モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

カリオプテリス・サマーソルベット(Caryopteris 'Summer Sorbet' )の花

2009-08-13 08:58:58 | その他のハーブ
(写真)カリオプテリス・サマーソルベットの花


この花は、日本・中国が原産の段菊と、モンゴル原産の種との交配による園芸種で、22種もの新しい品種がある中のひとつで、“サマーソルベット”という。

黄緑色の斑が入った葉は秋になるとより黄色を強めるが、現在は光沢のある美しい葉色をし、その茎から花序が伸び小さな数多くのつぼみがつき、膨らんでいる。
このつぼみがはじけると淡い青紫の花が茎の周りをパノラマ的に取り囲んで咲く。

“サマーソルベット”は“夏のシャーベット”を意味し“青紫の氷の花”とでも解したのだろうか?なかなかおしゃれなネーミングでセンスのよさを感じる。

カリオプテリス・サマーソルベットが作出されるまで
この園芸品種が出来るまでの歴史がわかった。意外な歴史でもあった。というのはこれほど記録に残されている花も珍しい。

親でもある「C.クランドネンシス(Caryopteris × clandonensis)」は、日本・中国が原産の段菊(Caryopteris incana)とモンゴル原産の種(Caryopteris mongholica)の交雑で出来たが、
このハイブリッド品種は、1930年代の初め頃に王立園芸協会の秘書アーサー・シモンズ(Arthur Simmonds 1892-1968)によってロンドン郊外West Clandonにある自分の家の庭でそだっているのを発見した。
アーサー・シモンズのキャリアなどは良くわからなかったがこの花の新種名として残った。

1945年にキューガーデンで “アーサー・シモンズ”の苗の中からダークブルーの花が咲く苗が選ばれ、これが「カリオプテリス‘キューブルー’(Caryopteris × clandonensis‘Kew Blue’)」と名付けられた。

1998年に英国デボンにあるWest End Nurseriesで「カリオプテリス‘キューブルー’」との自然交雑された種が発見された。
これが「カリオプテリス・サマーソルベット」で金色の縁がある黄緑の葉と霧のような青紫の花でしかも晩夏に咲くという優れた特色を持っていた。
そして、このナーサリーのオーナー、ピーター(Peter van Delft)によって2004年に園芸市場に導入された。 

この「カリオプテリス・サマーソルベット」は、英国の名誉ある植物関係の賞でもある王立園芸協会のAGM 賞(Award of Garden Merit)を受賞した栄誉ある品種でもある。

どこが評価されたのかという疑問もあるが、西欧人の目には班のある植物は珍しいのだろう。緑に不足している地域の人間にとって緑以外の色合いは高望みだったのかもわからない。

ところでこの花は、以前ならばクマツヅラ科であり、植物の葉緑素を使ったDNA解析による科学的な植物分類が1990年代以降発展しAPG植物分類体系(Angiosperm Phylogeny Group)として整備されつつあるが、
クマツヅラ科の多くの植物は、シソ科にとらえなおされている。

(写真)カリオプテリス・サマーソルベットの立ち姿
        

カリオプテリス・サマーソルベット(Caryopteris 'Summer Sorbet')
・シソ科カリオプテリス属の耐寒性がある多年草。以前はクマツヅラ科カリガネソウ属に属する。
・学名は、Caryopteris × clandonensis 'Summer Sorbet'。(カリオプテリス・クランドネンシス ‘サマーソルベット’)。ソルベットは英語ではシャーベットを意味する。
・ダンギク(段菊)( Caryopteris incana)とモンゴリカ(Caryopteris mongholica)との交配で出来た園芸種にCaryopteris clandonensis 'Kew Blue'を交雑した。
・流通名は、ハナシキブ(花式部)。
・開花期は、8月~10月。淡い紫色の小花が団子状に集合して咲く。
・性質は強健で、夏場の水枯れだけに注意。乾きすぎと多肥を嫌う。
・草丈は30cm程度で、秋になると黄色の模様が入った黄緑色の葉が美しい。
・冬は地上部が枯れたら刈り込む。

命名者を含めた学名
(Caryopteris × clandonensis A. Simmonds ex Rehder 'Summer Sorbet')
命名者シモンズ(Simmonds, Joseph Henry, (Rev.) 1845-1936)
1845年にニュージランドのネルソンで生まれ、カンタベリー大学卒業後、農業・鉱業などを経験し、メソジスト教会の牧師、大学の教師などを勤め、ユーカリノキなどの樹木に関心を持ちいくつかの著作を出版した。

命名者リーダー(Rehder, Alfred 1863-1949)
ハーバード大学のアーノルド植物園に勤務した植物学者・園芸家

※残念ながら、「カリオプテリス・サマーソルベット」を開発したナーサリーのWest End Nurseriesは、2017年に倒産した。


コメント (3)    この記事についてブログを書く
« ボールズミント(Bowles mint)... | トップ | 大胆予測、8月30日投開票、衆... »

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
交配の様子 (kazuko)
2009-08-14 12:19:39
交配の様子がよくわかりました。こういうようにしながら新しい品種が生まれるのですね。キュ―ブルーが何と交配(交雑?)されたかですが、ここはわからないわけですね。こうやって新しい品種を作りながら(新しい品種でなくてもそうなのですが)、育てふやしていく方には、頭が下がります。きれいな苗になって私たちの手元に届きますものね。うちにもカリオプテリス、一種類あるのですが、葉がもっと細いです。半耐寒ということで気を使い半分は冬は室内に取り込みました。発育はいまいちです。地植えのまま残した分を確認してみます。有難うございました。
返信する
キューブルー (tetsuo)
2009-08-14 20:44:38
キューブルーは、段菊とモンゴリカの交配種のようです。その中での変異種でこれだけを取り出して育てたようです。
市販されたのはつい最近なんですね~そのわりには結構広がっているので、驚きでもあります。
返信する
誤解してました。 (kazuko)
2009-08-14 23:22:14
誤解してました。クランドネンシスは、段菊とモンゴリカの交配で生まれ、クランドネンシスの中の’クランドネンシス・キュ―ブルー’と’他のクランドネンシス’の交雑でソルベットが生まれたわけですね。(^-^)慣れてない私には、なかなか難しいです。でもいろいろ教わると楽しいです。市販されたのがつい最近ということは、何年も種蒔きか株分けで、売り出される状態にするまで繰り返し育てられてたということですね。・・・うちのカリオプテリスをみてみたら、日影時間が長いからかもしれませんが、花が咲く気配もないです。残念です。あと、「はなしきぶ」というのはよく理解できました。(^-^)「シキブ」の花によく似てますものね。和
返信する

コメントを投稿

その他のハーブ」カテゴリの最新記事