モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

サルビア・スペルバ・ローズクィーン(Salvia superba ‘rose queen’ )の花

2009-05-20 08:52:23 | セージ&サルビア
(写真) サルビア・スペルバ・ローズクィーンの花


シワシワがある縮れた葉、横に広がってから様々な方向に向かう茎、その先に花文字の“L”のようなピンクの口唇形の小花が下から上に駆け上がって咲く。
雑草そのもののような容姿から、まったく似つかわしくないかわいい花が咲くので、この意外性が気に入っている。
花が咲くと、野性味がある葉がマッチしてくるから不思議だ。

この花は、「サルビア・スペルバ(Salvia superba)」の園芸品種‘ローズクイーン’(Salvia superba ‘rose queen’)」だが、同じハーブ園芸店で「サルビア・ネモローサ」を購入したところ同じ花が咲いた。

二個並べてみると様になり群生した景色は“桃源郷”の入り口といっても良さそうだ。
それにしても、“桃源郷”にはいるには、謎という未解決の現実が待ち構えている。

(写真)S.スペルバとS.ネモローサのはずが
     

サルビア・スペルバの謎解き
昨年もこの謎にぶち当たり解決していないが、私だけでなく、まだ議論の余地があるということがわかった。
「サルビア・スペルバ」の学名は、“Salvia superba Hort. ex Vilm”で、命名者の最初の“Hort.”は、学名が正式でない場合に使われる。スタートから怪しいということを示している。

二番目の“Vilm.”は、フランスの植物学者・生化学者ルイス・デ・ビルモラン(Vilmorin, Louis de 1816-1860)で、植物の遺伝子を研究し今日の遺伝子工学を使った育種産業を創出する基礎を作った。
また、祖父のPhilippe André de Vilmorin(1776-1862)は、1800年代前半に英国を旅行し、家業として引き継いだ農園を穀物・野菜・外来の花卉植物・樹木に的を絞ったファミリー植物企業「Vilmorin-Andrieux」を構築し孫よりも長生きした。

そして、「サルビア・スペルバ」には、こんな記述があった。
Salvia × superba
Parentage: Salvia sylvestris_ × Salvia villicaulis
Common name: HYBRID SAGE

「サルビア・スペルバ」は雑種であり、その親は、S.シルベストリスとS.ビリカウリスの交雑によって生まれたようだ。

S・シルベストリスは、S・ネモローサと同じであり、
原産地は、バルカン半島を中心とした南欧からアジアにかけての原野で、草丈40cmでたたずむ姿は森の賢人(woodland sage)といわれている。

S.ビリカウリスは、S.アンプレクシカウリスと同じであり、
原産地、トルコ、東南欧の温暖なところでネモローサと同じ地域で生育している。

この2種が交雑したのが「サルビア・スペルバ」ということなのだが、遺伝子を調べない限りこの関係はわからないところまで来ているようだ。
命名者ルイス・デ・ビルモランが遺伝子の専門家であり、皮肉なことになっている。

(写真)サルビア・スペルバ‘ローズクイーン’の花
        

サルビア・スペルバ・ローズクィーン(Salvia superba ‘rose queen’ )
・シソ科アキギリ属の耐寒性がある多年草。
・学名はSalvia×superba Stapf 。英名はハイブリッドセージ(Hybrid Sage)
・S.スペロバは、S.シルベストリスとS.ビリカウリスとの交雑種。(S. sylvestris_ × _S.villicaulis)
・原産地は、ヨーロッパからアジアで交雑種が多い。
・草丈は、20~30㎝で、群生させると美しい。
・開花期は5~11月と長く、開花後に切り戻すと秋に再度咲く。
・水はけのよい土で乾燥気味に育てる。
・耐暑性および耐寒性はー10℃と強いが、梅雨に弱いので開花後に切り戻す。

            

<Contents of the last year>
<交雑の謎>
ハーブ園では、“サルビア・ローズクィーン”とタッグが付いていたが、“サルビア・スペルバ”の沢山ある園芸品種の一つの“ローズクィーン”であること。
“サルビア・スペルバ”自体、ハイブリッド(異種交配した品種)であり、親の特定が混乱している。

調べれば調べるほどわからなくなってくるが、いくつかの説があり、方程式風にして比較すると以下の説がある。

① サルビア・スペルバ(S. superba)=S. nemorosa × S.virgata (注1)
② サルビア・スペルバ(S. superba)=S.sylvestris × S.amplexicaulis (注2)
③ サルビア・スペルバ(S. superba)=S.sylvestris × S.villicaulis (注3)
(注1)西川綾子著 「サルビア」(NHK出版)
(注2)米国農務省 Germplasm Resources Information Network (GRIN)
(注3) The Royal Horticultural Society(英国王立園芸協会)

さてここで、
(イ)ネモローサ(nemorosa)とシルベストリス(sylvestris)は同種であるという説
(ロ)アンプレクシカウリス(amplexicaulis)の別名は、villicaulisという説
があり、前述の3つの方程式は、ほとんど“≒(ニアイコール)”のようだ。

そうすると、親の性質を確認しなければならない。

サルビア・ネモローサ(≒シルベストリス)は
原産地は、バルカン半島を中心とした南欧からアジアにかけての原野であり、草丈40cmでたたずむ姿は、森の賢人(woodland sage)というにふさわしい。

サルビア・アンプレクシカウリスは、
原産地、トルコ、東南欧の温暖なところでネモローサと同じ地域で生育している。

これらのハイブリッド(異種交配)である“サルビア・スペルバ”には様々な種類があり、“サルビア・スペルバ・メルローブルー”は、2003年度のフロロセレクトにてゴールドメダル受賞した世界的な品種だ。

「フロロセレクト」(Fleuroselect)は、
1970年に花の新品種開発振興や育成者の権利保護を目的に設立された国際的な非営利機関で、世界の主要な育種会社・種苗会社が会員となっている。中心はヨーロッパです。


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