天津ドーナツ

みんなで力を合わせて、天津の日本語教育を楽しく、元気にしましょう。ご意見・ご要望は左下の「メッセージ」からどうぞ。

*「50音図の落とし穴」・「ン」は50音の尻尾か!…元NHKアナウンサー塚越恒爾さんのブログから

2012-01-09 11:28:11 | ドーナツの宝
「50音図の落とし穴」も、細かく書いてゆけばキリがない。だから、この「ん」で打ち止めにするが、どうしても書いておかなければならないのは、「ン」のポジションだ。
 
 アイウエオ・・・・と唱えていって、最後にとってつけたように「ン」と、ぽつんと一字だけ書かれている・・・「ン」は「50音図の落とし穴」ならぬ、「落とし物」なのか、「はぐれモノ」なのか、何れにしても「縦横・5×10の音表」の、どこにも所属する場所がないらしい。
 イロハだって同じ事、・・・アサキユメミジエヒモセズ・・・そこでイロハ唄は終わっているのだけれど、キャラメルのオマケよろしく、別扱いで「ン」と叫んでおわる・・・とすると、イロハ唄にガムかなんかで、無理矢理つけた尻尾かもしれぬ。
 「50音のはぐれもの」にしても「イロハの尻尾」にしても、日本語を発音するには“無くてはならぬ”音だからこそ、最後に叫ぶことになるのだと思う。
 
 第一この音は、母音なのか、子音の扱いなのか、それすら定義されていない。定義されぬというよりも、どう位置づけていいのかが分からぬ。母音のように音は韻となって続けることが出来るのだが、母音としては扱われない。幸田露伴が「幻の音」と言ったとか・・・
 多くの学者や文筆家が、この音について首をひねり、素性を探るのだが、各人各様、定まった見解には至らない。
 カードゲームでいえば「鬼・Joker」なのだろうかね。

 だが、実際にこの「ン」がなくなると、日本語の発音はどうなるだろう。
 第一、「ニホンジン」という発音が成立しなくなる。テンペンチイもいけないし、アンウンすら漂わない。カンノンさまもいなければ、カンカンノウマサンも踊れないし、ハンペンもニンジンも買えなくなる。コンバンワとアイサツすることだってできないし、ションベンもウンコすらもだめなのだ。
 誰だって「ン」の音が、言語にとって「欠くべからざる音」であることに反対はしないだろう。
 
 例えば、井上ひさしさんは「ンの音を最初に出したのが、北京原人かジャワ原人か、どこの誰かは知らないが、なぜ彼は呼気を口から出さなかったのか。なぜ彼は口腔内の器官全てを閉鎖して、鼻の方へ呼気をねじ曲げてしまったのか」と慨嘆する。
 
 一方で谷川俊太郎さんは「五十音のおしまいに、軽業師のようにぶら下がっている「ン」が大好きだ・・・「ン」には動詞とみまがうばかりの動勢がある」と面白がっている。
 こうした、多くの「ン」論については、樋口覚氏の“「の」の音言論”(五柳書院)に、詳しく書かれている。興味のあるかたは、この本を読まれることをお勧めする。因みに私も、この本によって、啓発されたひとりだ。
 
 ところで、この「ン」についての多様な見解の中で、注目すべき大論争があったのはご存じだろうか。上田秋成と本居宣長の「呵刈葭(カガイカ)論争」である。
 これについては、なんとしても述べなくてはなるまいが、少し長くなるので来月に廻すことにする。
その上で、私見を述べたい。
 ・・・・なお、今年からは、8の付く日、即ち 8日、18日、28日のあたりで、記事を新しくして行きますので、よろしくお付き合いを願います・・・・・本日81才を迎えた ファンタ爺より

国際交流基金のブログです

2011-12-23 09:27:06 | ドーナツの宝
今回は北京日本文化センターのブログをご紹介します。 北京「つなぐ」ブログhttp://blog.sina.com.cn/tsunagu北京日本文化センター日本語教育専門家3名の日々の仕事や、中国の日本語教育に関する情報、仕事しながらのつぶやきなどを、発信しています。 この「215教師メーリングリスト」の過去の主な投稿も「お役立ち情報」として載せています。http://blog.sina.com.cn/s/articlelist_2384546731_4_1.html 皆様、是非ご覧ください。 佐藤 修 国際交流基金 北京日本文化センター HP: http://www.jpfbj.cn ブログ: http://blog.sina.com.cn/tsunagu

天津ドーナツメンバーへの質問

2011-12-14 09:18:12 | ドーナツの宝
2011年12月18日(日)
天津財経済大学 川端敦志

1.今週、誰かの話を聞きましたか?
  ※以下の場合は、「聞いていない」という行為です。
  (1)相手の話の内容を批判する・否定する
     例:「どうしてできないんだ」と思う・言う
      「なぜやらないんだ」と思う・言う
      「前にもできていなかっただろ」と思う・言う
  (2)途中で遮る
  (3)自分の意見・考え・気持ちを話す
  (4)評価する
  (5)相手が途中で話をやめてしまった

