天津ドーナツ

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スピーチについて  テクニックに溺れない

2011-02-11 04:40:34 | ドーナツの宝
人の心を動かすプレゼンテーション、と言うテーマで講演をされている方の話です。

(引用ここから)

論理思考って勉強している人も多いかと思いますが、そんな人ほどハマッてしまう
落とし穴があるって知っていました?

「論理思考の罠」なんて言われているそうですが、典型的には、
ロジカル<論理的>に話さなければとの思いが強くて、人と話すときに
紋切り型の「大事なポイントは三点あります。第一は…」なんてパターンばかりの人。

聞いている方は、(またかよ…)とウンザリです。

あるいは、クリティカル<批判的>にものごとを見るのが大事だ、なんて教え込まれて、
他人の言葉や企画のアラばかりが目に付くようになり、口うるさく指摘する人。

いつの間にか社内では(彼は「評論家」だから…)と評判がた落ちです。

もちろん、論理思考を学ぶこと自体は間違いではないのでしょうが、
ビジネスのコミュニケーションって、伝えた結果、「相手が動いてくれる」のが目的ですから、
相手をウンザリさせたり、自分の評価を落とすようでは本末転倒です。

では、どうすれば、「本当に使える論理思考」が身に付くの?

という答えが、

 「論理だけでなく心理」

だそうなんです。

たしかに、ロジカルに分かりやすく説明されうえに、心理面でも共感できたら、思わず「イエ
ス」って
言ってしまいそうですものね。

実際、ハーバード流交渉術でも心理の重要さは指摘されていて、タフな交渉になればなる
ほど、

 「自分と相手の双方の感情に対して敏感になる」
ことが必要とのこと(「新ハーバード流交渉術 論理と感情をどう生かすか」より)

(引用ここまで)



以前、あるスピーチコンテストで、何人もの学生が同じパターンのスピーチを

披露したことがありました。



「私が話したいことのポイントは3つあります。ひとつは…」、

即席スピーチのテーマを繰り返し、時間を稼ぐ、

制限時間の半分ぐらいしか使っていないのに、

「まだ話したいことがありますが、時間の都合で…」

など、です。



それが4人目、5人目となったとき、審査員が失笑しているのを

見てしまいました。いえ、審査員だけではなく、会場で聞いている

学生たちも、笑い出していました。

そして、スピーチをしている本人は、どうして笑われているのか分からない様子で、

困った顔をしていました。



このようなテクニックが無意味だとは思いません。

話が分かりやすいかどうかは、確かにテクニック(発音・文の構成・決まり文句など)の問題です。



でも、15人~20人の選手が、程度の差こそあれ、同じようなテクニックでスピーチをしているところを

想像してみてください。そんなコンテストを聞きたいと思いますか?



スピーチは、「話の分かりやすさ」が最大のポイントなのでしょうか。

もしそうなら、スピーチではなく、「日本語発音・記憶力コンテスト」になってしまいます。



天津の学生たちから、「スピーチコンテストはつまらない」「形式化してきている」という

話を聞くことが増えてきてしまいました。



私はスピーチが好きです。

自分の思いが相手に伝わり、相手の反応によって自分も変わっていく、

それは本当に嬉しいことだと思うからです。



だからこそ、テクニックばかりに気をとられ、会場とのコミュニケーションが成立せずに

終わってしまっている学生たちを見ると、なんとも言えない気持ちになってしまいます。

(こんなスピーチは、コンテスト以外では役に立つのかな…)と思ってしまいます。



もしかしたら、「スピーチコンテストはつまらない」と言っている学生たちは、

うまく言葉にはできないけれど、ここに書いたようなことを感じ取っているのかもしれません。

「あの人たちは流暢に話しているけれど、私に聞いてほしいと思っているんじゃないや…」

「こちらの気持ちには関係なく、自分のスピーチの上手さをアピールしたいだけみたい…」

という具合に、です。



日本語のスピーチコンテストが、

日本語本来の目的である「コミュニケーションの道具を磨く」コンテストになるために、

来学期からは、「スピーチ」というテーマで学生たちに話をしていくことにしました。



また、それは、国際交流基金と北京日本学センターが報告をしているように、

「日本語教育学を軸にして、「教育」や「学習」への視点を不可欠なものとした」日本語教育

そのもののありかたではないでしょうか。

(国際交流基金 日本語教育通信 2002年5月 海外日本語教育レポートより)



来学期以降の中国のスピーチコンテスト、というのは話が大きいですね。

私が関わることができるコンテスト(勤務校・ドーナツのコンテスト)でのスピーチは、

「論理・情熱・共感」をテーマにしていきたいと思います。