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石破首相の施政方針演説 くらしの困難 打開策なし

2025年01月25日 10時32分22秒 | 一言

深い行き詰まりと破綻

 「わが国の直面する現実を直視しなければならない」―衆院選で自民・公明の連立与党が過半数割れとなるもと、石破茂首相は24日、施政方針演説に立ちました。国民が注目する政治とカネの問題は後回し、首相の看板政策である「地方創生2・0」を空疎に力説。30年間賃金が上がらないなど、暮らしの困難を打開する具体策を示すこともないまま野党に「熟議」を求める、深い行き詰まりと破たんがあらわになりました。


政治とカネ

裏金問題一切言及せず 企業・団体献金を温存

写真

(写真)施政方針演説をする石破茂首相=24日、衆院本会議

 政治とカネの問題について、石破首相は演説の終わり近くで簡単に触れただけ。裏金の問題には一切言及せず、反省も謝罪も語らないなど無反省な姿勢を示しました。

 昨年の臨時国会以降の衆参政治倫理審査会で、裏金議員は真相を語っていません。政治改革を巡っても、自民党は企業・団体献金を温存する姿勢に終始しました。「赤旗」日曜版のスクープ(2023年11月26日号)がきっかけとなって、今年に入り、東京都議会の自民党会派の会計担当職員が立件され、自民党の裏金づくりが地方も含めた組織ぐるみの犯罪であることが、いよいよ明らかになっています。

 こうした局面で石破首相は「国費による助成、企業団体や個人からの資金、政治家本人からの支出のバランスはどうあるべきか」などと述べ、財界の利益優先で政治をゆがめる企業・団体献金の存続を前提に、他の政治資金とのバランスの問題にすり替えました。

 「重要なのは、正しい判断材料に基づいて、より多くの民意が政治に適切に反映されることだ」と述べました。しかし、裏金事件を再調査せず、国民の参政権を侵害する企業・団体献金の禁止に背を向ける姿勢は、“民意を反映”どころか、民意を無視していると言わざるを得ません。

外交・安保

トランプ政権言いなり 外交方針示さず大軍拡

 「日米同盟をさらなる高みに引き上げる」―石破首相はこの文言を2度も繰り返し、トランプ米大統領の要求につき従い、さらなる大軍拡の道へ進むと宣言しました。

 トランプ政権は、中国包囲網の軍事ブロックを強化し、日本を含む同盟国に軍事費増額を求めていく構えです。同政権のコルビー国防次官候補は昨年、日本の軍事費をGDP(国内総生産)比3%(年約16兆~17兆円)へ引き上げるべきだと主張しています。

 石破首相はそれに毅然と対峙(たいじ)するどころか、「日米同盟は外交・安保政策の基軸だ」「米国の地域へのコミットメントを引き続き確保せねばならない」と強調。日本は「同盟国として責任を共有し、応分の役割を果たさなければならない」と米の要求そのままに大軍拡の強行を表明しました。

 ロシアなどが核使用の威嚇を繰り返し、核兵器が偶発的に使用される危険が高まる中、唯一の戦争被爆国である日本の外交努力が今こそ求められます。ところが首相は、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞したことには一切触れず、核兵器禁止条約にも言及しませんでした。

 米を中心とする同盟国や「同志国」との連携を深化すると述べ、軍事ブロックの強化で世界の分断と対立を助長する一方、ウクライナやガザ情勢などの武力紛争解決のための外交方針を持っていないことが明白になりました。

 沖縄県名護市の米軍辺野古新基地建設について、大浦湾側の地盤改良工事に着手することで、「大きく前進した」などと強調。「引き続き、着実に工事を進めていく」と明言し、沖縄県民の民意も地方自治も踏みにじる強権ぶりをむき出しにしました。

経済・社会保障

賃上げ支援踏み込まず 庶民の家計救う気なし

 暮らしの困難を打開するには物価上昇を上回る賃上げとそれと一体となった労働時間の短縮に踏み込むことが不可欠です。

 石破首相は「最重視すべきは賃上げだ」と述べながら、目標は「2020年代に全国平均1500円」と実質先送り。大企業の内部留保を活用した中小企業の賃上げ支援には踏み込まず、「生産性の向上への支援」と述べただけです。

 労働時間の短縮どころか、労働移動の円滑化など「三位一体の労働市場改革」を強力に進めるとし、さらなる労働法制の規制緩和を狙っています。さらに、賃上げが不十分な状態で、「NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)の充実など資産運用立国の取り組みを強化する」とし、庶民の家計を救う気は見られません。