2.今週、誰かに話を聞いてもらいましたか?
  ※以下の場合は、「聞いてもらっていない」ということです。
  (1)話の内容を批判・否定された
     例:「どうしてできないんだ」と思われる・言われる
     「なぜやらないんだ」と思われる・言われる
     「前にもできていなかっただろ」と思われる・言われる
  (2)途中で遮られた
  (3)自分の意見・考え・気持ちを話された
  (4)評価された
  (5)途中で話をやめてしまった
2.仕事の意味についての質問です。
(1)あなたの仕事は、誰と誰と誰とを幸せにしますか?



(2)その3人の方たちの笑顔が見えますか?
(3)笑顔で、あなたに何と言っていますか?
(4)あなたの学費は誰が払っているか、知っている?
(5)支払ってくれる人にどんな形で尽くしているのかな?

3.仕事の成果を考えるための質問です。
(1)どうして日本語が使えるようにならないか、分かる?
(2)能力試験に合格するために、何が必要かな?
(3)(1)と(2)を解決するために、ドーナツができることはある?
(4)学生と社会人って、どこが違うんだろう?
(5)(4)の問題を解決するために、ドーナツができることはある?
(6)(4)の問題を減らすために、ドーナツがやってはいけないことは?
(7)チームで仕事をするときに、何が必要か分かる?
(8)(7)の問題を解決するために、ドーナツができることはある?
(9)支援者を獲得するためには、何をしたらいいのかな?
(10)メンバー以外の人たちにドーナツを知ってもらうために、どうしたらいいかな?
(11)自分たちのチームが、どんな問題を解決できるか分かる?

3.自分自身の成長についての質問です
(1)あなたは今の仕事をすることでどのくらい成長できるか、紙に書いたことがある?
(2)どんな夢のあることを書いた?
(3)来週の月曜日に仕事で成長できたことを書いて提出して!
(4)あなたが成長することで、ドーナツはどのくらい成長できる?
(5)そのために、まず、何から、いつすべきかな?

4.味方を増やすための質問です。
(1)ドーナツのお客さまって誰だろう?
(2)その人たちは、どんな存在だと思う?
(3)そのお客さまにあなたは、何をしてあげられるかな?
(4)「儲かる」という漢字をゆっくり書いてみて。その言葉の一つひとつから何を感じる?もし、あなたが社長なら、「儲かる」ために何を増やせばいいのかな?

5.幸せになるための質問です
(1)成功しても幸せじゃない人って、いると思う?
(2)もし、いるのなら、どこで間違えたんだろう?
(3)ドーナツは、「成功のため?」「幸せのため?」
(4)成功して幸せになるために必要なことって何だろう?

50音図の落とし穴」・「ヤ行、ワ行」に子音はない! …塚越恒爾さんのブログから

2011-12-11 00:52:39 | ドーナツの宝
ここで もう一度、あの二世団十郎の「ウイロウ売り」のセリフに、ご登場願いましょう。
 
・・・アワヤ喉 サタナラ舌(ゼツ)に カ牙(ゲ) サ歯音(シおん) ハ・マの二つは唇の軽重、開合さわやかに・・・



 この文は、何も「ウイロウ売り」に初めて登場したわけではなく・・・歴代の「不完全な50音図」の頃から、必ずと言ってよいほど付記されていた「唯一の日本語発音仕分けガイド」だったのです。そして、この分類を元に、江戸の寺子屋などでは、商家の丁稚たちの“ことば”教育をやっていたことも分かっています。
 数ヶ月前(3月のバックナンバーかカテゴリー50音図)に解説したとおり、この文は、現実には社会一般に認められ、唯一の指導ポイントであることは歴史が示しているのですが、こうした事実を、文科省なり多くの学者が認めるかというと、そうはいかないらしい。就中、国学者たちにとっては、文の冒頭の「アワヤ喉」ですら、賛成出来ないようです。
 
 日本語の音は、原則として子音と母音が結合して音の拍をつくりますね。拍というのは、「ふるいけや・・・」と、指を折って、五・七・五と数える、あの拍です。例えば「タ」の音は、「子音のt」と「母音のa」の音素が結合して「タ」という一拍をつくります。そしてこの「拍」を並べたのが「50音」の表です。
 ところが多くの学者や文科省にとっては、「50の拍」は、全て整然と「子音+母音」の形で並んでいなければならぬモノらしい。
 では、アッチ欠け、コッチ欠けの「ヤ行」と「ワ行」はどうなのでしょう。「y」や「w」は、本当に子音なのかという疑問が起こります。「y」=「i」ではないのか、「w」は「u」とどう違うのかです。
 でも、こうした現実の「日本語の音」についての、文科省は国学の影響もあるのでしょう、一般の人とはかなりかけ離れた考えを持っているようです。
 
