有楽町で DALIDA〜あまい囁き〜 を観た。
ダリダは、ピアフとは全く違うタイプだけれど、やはりフランス中から愛された歌手の一人。
ピアフとはまた違った意味で凄まじい人生。
華やかな舞台成功の裏で、愛を、そして平凡な生活を切望していたダリダ。
愛した男が3人も自殺。最後はダリダ自身も自ら命を絶つ。悲しくも美しい54歳。
セルジュ・ラマの曲「Je suis malade」(灰色の途)を、いつか歌おうと仕込んでいたけれど、
なんだか、歌えないなぁ。
この歌、ララ・ファビアンが高らかに歌い上げていてカッコイイ。でも、
かっこよくなくていいと思う。病んだ命で絶唱する歌なんだから。
主演の「スヴェア・アルヴィティ」が好演していた。時々本人に見えるほど。
けれどダリダの、どこを見ているかわからない斜視気味の、
あの眼差しまでは、再現できない。
あの瞳の奥には真っ黒な闇が広がっている。
美しい人には「悲しみ」が似合う、と思った。
さて、
この映画のタイトルに「あまい囁き」とつけてあるのが、私は気に入らない。
映画の内容とあまりに違うし、
ダリダといえば日本ではアランドロンと「パローレ・パローレ」歌った人、
という紹介の仕方が嫌だ。
ピアフの映画も、パリで観たとき「La Mome」だったのに、
英語圏向け?には「La vie en rose」(バラ色の人生)、
日本では「愛の讃歌」になっていた、というのも気に入らない。
うんとさかのぼれば、1933年の映画「Quatorze Juillet」(7月14日)が、
フランス本国にはない言葉「巴里際」となってしまったのも、なんだかなぁ。
でも邦題やサブタイトルで映画のヒットの仕方も違ってくるのだろうから、
真正直に訳してたらダメなんだろう。
ごめんね。私素直じゃないのかしら。
シャンソンの原曲の詩と、訳詞がかけ離れてるのも好きじゃない。
だから自分で訳詞書けって話。はい。ヨチヨチと書いてます。
2007年。初めてパリに行った年、
ダリダ没後20年でパリ市主催の「ダリダ展」を観た。
(『伴海パリ日記』)
あれから11年、私は平凡に生きている。