いにしえの日本人は
自然の恵みから
深い輝きのある豊かな色彩感覚を研ぎ澄ませ
雅な煌めく色合いをうみだしてきました。
光源氏も紫式部もこよなく愛していたでしょうね。
紫根染や茜染
人間国宝を生んだ栗山家を初めて訪ねたときに
遠く王朝の香気がしのばれるという
美しい染め物を目にし
思わず息をのんだあの時から、早くも30数年経ちました。
この時の紫根染・茜染との出会いが
私の草木染の原点です。
この下染めの作業をされているのが
栗山文一郎さんと奥さんのケフさんです。
栗山文一郎さんは
残念ながら平成3年に亡くなられました。
平成元年には第10回民族衣裳文化功労者表彰式において
伝統文化賞を受賞されています。
民族衣裳文化功労者には
先日亡くなった歌舞伎俳優の市川団十郎さんや、
狂言師の野村万作さん、女優の吉永小百合さん方も名を連ねています。
平成2年の夏の暑い日
庭師と二人でお邪魔したときの栗山文一郎さんの下染め作業です。
悲しいことに、この年の下染めと染めが
栗山文一郎さんの最後の仕事になってしまいました。
奈良時代から伝承されてきたという
郷土の伝統文化を守り伝えるために一生をささげ
下染めを120回以上も繰り返す
古代技法にこだわり続け
あきもせずに苦にもならずと話しながら
淡々と作業をされていた栗山文一郎さんの姿が思い出されます。
優雅で格調高い美しさをもつ伝統の技法を
守り続けることが自分に課せられた責務と話された言葉の重みを
今ひしひしとかみしめています。
この紫根染・茜染との出会いから
私にはたくさんの素敵な出会いがうまれました。
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