 賀茂馬淵ら国学者たちにとっての「50音」は、「“天地(あめつち)の神祖(かみろぎ)の教えたまいし言”であり“五十聯(いつらのこえ)”」(語意考)なのです。
 「皇国の正音を外国の音を例として論じてはならぬ・・・これこそが正しい音であり、それ以外は邪音である」(本居宣長)という考えが、現在も生き続けているのでしょう。
 だからこそ、「ワ行やヤ行」が「ア行」と一緒の母音なのだと言われては困るのではないか。
 
 しかし昔の「50音図」をみますと、「ヤ行、ワ行」の無い「音図」では、「あいうえお」の行などに、こんな記号がついたものがありますね。
 「いあう」「いいう」「いうう」「いえう」「いおう」(註:実際には、中の太文字は、大きく、両側の文字は小さく書かれている)
 どういうことかと言いますと、アの音を直音で出すときは「ア」ですが、少し曲がって出すときがあり、曲がり方に二つの方法があるというのです。
 まず、音を出す直前に「イ」音の口構えをしてから「ア」と言えば「ヤ」になるし、「ウ」の口構えから「ア」と言えば、「ワ」となるのです。してみると、まあこれは「ア行」の拗音のような扱いですね。
 
 私は、成る程と思いましたね。だから「ヤ行のイ」だけは「イ+イ」ですし、「ワ行のウ」も「ウ+ウ」で直音と同じになる。実に素直に理解できますね。
 だから「ヤ行」は「ヤユエヨ」と「イ」が抜けるし、「ワ行」は「ワヰヱヲ」と「ウ」が抜けるのだなと・・・
 でもしかし、現在の学者の多くは、「ヤ行音」の/y/や、「ワ行音」の/w/は、あくまでも「半子音」という特殊な音素であるとして、母音・喉音とは認めていないのです。
 「半子音」? これまた「半濁音」と同様、まったく不思議な分類ですね。どうやって実際に出せばよいのでしょう。
 文科省の方、是非とも教えてくれませんかね。
 
 歴史上「唯一の発音の仕分け・例の文言」では「アワヤ喉」と、「アもヤもワも皆、喉音である」と、明快に言い切っています。実際問題、/y/と/i/、/w/と/u/は、いずれも、日本語の軌範では同じ音素とされていますから、「ア行」の「イ拗音」と「ウ拗音」が、ヤ行とワ行になったという歴史的な経緯は理解でしますし、それにケチをつける積もりはありません。
 
 しかし「日本語の母音はアイウエオの5つしかない」とか「ヤ行とワ行の場合は特殊な半子音を音素とする」などと、妙な屁理屈は止めたら如何かと思うのですよ。
 /y/と/i/、/w/と/u/の音は、どれも喉音、即ち母音なのは明らかなことですから、ワ行とヤ行は、「母音ー母音の結びつきである」と、割り切ばいいのですがね。
 それににても、音素の数の極端に少ない日本語で、/w/の「ワ行」が消失して行くのは残念至極です。
 
 さて来月は、いよいよ難問の「ん」に迫ってみましょう。

天津財経大学日本語科 日本語学習についての質問と答え

2011-12-06 20:58:32 | ドーナツの宝
2011年12月6日(火)天津財経大学 川端敦志

1.会話の能力をあげる方法は?
(1)国際交流基金のスタンダードを参考に、練習してください。
   ①正確さ ②流暢さ ③いろいろな話題 ④さまざまな場面
(2)2と3の方法を組み合わせて、実行してください。

2.日本語の映画を見ることは、会話と聴解に役立ちますか?
(1)ただ見ているだけでは、役に立たないと思います。
(2)役立つと思われる映画・ドラマ・アニメを見る方法。
  ①まず、基本的な日本語力を身につけます。
   みんなの日本語1・能力試験N3~N2・新編日語1の聴解テープが聴き取れるレベル。
   シンクロリピート・シンクロリーディング・リピート・シャドーイングが出来るレベル。
☆実例:聴解テキスト 第5課 自己紹介

  ②メモ用紙とペンを使います。
⇒「おもしろい」「きれい」「感動」「使える」表現を書き取ります。
⇒台詞以外に気がついたことをメモします。文化・習慣・方法・地名・ブランド名など。
☆実例:「曲がれ、スプーン」

  ③台詞を80%ぐらい覚えるまで、繰り返して見ます。
  ④ただし、「友達言葉」が多いものはお勧めできません。
   同年齢の主人公が、いろいろな立場の人と話をするものがいいと思います。
  ⑤アフレコに挑戦します。

