということを基本的には伝えなかった。しかし死を間近に迎えた子どもは「もっと早くに言ってほしかった」というケースもあるんです。
それで今は死ぬかもしれないということを伝える流れになっているのですが、そういう子ども達の力になりたいと思っているんです。でも今はドイツにいて、ドイツ語ではそこまでのケアが正直できません。やっぱり母国語じゃないと細かいニュアンスが話せないですし、日本でそういった子ども達を助けてあげたいですよね。
Q5:言葉のニュアンスって本当に微妙ですからね。すごくよく分かります。そう言えば荒川さんは昔旧西ベルリンに住んでいたことがあるそうですが、そのような小さい頃からの海外経験が生きているな~と思うことはありますか?
A5:小さなことでビビらないですよね(笑)。自分が「異質」な存在として生きていたわけですから。よくからかわれたりもしましたよ。
でもその経験が、今のドイツでの生活にもやはり糧になっていますね。
Q6:ずっと日本で生まれ育った僕には、そういう経験が小さい頃にできたというのは本当に羨ましいです。ではいつもお聞きしているのですが、最近内向きだと言われている日本の若者に向けて、何かメッセージをお願い致します!
A6:そうですね、日本人ってイケてるぞ!って言いたいですね(笑)。日本人だからこそできること、例えば気配りだったり細かい気遣いだったり、相手を立てることや空気を読むこと、礼儀正しいことなど、間違いなく素晴らしいですよ。日本人が持っている「輪」の精神は絶対に生かせますし、世界で生き残る強い力だと思います。
じゃあ日本人の何が弱いのか?それは「発信力」だと思います。せっかくとってもいいものを日本人は持っているのに、それを発信する力が弱い。ここが勿体ないですよね。
自分をアピールする力、自分の主張を通す力が日本人はやはり弱い。だから、日本人の良さが伝わっていない部分が多々あると僕は思います。この力がこれからは絶対に必要ですよね。
ではそのために何が必要か?それは「英語」だと思うんです。医学の世界では、学会でも何でもやはり全て「英語」なんですね。この英語力がないと、せっかくの良いものも発信できないんです。僕は英語は「伝えるためのツール」として、絶対にこれからは必要なものだと思います。
ドイツ人からも「なんで日本人はそんなに英語が下手なんだ?」と聞かれることがあります。こちらでは英語は話せて当然で、英語がペラペラでも全然尊敬されません。当たり前のことなんですね。
論文にしても、日本人は一度英語の論文をネイティブの人にチェックしてもらうのが一般的です。でもドイツ人はそのまま提出できてしまうんですね。せっかくいいものをたくさん持っている日本人なのに、「伝えるツール」がないだけで上手く伝わっていない。ここが弱点ですよね。
※この肉の塊・・・さすがはドイツ!マジで腹一杯になりまくりでした!
実は荒川さんとのお話の中で一番盛り上がったのが、この「英語談義」だったのだ。僕は以前から「英語より国語」論を展開しているので、一見すると荒川さんの意見とは相反するようにも見えるかもしれない。
しかし、僕はそうではないと思っている。僕もこの世界の現状において、やはりどうにも英語が必要だというのは何度も感じてきた。僕もそれはよく分かっているつもりである。
だからこそ、そのベースとなる国語こそが大事だと僕は言っているのであって、決して英語そのものを否定しているのではない。母国語による「土台」があってこそ、次の言語がそこに乗っかることができる。その「土台」を頑丈に構築しないままに上ばかりを高くしようとしてしまうと、それは丈夫なビルにはならないと思うのだ。
この「英語談義」の中でとても面白かったのは、荒川さんのご意見は「最前線にいるからこそ」のものだということだ。医療現場の最前線にいるからこそ、英語の必要性を強く感じておられるということなのだ。
その点で言えば、僕は甘ちゃんだ。英語を本当に必要としない立場にいる僕と、日々英語の必要性を感じている立場におられる荒川さん。そんな荒川さんのお話にはとても説得力があり、僕の心にグッと響いた。僕の心の中に、これまでになかった新たな「考え方の種」を植え付けていただいたというか・・・そんな感覚になった。
本当に温かい雰囲気の荒川さん。きっとこんな優しいオーラで、日々子ども達に接しているんだなぁ・・・と、しみじみ感じた。本当に素晴らしいお医者さんなのだと、話しているだけで十分に感じ取ることができた。
お忙しい中2日間もお時間を取って下さり、サッカーを見ながらビールを飲んだりドイツ料理を食べながらビールを飲んだり・・・(笑)と、本当に楽しい時間を過ごさせていただいた。心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました!
