税制改正大綱 「年収の壁」は123万円に
自民・公明両党は20日、2025年度「与党税制改正大綱」を決定しました。大綱は焦点だったいわゆる「年収103万円の壁」について、控除額を123万円まで引き上げることなどを盛り込んでいます。
大綱は冒頭の「基本的考え方」に「今後の法人税のあり方」と題する章を設置。昨年度の大綱に、これまで法人税を引き下げてきたものの、投資拡大や賃上げに回らずに、内部留保や現預金が積み上がったとして、「法人税改革は意図した成果をあげてこなかったと言わざるを得ない」と明記したことを受け、「法人税改革の成果について議論を行った」としました。
その結果▽海外投資が増えたのに対し、国内投資は低水準で推移▽海外に比べて賃金が低迷する一方、企業の利益が現預金として社内にとどまる―などと振り返り、「法人税のあり方を転換していかなければならない」と踏み込みました。法人税率の引き上げに言及しつつ、「ターゲットを絞った政策対応を実施する」「メリハリのある法人税体系を構築していく」としています。半導体や人工知能(AI)をはじめ、政府が重点とする分野に税制でも優遇することを念頭に置いたものです。
少数与党のもと国民民主党の取り込みをねらって協議をすすめてきた「年収103万円の壁」については、同党との協議が中断しているものの、所得税の控除額を20万円引き上げて123万円にするとしています。20万円の引き上げは給与所得控除の最低限と基礎控除のそれぞれを10万円ずつ行い、25年分の所得から適用します。
大学生など19~22歳の子どもを扶養する世帯の税負担を軽くするために、現行の特定扶養控除に代えて、新たに特定親族特別控除(仮称)を設置。親族の年収要件を現行制度の103万円から150万円に引き上げ、さらに150万円超ですぐに扶養対象から外れないように、控除額を段階的に減らす仕組みも導入します。
また、軍拡財源を確保するために法人税とたばこ税を26年4月から増税するとしました。所得税増税については決定を先送りし「引き続き検討する」としました。
大綱は25年度政府予算案とともに年末に閣議決定される見通しです。
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