3.日本に留学しているとき、どうすれば会話の能力を上げることが出来ますか?
(1)日本人の友人(話し相手・相談相手・同じ趣味・ゼミ仲間・バイト仲間・ボランティア仲間)を作ってください。中国人同士だけで行動していたらだめです。
(2)いろいろな立場の人と、いろいろな話題で、いろいろな場所で会話をしてください。
(3)おしゃべり~スピーチ~討論まで、いろいろな「話し方」にチャレンジしてください。

4.どのぐらいのレベルの日本語力だったら、認めてもらえますか?
(1)逆に聞きたいのですが、どのぐらいの中国語だったら認めてもらえますか?
これは、認めてもらいたい人によって違います。社会人でしたら、ニュースを理解し、自分の意見を客観的に説明でき、相手の意見も理解することが出来る、というあたりでしょうか。ただし、辞書的な意味を理解するだけではなく、日本人の習慣・考え方・マナーも含めて理解していることが必要です。
(2)能力試験で言えば、N2の日本語が使える、N1の日本語が理解できる、というのが最低ラインだと思います。
(3)ただし、本当に活躍できる人材は、日本語だけではなくほかの力(知識・知恵・教養・思考など)も備えています。
☆実例:日本語で暮らそう4 15:45

5.単語を記憶する方法を教えてください。
(1)忘れるのを前提に、方法を考えてください。
(2)「繰り返し」・「イメージ」・「五感」・「創作」・「使ってみる」がポイントです。
  ①繰り返し…単語帳を5回繰り返す方法を考えます。一回目は知っている単語に印をつける、2回目は知らなかったけれど大事な単語を覚える、三回目は面白そうな単語を覚える、4回目は忘れてしまった単語を確認する、5回目は覚えていない単語を覚えていく…などです。
  ②イメージ…「りんご」という単語を聞いたら、「苹果」ではなく、りんごそのものを頭に浮かべます。できたら、色も香りも感じてください。あるいは、「りんごがある場面」を思い浮かべるのもいいと思います。
  ③五感…視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚をできるだけ使います。
  ④創作…例文・会話を作成します。
  ⑤使ってみる…実際の場面で、使ってみます。(相手が日本人じゃなくてもいいと思います)
  ☆実例:Lが持っている単語帳

6.簡単に聴解力をアップする方法を教えてください。
(1)簡単に、というのは難しいと思います。
どうしても、というのであれば、音楽を勉強してください。
(2)1で紹介した方法を試してみてください。

7.日本語に略語はありますか?
(1)はい、あります。KYが有名ですが、他にもMMなど、いろいろあります。
   これは、若い人に聞くのが一番いいと思います。

8.日本に留学後、どうやって日本での生活に慣れたらいいですか。どんな政策がありますか?
(1)まず、自分の周りの人がどのように生活をしているのか観察をして、生活のルールを覚えてください。ごみの出し方・電車の乗り方など、中国と違う習慣があります。
(2)日本人は、いきなり友達にはなりません。知人から始めてください。相手が友達言葉を使うようになるまで、礼儀正しく接するのがいいと思います。
(3)特に女性は、清潔感・身だしなみが重視されるような気がします。
(4)日本にすでになじんでいる先輩がいたら、その人に助けてもらうのもいい方法だと思います。
(5)中国の文化を紹介するイベント・ミニ講座を開いて見たらどうでしょうか。
(6)日本人はお祭りが好きです。地域のお祭りにぜひ参加してみてください。
(7)政策については、自分が留学する地域の役所に問い合わせるのがいいと思います。


9.どのようにしたら、日本語学習環境をよくすることができますか?
(1)それを考えるのが、学習係の仕事ではないでしょうか。
(2)「ないものねだり」をしないでください。
財経大学とその周辺にある資源を活用する方法を考えたほうがいいです。北京にある資源を頼りにしていてはいけない、ということです。
(3)他の大学の学生と協力するのもいい方法だと思います。

10.質問にはなかったけれど、大切だと思うこと
(1)考えるための日本語
考えない日本語・覚えるだけの日本語は、電子辞書・パソコンに負けます。
 また、コミュニケーションで必要なのは、相手の意見とその根拠を理解するということですし、自分が意見を言うときも、事実と意見を整理して話す必要があります。
ニュースや調査結果を分析し、分析の結果から考えられること(考察したこと)を、いろいろな立場の人と討論してみる、ということが必要になってくると思います。 
(2)4年先・5年先の自分のために、勉強をする。
4年先・5年先の研究・開発をしてない会社はだめだそうです。それは、今はよくても、4・5年後に「時代遅れ」になるからです。
 みなさんは、5年後に必要な日本語力というものを考えたことがありますか?