「荒川さん、日本に帰ってきたら、Sくんと一緒にガッツリ飲みましょう!その時にしっかりお礼を致しますので、どうぞよろしくお願い致します!」
2014年4月7日。ちょっと微妙な雰囲気が漂う、ポーランドの地方都市クラクフの安宿にて。
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《本当に「ご縁」に恵まれたベルリン。そのベルリン最後の夜は「ドイツで活躍する小児科医」荒川さんとお話をさせていただいた。一緒にビールを飲みつつ、同級生ということもあってバカ話にも花が咲いてしまったのだが、やはりそのお話はグッとくるものであった!》
すげぇなぁ~と単純に思った。
カッコイイなぁ~と素直に思った。
だってドイツで活躍するお医者さんって・・・カッコイイですよね?自分が小さく見えて、ちょっと嫌になりますわホント(笑)。
荒川さんとは、日本にいる知人の紹介でお会いすることができた。ご多忙にもかかわらず、快くお会いして下さった荒川さん。同級生ということもあり、インタビューというよりは楽しくメシ食って酒飲んで・・・という感じになってしまったのだが、貴重なお話、そしてグッとくるお話を聞かせていただいた。
小学生の時に旧西ベルリンに住んでいたこともあるという荒川さんのお話にはとても説得力があり、考えさせらるものがたくさんあった。ということで、今回は荒川さんとのインタビューレポートでございます~!
※このデッカイビールがまた最高でした~!
Q1:荒川さんの今のお仕事について教えていただけますか?
A1:お医者さんですよ、普通の(笑)。僕は小児科医なんですけどね。
Q2:荒川さんは、どうして小児科医になろうと思ったんですか?
A2:すごく理由は単純で、「国境なき医師団」に入りたい!って思っていたんです。それで小児科医か産婦人科医を考えていたのですが、結局小児科医になりましたね(笑)。
大学4年生の時にボランティアでカンボジアに行ったのですが、その時病院も見学させていただきました。誤解を招く言い方かもしれませんが、発展途上国の医療は面白いですよね!基本的なことをやるだけで劇的に変わるんです。日本で10年間働いてきましたので色々な考えも生まれてきていますが、発展途上国医療への想いは強いですね。
Q3:なるほど、そうだったんですね!「国境なき医師団」の活動には僕もすごく関心があります。ところでドイツと日本では、病院でのお仕事や医者の様子では大きな違いはありますか?
A3:患者さんそのものを診る目は、日本の医者の方が高いと思いますよ。細かいことによく気付くし、日本では1人の医者が同じ患者さんを診るので、何か変化があればすぐに分かる。そして良くも悪くも日本の医者は忙しいので(苦笑)、揉まれまくっているので仕事が速いですよね。
じゃあドイツはどうなのかというと、アカデミックな面では完全に日本より上だと思います。医学生のレベルも高いですね。そこは日本は負けていると思います。
じゃあ仕事そのものはどうなのかというと、日本人より遥かに遅いんですよ。しかしそれはシステムの問題なんです。ドイツの医者は仕事の時間がキッチリと決まっていて、必ず時間になれば交代の医者が来る。そこまでバリバリやらなくても大丈夫なんですね。
しかし日本はそうではなく、急に患者さんの容体が悪化した時などは、何日も病院に泊まり込むことだってあります。よく言われているように、相当なハードワークですよ。その反面患者さんの様子がよく分かるという良さもありますが、かなりきついですよね。
でもドイツはそうではない。労働時間をキッチリ区切って、必ず次の医者が滞りなく来るシステムを作ったんです。確かにその度に医師が変わってしまうというデメリットもありますが、キッチリ休みを取ることができる。この確立されたシステムはすごいと思いますよ。ドイツ人は自らそのシステムを作り上げたのですから。
Q4:それはすごく興味深い話ですね。日本ももっとそういうシステムを取り入れられないものでしょうか・・・。では荒川さんの将来的なビジョンをお聞かせ願えますか?
A4:僕はターミナルケア(末期医療)の子ども達を何とかしたいと思っているんです。昔はそういった子ども達には、もう死ぬかもしれないということを基本的には伝えなかった。しかし死を間近に迎えた子どもは「もっと早くに言ってほしかった」というケースもあるんです。
それで今は死ぬかもしれないということを伝える流れになっているのですが、そういう子ども達の力になりたいと思っているんです。でも今はドイツにいて、ドイツ語ではそこまでのケアが正直できません。やっぱり母国語じゃないと細かいニュアンスが話せないですし、日本でそういった子ども達を助けてあげたいですよね。
Q5:言葉のニュアンスって本当に微妙ですからね。すごくよく分かります。そう言えば荒川さんは昔旧西ベルリンに住んでいたことがあるそうですが、そのような小さい頃からの海外経験が生きているな~と思うことはありますか?
