2014年4月27日。
《世界には色々な旅人がいるが、「自転車で旅をする」ことを実行している強者の日本人もいる。彼の名前は伊藤篤史さん。彼は約3年という長きに渡って、この世界を自転車で駆け抜けているのだ!》
「自転車で世界を旅してみたいなぁ」と考えたことがある人は少なくないかもしれない。しかし、実際にそれを実行するとなると、当たり前だがとんでもないエネルギーと行動力が必要だ。
しかし、実際にやっている人はいる。それは不可能ではないのだ。強い意志と強靭な身体があれば、それは実現可能なのである。
そんなスゴイことを実際に行っている「自転車で旅をする人」、いわゆる「チャリダー」が、この伊藤篤史さんだ。なんと彼は日本を出て約3年になるという。その間、世界各地を自転車で駆け巡っているのだ。
僕が伊藤さんに出会ったのは南アフリカのケープタウンでの安宿だったのでだが、ブルガリアの首都ソフィアで再会をした。これもまさにご縁であり、僕はそのご縁に本当に感謝している。
自転車での旅なんて、これは誰にでも出来ることではない。そんなスゴイことを実行中の伊藤さんは、どのようなことを考えて日々ペダルを漕いでいるのか?実に興味深いところである。
ということで、今回は伊藤さんへの「チャリダーインタビュー」でございます!
※カフェでカプチーノを飲みながらお話を伺ったのですが、あら♪オシャレなことに♪
Q1:伊藤さん、どうぞよろしくお願い致します!まずはじめに、旅に出る前の伊藤さんの経歴を教えていただけますか。
A1:はい。僕は大学を卒業して、ご存知の方も多いかと思いますが、「無印良品」に就職をしました。そこで4年ほど働き、そして自転車の旅に出たという流れです。
Q2:なるほど。どうして自転車の旅に出ようと思ったんですか?
A2:一言で言うのは難しいのですが、色々なものが積み重なって・・・ですね。
今回の旅のきっかけで言うなら、学生時代の頃のアメリカ横断自転車旅が大きいですね。ここで得たものは非常に大きかったです。そこには「想像通りの世界」と「想像の逆を行く世界」の2つが広がっていました。
その時僕はアメリカで、ネイティブアメリカンの部族の1つであるナバホ族の村に泊めてもらいました。そこには伝統に守られたナバホの家がある一方で、しかし家の中は完全に電化された現代的な生活が存在していた。これこそまさに「想像通りの世界」と「想像の逆を行く世界」の2つですよね。
でも僕たちは、なんとなく「ネイティブアメリカンの人もそういう生活をしているんじゃないかなぁ」というような想像はしているとは思うんですよね。しかしそれが本当はどんなものなのかは、実際に行って五感で感じなければ分からない。それは「潜在意識への肯定」とでも言ったらいいのでしょうか。旅にでるきっかけとしては、そういった経験が大きいですね。
社会人としての経験からも旅への動機はあります。僕は無印で働いている時、けっこう仕事は出来た方だと思うんです(笑)。でも、そこから離れて1人になったとき、自分のそのやり方は正しいのかと考えたんですね。
それが常識になってしまってはいけない、外の世界を見る必要がある。
そして無印の肩書が取れた時、自分には何ができるのか?そんなことも考えました。
Q3:「想像通りの世界」と「想像の逆を行く世界」・・・それは深いご意見ですね。そういうものを感じるためにも、自転車の旅がいいということなのでしょうか?
A3:そう思います。僕は小さい街にこそ、その国の現実、オリジナリティがあると思っています。
例えばアフリカのウガリやシマ(穀物の練り物)や中米のフリホーレス(豆)など、元々その土地に根付た主食って今も変わらず食べられている。都市に行けばピザやハンバーガーもあるけど、元々の主食って変えれない。しかしコカコーラなどは、いとも簡単に人々の暮らしに入っていってしまった。
あるいは、ナバホの人々もそうだし、アフリカの人々もそうだけど、今やみんなジーパンにTシャツを着ている。それだけ西洋ナイズされてるにも関わらず、彼らの住まいを見ると昔ながらの住まいだったりもする。つまり暮らしの「主」となるものはなかなか変わらない。田舎ではそういうリアルが特に色濃く感じることができるんです。
バスや電車で旅をすると、その大事な部分を飛ばしていってしまうんですよね。だから僕は、この自転車の旅を選んでいるんです。
Q4:それは本当によく分かります。田舎町ほど「リアル」がありますよね。では突き詰めていくと、伊藤さんのこの旅での目指すものというのはどのようなことなのでしょうか?
