最近においても某関西地方で”行革”が音ざわしく行われている。また国家公務員についても退職金が民間を上回っているとの人事院の指摘もなされた。”経費論”として考えるなら使用者から考えた場合、それは有る意味妥当なのかもしれない(但し、労働基本権が公務員に制限されている中では当然問題ではあるが)。しかし問題は”行革”と言った場合、その賃金等をさして言う場合、かなりの問題があると言わなければならない事でありましょう。
現在の日本は欧州と較べてやはり勤労者の色々な面の制限が多くまた権利意識と言ったものでも遅れている物が多いと言わざるを得ないかもしれません。ここで全体をマクロ的に考えるなら
(非正規拡大、労組運動低下等)民間の一般賃金相場の下落→(行革)公務員の賃金の下落→(労組等抵抗力不足)民間相場の一層の下落→(行革)公務賃金の一層の下落 と言う方向に動きそれは全体としての個人消費縮小へと向かい”デフレスパイラル”、景気の一層の悪化を招くというべきでありますが、低賃金を好意にとる向きもある訳でありまして、そのてことして使われているのが、”行革”と非正規問題でありましょう。
又それを扇動する物として、少なくないマスメデイアや大阪某H氏は民間の方が低い場合、逆にどうしたら民間の水準が高くなるかと言う事は絶対に言わない。 これらはマクロ的に見る観点が全く欠落していると言う事であります。
これらの動きをうらずけるデータとしてはまず
①一般的な労働組合組織率が2000年の21.5%→2010年の18.5%へ3ポイントも下落しており相場下落に対する民間労組の抵抗力が薄い事(因みに長期的にも下落傾向です)
②公務員賃金の影響を受けるのは直接的公務員以外に私立学校や福祉施設等約626万人と言われこれは全勤労者(6257万人)の約1割りに当たり波及が無視できない事。
③個人消費はGDPの約6割と言われていますがそれは当然、民間勤労者+公務員勤労者の合計であり上記①、②から個人消費にたいし下げ圧力として働く。(因みに機関投資家の懸念事項の第4位は”緊縮政策”であります。
④というよりこれが第一かも知れませんが非正規雇用への無為無策、即ち全般的無権利、低賃金の温床であり特に15才~29才の非正規割合は全国平均38%の中、大阪府は42.3%県別で実に4位であり、経年的に見て増加方向にあるわけでありこれが一般賃金の下げ圧力として働く。(共生社会政策関係都道府県別指標データ等)
これらの条件を無視して”経費論”としてだけ公務員賃金を見るなら(其の方向に向けるようしている部分があるわけでありますが)マクロ的影響を考えない悪結果を招く事であり、①~④の是正抜きには不況脱却は不可能と言うべきでありましょう。
参照:全労連公民春闘白書2012年版