 物価高対策では、消費税減税や大企業・富裕層の公正な税負担など、抜本的な税制改正には触れずじまいでした。

 社会保障では、全世代型社会保障の「改革工程」の推進を強調。医療のセーフティーネットである「高額療養費制度」の負担限度額を引き上げる「見直し」を表明しました。

 さらに「新しい地域医療構想」を策定すると表明。地域の感染症病床を削減し、コロナで医療崩壊を引き起こした構想を改定するなど、財界要求には忠実です。

 年金は「マクロ経済スライド」による給付抑制で暮らしが成り立たないのに、「将来にわたる安心をより確実なものとする」などと語りました。

 昨年、訪問介護の基本報酬引き下げで介護事業所の倒産が続出。石破首相は「地域共生社会の実現を目指す」とし、地域の介護空白を“共助”に置き換える構えも見せました。

地方創生

農産物の保護政策なく 疲弊した地方にとどめ

 石破首相は自らの看板政策である「地方創生2・0」を田中角栄元首相の「日本列島改造」になぞらえて「令和の日本列島改造」と表現しました。

 最初に掲げたのは「若者や女性にも選ばれる地方」。地方は男女とも人口が減少しているのに、あえて女性に焦点を当てました。「都市と地方といった2地域を拠点とする活動を支援する」と表明。増やすのは居住人口ではなく観光などで流入する「関係人口」です。

 石破首相は「AI・デジタル技術を活用し、地方の持続可能な生活インフラを作っていく」とし、自動運転やオンライン診療を掲げました。バスやタクシーの運転手が足りない、身近な地域に医師がいない―そういう切実な地方の声を鼻で笑うかのような対応策です。

 東京23区内の大学などの定員を抑制する結果、若者の門戸を狭めます。農業を「もうかる産業」として高付加価値化の推進を強調。農産物の価格保障や所得補償などの保護政策はなく、「食料安全保障」も掛け声倒れです。

 石破首相が初代の担当大臣を務めた「地方創生」で人口減少や東京一極集中は止まるどころか加速。地方経済を疲弊させてきたアベノミクスへの反省の弁はありません。

 田中元首相の「列島改造」は全国に公害と環境破壊を広げました。石破首相の「列島改造」は、失敗が明白となったアベノミクスを継承し、疲弊した地方にとどめを刺すものです。

能登・福島 大阪万博

現実みない「復興前進」 今も続く原発被害無視

 石破首相は能登半島地震について、「復旧復興への着実な取り組みにより、地震に関わる応急仮設住宅はすべて完成し、農林水産業や輪島塗の再開も進みつつある」と「復興の前進」を強調しました。

 しかし、石川、富山両県の住宅被害は深刻で、仮設住宅の不足は続いています。輪島塗の事業者からは「被災前の水準にも戻っていない」「小規模事業者では再建は厳しい」と悲鳴が上がっています。

 一方で、同地震で問題点が指摘された北陸電力志賀原発(石川県志賀町)への言及はありません。東日本大震災を巡り、「福島の復興なくして、日本の再生なし」と述べつつ、少なくとも今も4万7000人が元の地域に戻っていない状況や、農業生産や漁獲量の大幅減など、福島で今も続く原発被害を無視しました。

 赤字増、メタンガス事故など防災面の問題を抱える大阪・関西万博も「最大限の力を尽くす」と推進を主張。現実を見ず命と安全を軽視する点で一貫した演説となりました。

ジェンダー平等

「夫婦別姓」に触れない 空疎な“多様性の尊重”

 石破首相は「多様な価値観を持つ一人ひとりが互いに尊重し合い、自己実現を図っていける活力ある国家をめざす」と表明しました。しかし、選択的夫婦別姓制度や、同性カップルらへの差別を解消する「婚姻の平等」の法制化には触れませんでした。

 国民一人ひとりの多様な価値観の尊重を掲げるなら、これらの法制化に触れるのは当然です。“多様性の尊重”という言葉も空疎です。

 ジェンダー平等を進める制度の実現を阻み続け、国民の多様な価値観を認めてこなかったのが自民党です。

 当事者が各地で起こした同性婚訴訟は札幌、東京、福岡の高裁が民法などの規定を違憲としました。経団連も政府に選択的夫婦別姓制度導入を要求するに至っています。


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