A4:一言で言うなら、それは「地球の凹凸を感じる」ということなんです。でもそこには、大いなる矛盾がありますよね。
マクロの視点で言ったら地球は確かに丸いけど、でもミクロの視点で言ったら地球には海があって山があって、全然丸くない。すごく単純な話ですけど、それは「矛盾」ですよね。
あるいはこういうのもあると思います。僕らは正午になると太陽は真南に来ると教わってきましたけど、実際にはそんなことはない。そんなのは国ごとに違うし、ヨーロッパなんて夜遅くまでかなり明るい。
そのように「教わってきた常識を疑う」という視点も大事にしていますね。
Q5:伊藤さんご意見は本当に深いですね。そんな想いで自転車で旅をされていて、これまでに一番しんどかったことはどのようなことでしょうか?
A5:それはね、ないんですよ(笑)。
暑いとか疲れたとか、短絡的な辛さはもちろんあります。でもそれは肉体的な話です。
チャリダーには「自分が頑張れば、苦しいことも必ず乗り越えられる」という強い意識があるんですね。物事の解決は自分次第というか・・・。だから、心底辛いということはないんですよ。
Q6:今度は情熱的ですね!素晴らしい!しかしそうは言っても、止めたいと思ったこともあるのではないですか?
A6:はい、いつも思ってますよ(笑)。しんどいですもん。
でも、チャリダーは自分が漕がなきゃ生きていけないんです。自分でやるしかないんです。
そしてこの自転車が媒介してくれている世界を見ることが最高に楽しいですね!これが自転車の旅の最高の魅力だと思います。だから自転車に乗るんですよね。
自転車って、自分との対話だと思うんです。たとえば次の町まであと100kmだとしましょう。そしたらその100kmをどのように走り切るか?解決法は人それぞれなんですよね。休憩をどう取るか、ギアをどう設定するか、水分補給をどうするか、などなど・・・。
つまり、自分の能力を見極めないといけないんです。まさに「自分との対話」ですよね。
Q7:物凄く説得力がありますね、本当に充実したチャリダーライフを送っているんだな~と感じます。ではこの3年間の中で、自転車に乗っていて一番良かったことは何でしょうか?
A7:良かったことというか、本当に大きな達成感を感じたことが3つありますね。
1つ目はカナダを走っている時。ある地点で、それまで僕の進行方向とは逆に流れていた川が、同じ方向に変わったんですよ。つまり、大陸分水嶺を越えたんですね。この時は「おお~・・・!」って思いましたね(笑)。
2つ目は、パナマ運河に向けて走っている時ですね。鬱蒼としたジャングルをずーっと走っていて、ある時ふと運河にかかる橋が見えたんです。それには感動しましたね。
3つ目は、ペルーのナスカからクスコへ移動した時のことです。この道は非常にきつくて3日間ひたすら上るんですね。標高で言うと300mから4200mくらいまで。それを約8日かけて走ったんです。
そしてクスコの看板が見えても上り坂が終わらず、そして下りに入ってもまだクスコが見えず・・・。そんな状況の中、あるカーブを曲がったら突然一面にクスコの街が見えたんですね!これは凄かったですよ。
このルートはバスを使うと約24時間で着いてしまうのですが、実はその間には、50人くらいしかいないような集落があったりするんです。自転車で移動しているとよく分かるのですが、あらゆる世界で同じ時間が流れている。バスで移動しても自転車で移動しても、流れている時間は同じなんですよね。自転車に乗ってその集落を見たりすることで、その違う流れの時間を感じることができるんです。
あるいはアフリカの話で言うと、アフリカってとても遠いところに思えたけど、実際に走ることでリアリティのある距離感で感じることができる。この先、トルコからアラビア半島に自転車を進めていけば、また彼らに会うことだってできるんです。飛行機を使うと切り貼りした世界に感じがちだけど、実際はちゃんと繋がっていて、同じように暮らしが流れている。
こういうことって頭では分かっていたとしても、身体で感じなければ意味がない。僕は自転車に乗ることで、そのリアルを体験することができましたね。
Q8:伊藤さんのお話は本当に深いですね、凄いです!では最後に、最近内向き内向きと言われている日本人の若者に、チャリダー伊藤さんから何かメッセージをお願い致します。
A8:そうですね、今の若い人の方が僕らより英語教育も進んでいますし、決して内向きだとは思っていないのですが・・・。
一言言うなら、一回自転車やってみろ!かな?(笑)
これには僕には、数字の先入観で判断するな!という想いがあるんです。
たとえば僕がマラウイを走っていた時のことです。マラウイという国についてデータ上の数字だけを見て最貧国の1つと見なしてしまう人もいるのですが、でも実際には各集落に井戸があったりもして、人々にも余裕があるように感じられたんですね。僕自身のよく助けてもらいましたし。
そしてマラウイでは、まさに今の「発展」が感じられました。生きるための経済が如実に感じられたというか・・・ですね。
つまり、数字だけの先入観で物事を判断してほしくないですよね。日本などの先進国はある意味成熟に達していますが、限界を迎えてもいる。数字だけで見たら幸せなのかもしれませんが、決してそうではない。日本の若い人にはそういうことを学んでほしいと思いますよね。
※再会の日の夜、安宿のレセプション前で1枚~!
