鴨長明(1155-1216)が、1212年に書いたといわれる『方丈記』の書き出しは次のような文章で始まる。
『ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし』
移り行く世のはかなさ、万物流転の理(コトワリ)を語り、モノに固執する生活を戒め“悟り”を人生の軸として追求することを書いている。
それから約800年経過した2011年においても“破壊”と“創造”が織り成すドラマがあった。
さて、2011年を振り返ってみて出来事のランキングを10位まであげてみると、
1位:東日本大震災
3月11日 は忘れられない日となってしまった。巨大地震と大津波で宮城・岩手・福島そして太平洋岸の茨城・千葉まで大きな被害をもたらした。被災者の方々の一日でも早い復興を祈願し、それを皆で支えていきたいものです。
この大災害は、これまで軽んじてきた大事なものを気づかせてくれた。マズロー(Abraham Harold Maslow, 1908-1970)の欲求の5段解説でいうと5番目の欲求である自己実現の欲求で閉塞感に覆われていた人々及び日本の社会に、人間として根源的な欲求である『生存』が脅かされた現実に気づかされ、さらに『安全』の重要性、『所属と愛』という助け合って生きていく社会の重要性に改めて認識する契機ともなりました。
※ マズローの欲求段階説はこちらを参照
2位:なでしこジャパン女子ワールドカップで初優勝
6月26日-7月17日、ドイツで2011 FIFA女子ワールドカップが開催され、サッカー日本女子代表が初優勝。最優秀選手に澤選手が選ばれる。また、8月2日には団体には初の国民栄誉賞が授与された。大震災後に日本人に勇気と希望を与えてくれたので国民栄誉賞は当然でしょう。
3位:地上・BSテレビ放送、デジタル放送に完全移行
7月24日、日本のテレビ放送は、デジタルテレビ放送へ全面移行しアナログ放送は停止された。お隣韓国でもデジタルテレビ放送にもうすぐ完全移行なので日本だけが進んでいたわけではありません。
4位:10月20日に世界人口が70億人に達する。
人口が増えると、コミュニケーションの道具である世界のインターネット利用者は20億人、携帯電話の契約件数は50億件を超え(1月26日ITU発表)、食料価格は2010年12月に過去最高に達した。(1月5日FAO発表) 残念ながら、70億人の胃袋を支える食料は、供給不足と価格上昇がありそうです。“もったいない”意識をもっと高める必要がありそうです。
5位:中国2010年国内総生産(GDP)が日本を抜き世界第2位となる。
1月20日、中国が日本を抜きGDP世界第2位になりました。日本企業の中国進出も増加し、モノだけでなくヒトの往来も増えつつあり、中国さらにはアジアで就業する日本人がますます増加するでしょう。
6位:タイ王国において過去50年間で最悪の水害が発生。
10月、現地の複数の日本企業の工場が操業停止になり、日本経済にも深刻な影響を及ぼしてきている。集中による効率化は事故・天災にもろいことを改めて認識。
南半球では1月に大規模な大雨洪水の被害が複数あった。(ブラジルリオデジャネイロ州、オーストラリア北東部、南アフリカ、スリランカなど) 豊かな生活を追い求める人間社会のエゴイズムに、自然が強烈なカウンターパンチを繰り出しているようです。
7位:アラブの春
プラハの春はソ連軍によって鎮圧されたが、チェニジアに始まったアラブ世界での民主化は、エジプト・ムバラク大統領の辞任(2月11日)、リビア・カダフィ大佐の死亡(10月20日)で独裁体制が崩壊しました。アラブ世界の不安定化は石油の供給と価格に悪い影響が出そうです。来年も“省エネ”は徹底しましょう。
8位:今年は、ヒット曲がなかった年
9月末までのミリオンセラー(シングル盤で100万枚以上)は、3曲しかなく全て「AKB48」が独占。他のヒット曲不在という異例の年だった。心に余裕がない年だったのでしょうか? ちなみにベストスリーは:『Everyday、カチューシャ』(157.3万枚)『フライングゲット』(152.1万枚)『桜の木になろう』(107.8万枚)でした。
9位:2011年のヒット商品は「つながる」と「省エネ」
日経トレンディという雑誌主催の選考では、1位「スマートフォン」(携帯電話)2位「Face book」(インターネットの実名で仲間とコミュニケーションするサービス)3位「扇風機」だった。豊かで便利な生活を追い求めてきたが、”ちょっと不便な”生活を楽しんでも良いという芽が出てきたようだ。
10位:「原発」「セシウム」「放射性物質」>
googleの検索キーワード総合1位は「原発」でした。来年も放射能という目に見えないだけでなく良くわからないことと付き合わないといけない年が続きます。
地震・津波の被害からの復興が終わっても放射性物質の被害からの復興はまだ終わっていないと思うので、本当はこれが1位だと思います。
番外:「東アジアの春」は来るのだろうか?
12月17日に北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記が死亡したというニュースが飛び込んできた。核・ミサイルで恫喝外交を進めてきた指導者でもあり、その死亡は北朝鮮の体制を不安定にし、東アジア全体に危険な影を落とし始めた。
中国・台湾、韓国・北朝鮮、日本、(ロシア)などの東アジアに春は何時来るのだろうか?