A5:小さなことでビビらないですよね(笑)。自分が「異質」な存在として生きていたわけですから。よくからかわれたりもしましたよ。
でもその経験が、今のドイツでの生活にもやはり糧になっていますね。
Q6:ずっと日本で生まれ育った僕には、そういう経験が小さい頃にできたというのは本当に羨ましいです。ではいつもお聞きしているのですが、最近内向きだと言われている日本の若者に向けて、何かメッセージをお願い致します!
A6:そうですね、日本人ってイケてるぞ!って言いたいですね(笑)。日本人だからこそできること、例えば気配りだったり細かい気遣いだったり、相手を立てることや空気を読むこと、礼儀正しいことなど、間違いなく素晴らしいですよ。日本人が持っている「輪」の精神は絶対に生かせますし、世界で生き残る強い力だと思います。
じゃあ日本人の何が弱いのか?それは「発信力」だと思います。せっかくとってもいいものを日本人は持っているのに、それを発信する力が弱い。ここが勿体ないですよね。
自分をアピールする力、自分の主張を通す力が日本人はやはり弱い。だから、日本人の良さが伝わっていない部分が多々あると僕は思います。この力がこれからは絶対に必要ですよね。
ではそのために何が必要か?それは「英語」だと思うんです。医学の世界では、学会でも何でもやはり全て「英語」なんですね。この英語力がないと、せっかくの良いものも発信できないんです。僕は英語は「伝えるためのツール」として、絶対にこれからは必要なものだと思います。
ドイツ人からも「なんで日本人はそんなに英語が下手なんだ?」と聞かれることがあります。こちらでは英語は話せて当然で、英語がペラペラでも全然尊敬されません。当たり前のことなんですね。
論文にしても、日本人は一度英語の論文をネイティブの人にチェックしてもらうのが一般的です。でもドイツ人はそのまま提出できてしまうんですね。せっかくいいものをたくさん持っている日本人なのに、「伝えるツール」がないだけで上手く伝わっていない。ここが弱点ですよね。
※この肉の塊・・・さすがはドイツ!マジで腹一杯になりまくりでした!
実は荒川さんとのお話の中で一番盛り上がったのが、この「英語談義」だったのだ。僕は以前から「英語より国語」論を展開しているので、一見すると荒川さんの意見とは相反するようにも見えるかもしれない。
しかし、僕はそうではないと思っている。僕もこの世界の現状において、やはりどうにも英語が必要だというのは何度も感じてきた。僕もそれはよく分かっているつもりである。
だからこそ、そのベースとなる国語こそが大事だと僕は言っているのであって、決して英語そのものを否定しているのではない。母国語による「土台」があってこそ、次の言語がそこに乗っかることができる。その「土台」を頑丈に構築しないままに上ばかりを高くしようとしてしまうと、それは丈夫なビルにはならないと思うのだ。
この「英語談義」の中でとても面白かったのは、荒川さんのご意見は「最前線にいるからこそ」のものだということだ。医療現場の最前線にいるからこそ、英語の必要性を強く感じておられるということなのだ。
その点で言えば、僕は甘ちゃんだ。英語を本当に必要としない立場にいる僕と、日々英語の必要性を感じている立場におられる荒川さん。そんな荒川さんのお話にはとても説得力があり、僕の心にグッと響いた。僕の心の中に、これまでになかった新たな「考え方の種」を植え付けていただいたというか・・・そんな感覚になった。
本当に温かい雰囲気の荒川さん。きっとこんな優しいオーラで、日々子ども達に接しているんだなぁ・・・と、しみじみ感じた。本当に素晴らしいお医者さんなのだと、話しているだけで十分に感じ取ることができた。
お忙しい中2日間もお時間を取って下さり、サッカーを見ながらビールを飲んだりドイツ料理を食べながらビールを飲んだり・・・(笑)と、本当に楽しい時間を過ごさせていただいた。心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました!
「荒川さん、日本に帰ってきたら、Sくんと一緒にガッツリ飲みましょう!その時にしっかりお礼を致しますので、どうぞよろしくお願い致します!」
2014年4月7日。ちょっと微妙な雰囲気が漂う、ポーランドの地方都市クラクフの安宿にて。
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