伊藤さんは本当に面白いキャラクターで、それでいて不正は許さないという正義感も持ち合わせている素晴らしい人間だと僕は思っている。
このインタビューをさせていただいた時も、熱い部分はガンガンに熱く、でも緩い部分はほどほどに緩~くと、本当にメリハリのある人なのだな~と感じた。
そして話の節々に、伊藤さんの知性と鋭い感覚を感じた。インタビューの中には書いてはいないが、失敗が許されない、あるいは失敗から学ぶということが許されなくなってしまった現代社会の話、そして、アフリカは常に貧しくないと先進国が実は困ってしまうのではないかという、「資本主義とゴミ捨て場」とでもいうべきお話など、非常に鋭い視点から今の世の中へのご意見もお話して下さった。
そして誠に勝手ながら、僕は大いに共感させていただいた。
初対面の時から伊藤さんの鋭さや賢さは感じていたが、改めてお話をさせていただいて、それが本物であると僕は確信したのである。
伊藤さんはこれから、東へ東へと向けて今後も「チャリダー」を続けるという。まだまだ長い旅路となるが、ぜひ健康に、そして大いなる経験を得て、日本に帰ってきてほしいと強く願わずにはいられない。
※伊藤さん、本当にありがとうございました!これからも「その脚で」駆け巡っていって下さい!そして日本でも、新たな道を切り拓きまくって下さい!
※最終日は伊藤さんの知り合いもソフィアにやって来ました!皆さんとの出会いに感謝!
2014年4月27日。とっても素晴らしい日本人のスタッフがいらっしゃる、イスタンブールの安宿にて。
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《世界には色々な旅人がいるが、「自転車で旅をする」ことを実行している強者の日本人もいる。彼の名前は伊藤篤史さん。彼は約3年という長きに渡って、この世界を自転車で駆け抜けているのだ!》
「自転車で世界を旅してみたいなぁ」と考えたことがある人は少なくないかもしれない。しかし、実際にそれを実行するとなると、当たり前だがとんでもないエネルギーと行動力が必要だ。
しかし、実際にやっている人はいる。それは不可能ではないのだ。強い意志と強靭な身体があれば、それは実現可能なのである。
そんなスゴイことを実際に行っている「自転車で旅をする人」、いわゆる「チャリダー」が、この伊藤篤史さんだ。なんと彼は日本を出て約3年になるという。その間、世界各地を自転車で駆け巡っているのだ。
僕が伊藤さんに出会ったのは南アフリカのケープタウンでの安宿だったのでだが、ブルガリアの首都ソフィアで再会をした。これもまさにご縁であり、僕はそのご縁に本当に感謝している。
自転車での旅なんて、これは誰にでも出来ることではない。そんなスゴイことを実行中の伊藤さんは、どのようなことを考えて日々ペダルを漕いでいるのか?実に興味深いところである。
ということで、今回は伊藤さんへの「チャリダーインタビュー」でございます!
※カフェでカプチーノを飲みながらお話を伺ったのですが、あら♪オシャレなことに♪
Q1:伊藤さん、どうぞよろしくお願い致します!まずはじめに、旅に出る前の伊藤さんの経歴を教えていただけますか。
A1:はい。僕は大学を卒業して、ご存知の方も多いかと思いますが、「無印良品」に就職をしました。そこで4年ほど働き、そして自転車の旅に出たという流れです。
Q2:なるほど。どうして自転車の旅に出ようと思ったんですか?