2011年は、アルカイーダの指導者ウサーマ・ビン・ラーディン(Usāma bin Lādin 1957- 2011年5月2日)が、米国海軍の特殊部隊によって射殺され、リビアの独裁者だったムアンマル・アル=カッザーフィー大佐(1942- 2011年10月20日)は、革命軍の兵士によった撲殺され、北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記が毒殺などの謀略ではなく心不全で死亡した。
独裁者はいずれ死亡する。私たちも何時か死亡する。望ましい死に方を考え実践することが2011年からの贈り物のように感じる。
『ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし』
移り行く世のはかなさ、万物流転の理(コトワリ)を語り、モノに固執する生活を戒め“悟り”を人生の軸として追求することを書いている。
それから約800年経過した2011年においても“破壊”と“創造”が織り成すドラマがあった。
さて、2011年を振り返ってみて出来事のランキングを10位まであげてみると、
1位:東日本大震災
3月11日 は忘れられない日となってしまった。巨大地震と大津波で宮城・岩手・福島そして太平洋岸の茨城・千葉まで大きな被害をもたらした。被災者の方々の一日でも早い復興を祈願し、それを皆で支えていきたいものです。
この大災害は、これまで軽んじてきた大事なものを気づかせてくれた。マズロー(Abraham Harold Maslow, 1908-1970)の欲求の5段解説でいうと5番目の欲求である自己実現の欲求で閉塞感に覆われていた人々及び日本の社会に、人間として根源的な欲求である『生存』が脅かされた現実に気づかされ、さらに『安全』の重要性、『所属と愛』という助け合って生きていく社会の重要性に改めて認識する契機ともなりました。
※ マズローの欲求段階説はこちらを参照
2位:なでしこジャパン女子ワールドカップで初優勝
6月26日-7月17日、ドイツで2011 FIFA女子ワールドカップが開催され、サッカー日本女子代表が初優勝。最優秀選手に澤選手が選ばれる。また、8月2日には団体には初の国民栄誉賞が授与された。大震災後に日本人に勇気と希望を与えてくれたので国民栄誉賞は当然でしょう。
3位:地上・BSテレビ放送、デジタル放送に完全移行
7月24日、日本のテレビ放送は、デジタルテレビ放送へ全面移行しアナログ放送は停止された。お隣韓国でもデジタルテレビ放送にもうすぐ完全移行なので日本だけが進んでいたわけではありません。
4位:10月20日に世界人口が70億人に達する。
人口が増えると、コミュニケーションの道具である世界のインターネット利用者は20億人、携帯電話の契約件数は50億件を超え(1月26日ITU発表)、食料価格は2010年12月に過去最高に達した。(1月5日FAO発表) 残念ながら、70億人の胃袋を支える食料は、供給不足と価格上昇がありそうです。“もったいない”意識をもっと高める必要がありそうです。
5位:中国2010年国内総生産(GDP)が日本を抜き世界第2位となる。
1月20日、中国が日本を抜きGDP世界第2位になりました。日本企業の中国進出も増加し、モノだけでなくヒトの往来も増えつつあり、中国さらにはアジアで就業する日本人がますます増加するでしょう。
6位:タイ王国において過去50年間で最悪の水害が発生。
10月、現地の複数の日本企業の工場が操業停止になり、日本経済にも深刻な影響を及ぼしてきている。集中による効率化は事故・天災にもろいことを改めて認識。
南半球では1月に大規模な大雨洪水の被害が複数あった。(ブラジルリオデジャネイロ州、オーストラリア北東部、南アフリカ、スリランカなど) 豊かな生活を追い求める人間社会のエゴイズムに、自然が強烈なカウンターパンチを繰り出しているようです。
7位:アラブの春
プラハの春はソ連軍によって鎮圧されたが、チェニジアに始まったアラブ世界での民主化は、エジプト・ムバラク大統領の辞任(2月11日)、リビア・カダフィ大佐の死亡(10月20日)で独裁体制が崩壊しました。アラブ世界の不安定化は石油の供給と価格に悪い影響が出そうです。来年も“省エネ”は徹底しましょう。
8位:今年は、ヒット曲がなかった年
9月末までのミリオンセラー(シングル盤で100万枚以上)は、3曲しかなく全て「AKB48」が独占。他のヒット曲不在という異例の年だった。心に余裕がない年だったのでしょうか? ちなみにベストスリーは:『Everyday、カチューシャ』(157.3万枚)『フライングゲット』(152.1万枚)『桜の木になろう』(107.8万枚)でした。
9位:2011年のヒット商品は「つながる」と「省エネ」
日経トレンディという雑誌主催の選考では、1位「スマートフォン」(携帯電話)2位「Face book」(インターネットの実名で仲間とコミュニケーションするサービス)3位「扇風機」だった。豊かで便利な生活を追い求めてきたが、”ちょっと不便な”生活を楽しんでも良いという芽が出てきたようだ。
10位:「原発」「セシウム」「放射性物質」>
googleの検索キーワード総合1位は「原発」でした。来年も放射能という目に見えないだけでなく良くわからないことと付き合わないといけない年が続きます。
地震・津波の被害からの復興が終わっても放射性物質の被害からの復興はまだ終わっていないと思うので、本当はこれが1位だと思います。
番外:「東アジアの春」は来るのだろうか?
12月17日に北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記が死亡したというニュースが飛び込んできた。核・ミサイルで恫喝外交を進めてきた指導者でもあり、その死亡は北朝鮮の体制を不安定にし、東アジア全体に危険な影を落とし始めた。
中国・台湾、韓国・北朝鮮、日本、(ロシア)などの東アジアに春は何時来るのだろうか?
2011年は、アルカイーダの指導者ウサーマ・ビン・ラーディン(Usāma bin Lādin 1957- 2011年5月2日)が、米国海軍の特殊部隊によって射殺され、リビアの独裁者だったムアンマル・アル=カッザーフィー大佐(1942- 2011年10月20日)は、革命軍の兵士によった撲殺され、北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記が毒殺などの謀略ではなく心不全で死亡した。
独裁者はいずれ死亡する。私たちも何時か死亡する。望ましい死に方を考え実践することが2011年からの贈り物のように感じる。