悲しいニュースが遠き離れたアルジェリアから飛び込んできた。
最悪の結果にやりきれない思いになる。
ご家族の深い悲しみを察すると言葉もない...
日曜日の21時からのドラマ「とんび」というのがある。
初回、最愛の妻を不慮の事故で亡くするというストーリーだった。
雨が降ったため、妻が子どもを連れて夫の職場である倉庫に訪ねるというシーン。
子どもが父親を見つけて走りよる時に積荷にひっかかり積荷がくずれる。
子どもを助けようとして母親が積荷の下敷きになる。
通夜の席、積荷を積んだ担当者が土下座をして謝る。
父親はぐっとかみ締めたまま「お前が悪いんじゃない。すべて雨のせいだ」
このシーンを見たとき、思わず声を出して泣いてしまった。
私の父親も雨が降った翌日、新人を指導していた。
そして、ぬかるんだ土を避けるために外材の上に上がっていたところ、その積んであった外材が崩れた。
自分ひとりなら助かっただろうと見ていた人たちは言っていた。
その新人を助けたほんの数秒が生死を分けた。
父親を自宅に連れ帰る寝台車の中で母は、「誰も悪くない。雨が降ったからや」と言ったのを覚えている。
母は誰かのせいにしたり、誰かを憎んでもしょうがないということを教えたかったのだろう。
人は不条理なことに対して、やるせない思いを自然の摂理のせいにするしか仕方がないときがある。
それが精一杯なのだ。
だが40年近くたっても昨日のように覚えている。
今回のご遺族の方々も、恐らく死ぬまで、その深い悲しみをもち続けながら生きるのであろう。
今、本当につらく悲しいことでしょう。
でも、がんばって生きることが何よりも故人のはなむけにつながることを理解して欲しい。
そして、私たちは異国の地で無抵抗のまま死んでいった同胞がいることを決して忘れてはならない。