A2:一言で言うのは難しいのですが、色々なものが積み重なって・・・ですね。
今回の旅のきっかけで言うなら、学生時代の頃のアメリカ横断自転車旅が大きいですね。ここで得たものは非常に大きかったです。そこには「想像通りの世界」と「想像の逆を行く世界」の2つが広がっていました。
その時僕はアメリカで、ネイティブアメリカンの部族の1つであるナバホ族の村に泊めてもらいました。そこには伝統に守られたナバホの家がある一方で、しかし家の中は完全に電化された現代的な生活が存在していた。これこそまさに「想像通りの世界」と「想像の逆を行く世界」の2つですよね。
でも僕たちは、なんとなく「ネイティブアメリカンの人もそういう生活をしているんじゃないかなぁ」というような想像はしているとは思うんですよね。しかしそれが本当はどんなものなのかは、実際に行って五感で感じなければ分からない。それは「潜在意識への肯定」とでも言ったらいいのでしょうか。旅にでるきっかけとしては、そういった経験が大きいですね。
社会人としての経験からも旅への動機はあります。僕は無印で働いている時、けっこう仕事は出来た方だと思うんです(笑)。でも、そこから離れて1人になったとき、自分のそのやり方は正しいのかと考えたんですね。
それが常識になってしまってはいけない、外の世界を見る必要がある。
そして無印の肩書が取れた時、自分には何ができるのか?そんなことも考えました。
Q3:「想像通りの世界」と「想像の逆を行く世界」・・・それは深いご意見ですね。そういうものを感じるためにも、自転車の旅がいいということなのでしょうか?
A3:そう思います。僕は小さい街にこそ、その国の現実、オリジナリティがあると思っています。
例えばアフリカのウガリやシマ(穀物の練り物)や中米のフリホーレス(豆)など、元々その土地に根付た主食って今も変わらず食べられている。都市に行けばピザやハンバーガーもあるけど、元々の主食って変えれない。しかしコカコーラなどは、いとも簡単に人々の暮らしに入っていってしまった。
あるいは、ナバホの人々もそうだし、アフリカの人々もそうだけど、今やみんなジーパンにTシャツを着ている。それだけ西洋ナイズされてるにも関わらず、彼らの住まいを見ると昔ながらの住まいだったりもする。つまり暮らしの「主」となるものはなかなか変わらない。田舎ではそういうリアルが特に色濃く感じることができるんです。
バスや電車で旅をすると、その大事な部分を飛ばしていってしまうんですよね。だから僕は、この自転車の旅を選んでいるんです。
Q4:それは本当によく分かります。田舎町ほど「リアル」がありますよね。では突き詰めていくと、伊藤さんのこの旅での目指すものというのはどのようなことなのでしょうか?
A4:一言で言うなら、それは「地球の凹凸を感じる」ということなんです。でもそこには、大いなる矛盾がありますよね。
マクロの視点で言ったら地球は確かに丸いけど、でもミクロの視点で言ったら地球には海があって山があって、全然丸くない。すごく単純な話ですけど、それは「矛盾」ですよね。
あるいはこういうのもあると思います。僕らは正午になると太陽は真南に来ると教わってきましたけど、実際にはそんなことはない。そんなのは国ごとに違うし、ヨーロッパなんて夜遅くまでかなり明るい。
そのように「教わってきた常識を疑う」という視点も大事にしていますね。
Q5:伊藤さんご意見は本当に深いですね。そんな想いで自転車で旅をされていて、これまでに一番しんどかったことはどのようなことでしょうか?
A5:それはね、ないんですよ(笑)。
暑いとか疲れたとか、短絡的な辛さはもちろんあります。でもそれは肉体的な話です。
チャリダーには「自分が頑張れば、苦しいことも必ず乗り越えられる」という強い意識があるんですね。物事の解決は自分次第というか・・・。だから、心底辛いということはないんですよ。
Q6:今度は情熱的ですね!素晴らしい!しかしそうは言っても、止めたいと思ったこともあるのではないですか?
A6:はい、いつも思ってますよ(笑)。しんどいですもん。
でも、チャリダーは自分が漕がなきゃ生きていけないんです。自分でやるしかないんです。
そしてこの自転車が媒介してくれている世界を見ることが最高に楽しいですね!これが自転車の旅の最高の魅力だと思います。だから自転車に乗るんですよね。
自転車って、自分との対話だと思うんです。たとえば次の町まであと100kmだとしましょう。そしたらその100kmをどのように走り切るか?解決法は人それぞれなんですよね。休憩をどう取るか、ギアをどう設定するか、水分補給をどうするか、などなど・・・。
つまり、自分の能力を見極めないといけないんです。まさに「自分との対話」ですよね。
Q7:物凄く説得力がありますね、本当に充実したチャリダーライフを送っているんだな~と感じます。ではこの3年間の中で、自転車に乗っていて一番良かったことは何でしょうか?
