私は、主人は何をしてくれているんだろうと思っていた時期がありました。
病院にかかりたいのに、子どもは預かってくれないし、連れて行ってもくれないし。家事も中途半端。私の不満も聞いてくれないし、と。
不満の嵐。
家事も看病も、私には到底満足な量をやってくれるわけではありません。
夫曰く、病院に関してはどこに行っても無駄だ、という意識と、どこに連れていったらいいのかもうわからない、という段階にもあったそうです。
家事は精一杯やっているつもりでも、不慣れなこともあって全く追いつかなかったそうです。
僕なりに精一杯、これ以上は無理だというようなことを言っていました。
無理、では困るのですけれども、言っている意味はよくわかりました。
その後、まず医者である夫が試みてくれたことはこんなことでした。
・自分で診断がつきそうな病名をあげ、必要があれば薬を処方する
・論文や本を読む
・医者である知人に聞き回る
・とりあえず生活をまわす
自分でできることはやってみよう、ということで、いくつか薬を処方して持って帰ってきてくれました。
散々試して、やれることはひたすらやりました。
論文や本は、必要なものは私も読みました。
文字が滑っていく頭で読むのは本当に大変でしたが、とにかくやってみました。どういう症状が当てはまるのか、必死に考え、これは違う、これはありそうだと何個も何個も診断名と症状を照らし合わせていきました。
主人は、同窓会や結婚式の披露宴があるたびに、医師である知人がいたら聞いてくれました。
逆に聞いてくれるお知り合いの方も多くいたらしく、ただ一緒に頭を悩ませてしまうことがあったようです。皆様、ありがとうございました。
ちなみに、私の話でわざわざ後日連絡をくださった方に「副腎皮質ホルモンがおかしいと思う」という話がありました。まさにその通りだったので、診断がついた時にふたりで驚きました。
副腎皮質ホルモンがおかしいという話は「アドレナルファティーグ」という現象として欧米では治療がなされており、日本でも自費診療ですが治療してくれているところもあるようです。私はそうしたクリニックに通うのが少し難しかったので、独自に試してみました。方向性は合っていたのですが、アドレナルファティーグの場合は、副腎そのものの疲労を治療するため、ホルモンの司令の方がおかしくなっている私には効果のない治療でした。
線維筋痛症や慢性疲労症候群といった病気だと仮定して、治療もしてみましたがだめでした。
私にははっきりわからないのですが、痛がり方が病名によって違うらしく、何人もの先生が違うと言い切っていました。
違う、ということはわかるようなのです。
これが余計に私を病気にしてくれなかったので、とにかくしんどかったです。
まさかお医者さんの中でも「???」となるような病名が私につくとは。まさに思いもよりませんでした。
こんな塩梅で、とにかくあれもこれも、人体実験のようにいろんなことを行いました。
こうした実験がなければ、やっぱり耐えきれなかったかもしれないです。
もう一度あの日々が訪れたら、私は諦めると自信を持って言えます。
主人も母も、「よく生きてるねえ」と、嫌味ではなくてですね、よくこんな体で生きてるね、という意味で言ってくれていました。
私は、もういいんじゃないかなと思わないようにすることがなかなかできませんでした。
そして、主人ももう耐えられないかもしれません。
私がいつ倒れるかわからないので、主人はアルコールを摂取することができませんでした。出産の数週間前から、都合8年近く、実際にアルコールを口にしたのは冠婚葬祭など、両手に収まるほど少ない機会です。
これだけでも十分異常だと思いますが、とにかく家事も全般やらなければならないとか、おそろしく大変だったろうと思います。
床屋さんも長い間行けませんから、毎回ぼっさぼさになってから坊主カット、みたいなことを繰り返していました。
洋服もアイロンなんてもちろんかけられませんから、ノンアイロンのワイシャツですけど。
新しく買いに行くことも大変でしたから、靴もシャツもズボンもヨレヨレのボロボロ。
悲壮感も加わって、全身ぼろぼろな感じで。
仕事に出発するとき、夫の姿を見たくありませんでした。
私の不甲斐なさを象徴するような気がしていました。
そして病人の家族の大変さはこれだけにとどまりません。
お察しの通り、これだけのことを通常に勤務していて行えるはずもなく、仕事を減らしました。
それでも生活はなんとか保てる程度で、いつどうなるか不安の日々でした。
夫は仕事中、いつ倒れるかわからない妻の心配をして身が入らなくなる時もあったそうです。充実感はありません。
医療費も嵩みます。収入は減ります。妻は働きません。働ける見込みもありません。元気になる見込みもありません。死ぬ予定もありません。子どもは泣いています。
あれ?これを地獄と言わずしてなんというのでしょう?
パパー。ここまで一緒に頑張ってくれてありがとう。
しんどかったね。