A7:良かったことというか、本当に大きな達成感を感じたことが3つありますね。
1つ目はカナダを走っている時。ある地点で、それまで僕の進行方向とは逆に流れていた川が、同じ方向に変わったんですよ。つまり、大陸分水嶺を越えたんですね。この時は「おお~・・・!」って思いましたね(笑)。
2つ目は、パナマ運河に向けて走っている時ですね。鬱蒼としたジャングルをずーっと走っていて、ある時ふと運河にかかる橋が見えたんです。それには感動しましたね。
3つ目は、ペルーのナスカからクスコへ移動した時のことです。この道は非常にきつくて3日間ひたすら上るんですね。標高で言うと300mから4200mくらいまで。それを約8日かけて走ったんです。
そしてクスコの看板が見えても上り坂が終わらず、そして下りに入ってもまだクスコが見えず・・・。そんな状況の中、あるカーブを曲がったら突然一面にクスコの街が見えたんですね!これは凄かったですよ。
このルートはバスを使うと約24時間で着いてしまうのですが、実はその間には、50人くらいしかいないような集落があったりするんです。自転車で移動しているとよく分かるのですが、あらゆる世界で同じ時間が流れている。バスで移動しても自転車で移動しても、流れている時間は同じなんですよね。自転車に乗ってその集落を見たりすることで、その違う流れの時間を感じることができるんです。
あるいはアフリカの話で言うと、アフリカってとても遠いところに思えたけど、実際に走ることでリアリティのある距離感で感じることができる。この先、トルコからアラビア半島に自転車を進めていけば、また彼らに会うことだってできるんです。飛行機を使うと切り貼りした世界に感じがちだけど、実際はちゃんと繋がっていて、同じように暮らしが流れている。
こういうことって頭では分かっていたとしても、身体で感じなければ意味がない。僕は自転車に乗ることで、そのリアルを体験することができましたね。
Q8:伊藤さんのお話は本当に深いですね、凄いです!では最後に、最近内向き内向きと言われている日本人の若者に、チャリダー伊藤さんから何かメッセージをお願い致します。
A8:そうですね、今の若い人の方が僕らより英語教育も進んでいますし、決して内向きだとは思っていないのですが・・・。
一言言うなら、一回自転車やってみろ!かな?(笑)
これには僕には、数字の先入観で判断するな!という想いがあるんです。
たとえば僕がマラウイを走っていた時のことです。マラウイという国についてデータ上の数字だけを見て最貧国の1つと見なしてしまう人もいるのですが、でも実際には各集落に井戸があったりもして、人々にも余裕があるように感じられたんですね。僕自身のよく助けてもらいましたし。
そしてマラウイでは、まさに今の「発展」が感じられました。生きるための経済が如実に感じられたというか・・・ですね。
つまり、数字だけの先入観で物事を判断してほしくないですよね。日本などの先進国はある意味成熟に達していますが、限界を迎えてもいる。数字だけで見たら幸せなのかもしれませんが、決してそうではない。日本の若い人にはそういうことを学んでほしいと思いますよね。
※再会の日の夜、安宿のレセプション前で1枚~!
伊藤さんは本当に面白いキャラクターで、それでいて不正は許さないという正義感も持ち合わせている素晴らしい人間だと僕は思っている。
このインタビューをさせていただいた時も、熱い部分はガンガンに熱く、でも緩い部分はほどほどに緩~くと、本当にメリハリのある人なのだな~と感じた。
そして話の節々に、伊藤さんの知性と鋭い感覚を感じた。インタビューの中には書いてはいないが、失敗が許されない、あるいは失敗から学ぶということが許されなくなってしまった現代社会の話、そして、アフリカは常に貧しくないと先進国が実は困ってしまうのではないかという、「資本主義とゴミ捨て場」とでもいうべきお話など、非常に鋭い視点から今の世の中へのご意見もお話して下さった。
そして誠に勝手ながら、僕は大いに共感させていただいた。
初対面の時から伊藤さんの鋭さや賢さは感じていたが、改めてお話をさせていただいて、それが本物であると僕は確信したのである。
伊藤さんはこれから、東へ東へと向けて今後も「チャリダー」を続けるという。まだまだ長い旅路となるが、ぜひ健康に、そして大いなる経験を得て、日本に帰ってきてほしいと強く願わずにはいられない。
※伊藤さん、本当にありがとうございました!これからも「その脚で」駆け巡っていって下さい!そして日本でも、新たな道を切り拓きまくって下さい!
※最終日は伊藤さんの知り合いもソフィアにやって来ました!皆さんとの出会いに感謝!
2014年4月27日。とっても素晴らしい日本人のスタッフがいらっしゃる、イスタンブールの安宿にて。
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